2012/10/31

蝦夷山桜が呼び寄せてくれた  雑感

ラブフルートの響きに心を寄せる方々との出会いを楽しみ、喜ぶ旅。それがどこまで続くのか分からないけれど、道がある限り辿って行くことになるのでしょう。

つい先日、蝦夷山桜の木を切り倒すのだけれど、もし必要なら引き取りにこられますか?と連絡がありました。数年前にラブフルートを作らせていただいたご婦人からの電話でした。

近くの公園のトンネルでラブフルートを吹いていた時、ジョギングをしていたご夫妻に声を掛けられ、その後の流れでご夫妻が一緒に楽しむためにペアでラブフルートを作らせていただきました。

仲良く登山に出かけたり、ジョギングの途中で工房に立ち寄ってくださったり、恒例の吹き初めの時に美味しいカステラを作ってきてくださったり。交流を楽しんでいましたが 、多忙になられてしばらくご無沙汰していました。

切り倒された蝦夷山桜がラブフルートになるまでには3〜5年掛けてじっくりと乾燥するのを待たなければなりません。果たしてフルートになれるかどうか分からないけれど、とにかく引き取ることにしました。

ご婦人は体調が良くないと話しておられたのですが 、お訪ねして知ったのは予想外の出来事でした。具合はいかがですかとお尋ねしたところ、ジョギング中に大型犬の群れに襲われたというのです。

ご夫妻で走っていたのだけれど、途中で分かれて、また合流するつもりだったのだそうです。ご婦人の方が農道脇で複数の大型犬に襲われ、側溝に引きずり込まれ、泥水の中で血塗れになったというのです。調度、飼い主が餌をやりにきていた時だったので、何とか引き離せたようです。さもなければ、恐らく命を落とされていたことでしょう。群れになった犬は本能のままに振る舞うでしょうから.....。

耳や、両足の太腿、頭部、腕や手など、至る所を噛みちぎられたのだと知りました。頭蓋骨を噛まれた時に聞こえた不気味な音が耳から離れないとお聞きしました。しかも、飼い主は全く謝罪することもなく、会おうともしないということでした。

あまりに突然のお話に、何も言葉が出ませんでした。温厚で笑顔の素敵なご婦人ですが、すっかり怯えて外に出ることもできず、ご主人は奥様の身の回りの事を手助けするためにお仕事をやめられたとのことでした。

痛みで眠られない夜が今も続いているとのこと....そんな中でラブフルートの事を思い出して連絡をいただけたことを感謝しています。僕はこの出来事とどのように関わって行くのだろうか?

盲導犬のためにパピーウォーカーをされているTさん。奥様が歩くことや身の回りのことがうまくできなくなり、付きっ切りのTさん。ご主人が重篤のUさん。ラブフルートとの出会いから生まれた交流は、ラブフルートを吹く機会が持てなくなった時こそ大切になって行くのでしょう。

与えられた出会いを大切にし、とりわけご高齢で一人暮らしの方々には、格別な用事はないけれど思いついた時に声をかけるようにして来ました。それは、ラブフルートの有無に関わらず続けて行くだろうと思います。

秋が一気に過ぎ去り、玄関を開けたら一面雪景色という日が近づいています。美しい月明かりを眺めながら、久々の書き込みです。
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2012/10/7

自分の軸が明確になる…  ラブフルート

東京神楽坂の小さな丘の展示会、コンサート、ワークショップ、アロマとのコラボ、路上ライブ盛りだくさんの神楽坂滞在期間が終わりました。

ラブフルートと触れ合うために来てくださった方は予想以上に多かったように思います。なんの知名度もない木の笛と作家のためにわざわざ足を運んで下さる事自体が驚きでした。

いつものことですが、東京に入ると人の多さが印象に残ります。誰にも会わずに過ごす日などありえない。そんな大都会は平日の真夜中にたくさんの人が、街中で飲み食いしていました。

僕はほとんどの時間を工房作業ですごし、月2回のレッスンと忘れた頃にラブフルートに関心を寄せて訪ねてくださる方とお会いしたり 、たまあにやってくる演奏のオファーにお応えしています。実に静かなものです。

そんな僕が東京のど真ん中で、手作りのラブフルートを並べて、ご希望があれば音色をお届けするという機会を与えられたわけです。そこにどれだけの人口があったとしても 、ラブフルートとの出会いを経験される方はわずかです。さらにご自分で手にして吹かれる方はさらに限られています。

展示会会期中に、「売ろうとしているのではなく、買わないようにしているんじゃない?」と言われました。そう感じさせる要素があったのだと思います。時間をかけて手作りしたラブフルートがあっさりとお金と入れ替わってしまう事が苦手なのかもしれません。十分に吟味し納得した上で手にして欲しいという思いが、売れないようにしているという印象になっているのでしょう。

人との出会いから生まれてくるラブフルートという流れの中で製作してきましたので、売れれば良いという視点がなかったのだと思います。お金の必要性も大切さも十分理解しているつもりですが、受け取るお金の質を出来るだけ大切にしたいと思っています。それはKOCOMATSUの空間を支える姿勢とも繋がっています。

いつものことですが、お会いした方々から学び感じることがたくさんあります。会期の最初の方に来られた方が、最終日に再び駆けつけて一本のシウリザクラのラブフルートを手にされました。30センチに満たない小さなラブフルートに確かめるように息を吹き込まれてから、このラブフルートをくださいと言われました。

「この笛を吹いていると、自分の軸がはっきりとするんです。」と口にされました。必死で仕事を終わらせて来たんですとも話しておられました 。最終日は早めに撤収して荷造りし、飛行機に間に合わせることにしていたのですが、台風直撃で欠航になりました。天候もまた、絶妙のタイミングで僕たちの旅を支えていることを感じるできごとでもありました。

いい出会いが生まれたな…と感じました。いのちの根源的状態である呼吸が木と触れ合いバイブレーションを起こすとき、自分自身が響そのものになり自在に天空を駆け巡る。自分を取り囲む一切のものが霧散し、存在そのものを喜び楽しむ。新しい仲間が現れた…そんな風を感じる最終日でした。
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