2012/8/23

人間の師はいない・心の奥の道標を辿る  ラブフルート

   ラブフルートが「愛の笛」の物語のようにもたらされたのだとすれば、人間の師はどこにもいないでしょう。キツツキが木に開けた穴に風が吹くように、自然の只中に生きる命が笛を吹く。そんなことをゆらゆらと感じながらのワークショップが始まります。

  ラブフルートがいつしか一つの民族楽器の一つに位置付けられ、習い事の一つになり、やがて音楽教室のアイテムになって拡散する。それは原点にある大切なメッセージが失われ、楽器だけが一人歩きし始めるプロセスでもあるでしょう。

  やがて珍しい楽器から、見慣れた楽器になって行くのかもしれません。これはいわゆる経済成長の路線と同じ流れ、本来の秘められた力が失われて行くパターンです。ネイティブもインディアンも一つの象徴的位置づけになり、大切なメッセージは背後に追いやられるかもしれません。

  与えられた人生の時間の中で熟成させて行く貴重なプロセスが、知識や情報の中で、あっさりとわかってしまう。こういうパターンは、情報社会ではごく当たり前のことでしょう。その結果、人は心に空白を感じるようになるでしょう。

   自然の中の一粒の種は、知識を得て、素晴らしいメッセージを聞いたからといって急成長することはありません。人間は、知ることと実質との違いを忘れて自己肥大に陥りやすいものです。短時間で得た知識や体験を、そのまま自己解釈して、すぐさま伝え歩くパターンは珍しくありません。

  心の空白を満たすはずの伝説の笛が、、非力なアイテムになるパターンもその一つでしょう。演奏家の存在も人間社会特有の優劣意識や派閥的なものを形成しやすいものです。

   現代社会のひずみを生み出している組織性から解放されて、確立した自己形成の道を辿るはずが、いつしか個の確立を数と組織に依存する潜在意識に引き寄せられる。

  これもまた、ひとつの流れではあるのでしょうし、その花が枯れて種を残すまで似たようなパターンが繰り返されるのでしょう。その中から、いつしか大切なメッセージに気付く人が生まれるのかもしれません。

  僕は、まあ生涯の旅路の中で、一人くらいどっしりと愛の笛の原点に立って生きる人と出会えればいいかなと、のんびり歩いています。笛を吹くときも、いつも原点にに引き戻されますし、製作のときも否応なくゼロスタートさせられています。

   つながりのための繋がりではなく、何にもないけれどひそかに繋がっていて自由に関わる。それは木々たちが大地に根ざしながら繋がっている様に似ています。そんなことをゆらゆらと思いながら、ひっそりとスタートする週末のワークショップ。

  名もなき笛吹きたちが、どこか知らないところでそれぞれの歌を歌っている。日の光、雨の雫、風の戯れ、鳥や獣や虫たちがいるように、自分もその仲間として湧き上がる心の風を木々に伝え、木々が響き始める。そんな笛の音が生まれるきっかけになればいいかな〜というワークショップが8月の風に吹かれて始まろうとしています。
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2012/8/16

鳥や動物たちの歌を聴く  ラブフルート

     一粒の種を育む地道なプロセス。この8月25日、26日のラブフルートのワークショップはその大切な機会になると思います。多くの人数を集める事よりも、確実に根付く種を育むための土を耕す地道なプロセスを辿るつもりです。

  ラブフルートの演奏のために必要なテクニックなどをお伝えする事も必要な要素ですが、それ以上に大切な事をお伝えしたいと思っています。

  いわゆる音楽に伴う、曲とか演奏技術という方向ではなく、より根源的なところに心を向けようと思っています。

   単に笛を吹くためのワークショップではなく、笛を吹くという行為と心の根源との関係を見つめようと考えています。そのヒントの一つは、「愛の笛」に記されている伝説の一部から知る事ができるでしょう。

「若者は歩きに歩いて、4日が過ぎました。
この間ずっと、若者の耳元では、
鳥たちや動物たちの歌う歌が、聞こえていました。
道すがら、ときどき笛を口にあてて、
そうした歌をまねて吹いているうちに、
いつしか歌は一つにまとまって、
やがて自分のメロディーが生まれてきます。
そうやって彼の奏でる歌は、すべての鳥たちや動物たちに愛されました。」

「愛の笛」21ページから抜粋

   楽器の演奏と言えば、教則本やレッスン(テクニックなど)から始める。その選択が音楽の意味を大きく別けて行くでしょう。どんな知識や教えにもよらず、人はそれぞれに自分自身が歩んで行く道を知る。魂は自らの歌を知っている。それは木々の響きと一つになって歌い始める。それは、生きて行く時の心の有様そのもの....。生きる事は歌うこと....。そのあたりをじっくり見つめてみたいと思っています。

  それと同時に、愛の笛に出会うまでのプロセスの大切さも忘れてはならないでしょう。天に矢を放つに至る自己の内的状態。天に矢を放つ事、放たれた矢が指し示すところに進む事などなど...。

  この夏のワークショップ。どこから、どんな方々が集われるのか楽しみに準備中です。関心のある方はお問い合わせください。
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2012/8/4

