2013/9/3

お帰りなさい  ラブフルート

精魂込めて作らせていただいたラブフルートたちが工房に帰ってきました。

工房に帰って来るラブフルートには幾つかの帰り方があります。一番多いのは、ラブフルートを手に旅を始められた方が、マイフルートを連れて帰省する?スタイルです。

これはなかなか嬉しく楽しい帰省です。とりわけ、ピッカピカにお手入れされ、愛されているラブフルートと対面するのはいいものです。こんなことを書くと、手入れしてなくて恥ずかしいから帰省しないなどという方もおられるかもしれませんが...

妙な話ですが、手にされた人の記憶が怪しくなっても、自分が手をかけたラブフルートは鮮明に思い出します。打ち込んで過ごした時のエネルギーが鮮明な記憶と繋がるのでしょう。

もちろん、中には、帰省することなく棺と共に旅立ったラブフルートたちもいます。そして、今回は、手にした人は旅立ち、ラブフルートたちだけが工房に帰省しました。

最終的に僕のところで生まれたラブフルートを10数本手にされ、吹いて楽しまれ、イチイのラブフルートが完成した時には奥様とお二人で北海道まで引き取りに来られた方が、その数年後に急逝されました。

「木々の響き」というCDが発売される直前のことでした。CDの注文が入り、「主人に聞かせてあげたかった」という奥様からの電話で亡くなられた事を知りました。彼が、恵み野キャニオンで嬉しそうにイチイのラブフルートを吹き続けておられた姿が浮かんで来ました。

それから数年後、懐かしい奥様からの声が届きました。大切に残してあったラブフルートの響きが僕の演奏の時に、みなさんのところに届けられるのが良いと思いお届けすることにしましたとの連絡でした。

奥様のラブフルートや子供達のためのものは手元に置きますが、それ以外はぜひ演奏にお使いくださいとのことでした。この時、震災の前年末に盗難にあったラブフルートの事をお伝えしたところ、大変悲しまれると同時に、是非ともラブフルートを受け取っていただきたいとのことでした。

数日後、工房で生まれたラブフルートが3本とその他で作られたフルートが6本、さらに可愛いインディアンドラムとホピで買い求めたカチーナ2体が届きました。

僕は今後の演奏の中で、帰省した子供たちの声、その響きを届けることになるでしょう。彼らは新しい物語と共に、響き始めると思います。

失われたラブフルート20数本は、未だに帰ってきてはいませんが、不思議な形で我が子たちが工房に姿を見せてくれました。

これまでにも、どうぞ失われたフルートの代わりにお使いくださいと声をかけてくださった方々が何人もおられました。また、5本ほどまとめて梱包され、届いたこともありました。その後、ご安心くださいとお断りしましたが、その子達を合わせるとあたかも姿を消したラブフルートたちが帰って来たような不思議な気持ちになりました。

こういう暖かく優しい方々のところに出かけて行った木々のラブフルートたちは幸せだっただろうな.....。

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