目に見えないものを口に入れる  雑感

   今週始め、 KOCOMATSUに相馬保育園の元園長さんが来られました。3月に相馬保育園に訪問したときには園長さんでしたが、この7月いっぱいで退職されました。

  震災後ひたむきに子供達のいのちを守る為に専心しておられた時に交流をさせていただき、その後の一連の流れが生まれました。子供達の為に放射能との戦いを先導して来られたのですが、家を流されたままご自分の事に手を付けられなかったのでした。言葉にならないご苦労をされた事と思います。

   今回はご家族を伴って北海道でしばし静養するために来られたのでした。江別在住の親類のところを訪ねた後、長沼のロッジでご家族で過ごされるとの事でした。

   新鮮な空気と美味しい食べ物で元気を回復して欲しいものです。それと同時に、福島に住み続けておられる方々の事が気になります。食べ物も飲み物も、安全なものが必要であり、とりわけ子供達の内部被曝に神経をすり減らしている母親たちの存在が気になります。

   いまは山形に避難しておられる方々からの要望で安全で新鮮な牛乳を届けるためにお手伝いさせていただいています。また、地元の野菜などを希望しておられるので、運送会社と交渉したり、入手先を調べたり、あちこちに打診しているところです。

   震災後KOCOMATSUで始まった流れは、少しづつ変化しながら状況に合わせて継続されますが、状況は厳しいものがあります。

   何とか危険から身を守ろうとする流れと、放射能の危険に麻痺したかのようにマスクをする事もなく生活する流れがあります。実際の生活で、季節に関係なく窓を閉め、食事の度に飲み物食べ物の安全性を確かめるのは、相当に強い意志と行動力が必要になります。また、安全を確保するための知恵や繋がりが必要になります。

  自分だけが安全を確保しようとすることより、周囲の流れに合わせることが必要だという風潮が潜んでいます。実際現地に赴いたとき、自分だけがマスクをしていることが気になりました。していない方に申し訳ないという感覚が生まれるのです。

  これは飲食物に関しても同じです。普通に出てくるご飯や味噌汁や魚や肉。目の前にあって、作ってくださる方がいる中で、その安全性を確かめるのは容易なことではありません。まして、その場で線量を測れるような仕組みがあればまだしも、毎日の生活の中でどう向き合うかは厳しいものがあると思います。また、一度手を付けてしまうと、仕方が無いという感情が生まれます。

  園長先生のご家族は、しばし北海道で過ごした後、福島の生活に戻られます。そして子供達のことも含めてできるだけのことを続けたいと願っています。こちらにおられる間に、何か具体的な次のステップが見えてくることを願っています。

  少し前に、今できる事というスタンスで避難先の山形県米沢市に3箱の新鮮な野菜を10種類ほど発送しました。小さなことからコツコツ、それが少しでも現地の方々の元気につながればと思っています。
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2012/8/1

さらなる深みへ・ラブフルートワークショップ in KOCOMATSU  ラブフルート

   ラブフルートのコンサートを聴く事と演奏をする事と交流の為にアメリカで過ごし、戻って来て最初に開いたワークショップは広いご自宅を開放して下さったSさんのお家でした。

  この時はラブフルートに限らず、音から生まれる自己表現の楽しさや音遊びの交流を中心に開かれました。全く初めて楽器に触れる方が中心でしたからドラムから生まれるリズムと音の流れが中心でした。

   その後は、様々な場所でワークショップを開いて来ましたが、集われる方々の個性を大切に柔軟に進めて来ました。初めてラブフルートに触れる方々を中心にしたワークショップがベースなのは当然ですが、もう一歩踏み込んだワークショップの必要も感じて来ました。

  この8月に計画されているラブフルート・ワークショップは、僕たちが人生を歩んで行く事・人生の様々な要素がもたらしている事と笛を吹く事との関係を中心に展開して行くつもりです。

  人生に起こる様々な出来事の根底に流れている静かで深い自己意識・
自己感覚。そこに流れている個々人独特の世界から湧き上がるもの。それが樹木という個性溢れる存在と触れ合い、一体化する時に浮かび上がるもの。

  それは響きとなり旋律となり、自分自身でありながら気づく事のなかった自分との出会いへと繋がって行く。

   ラブフルート特有の響きを感じる為に、様々な楽器や声の世界を体験しながら、何故ラブフルートが独特の空間を持っているのかをじっくりと感じ取っていただきたいと思います。

   楽器の特性を知識として受け取るり吹きこなす事とラブフルート特性が生かされる呼吸と響きを知る事との間には大きな開きがあります。呼吸には精神性との密接な関係があります。精神性には意識性に伴う価値観との深い繋がりがあります。この辺りを少し掘り下げられればと思っています。

   勿論、ラブフルートに限らず、音の世界が見せてくれる豊かさも確認しながらの展開を考えています。

   最後には、自分の魂の根源にあるリズムと旋律がラブフルート固有の響きを伴って歌い始めるきっかけになればと思っています。

  ネイティブアメリカンたちが手にしていた素朴な一本の木の笛が、僕たちの時代の只中に存在する意味を感じ取るワークショップ。

   関心のある方はお問い合わせください。
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