2006/1/16

ポプラフルートの産声  ラブフルート

2005年4月26日(火) 徒然笛日記より転載

象牙色のポプラがどんな音色で歌うのか
その思いは新鮮な感覚とともに
何度も心をよぎりました

それと同時に果たして歌ってくれるのだろうか
という不安も交錯していました

通常の製作工程を念入りに調べ直し
ポプラの樹にどんな加工をすればよいのか
慎重に検討することが最初の仕事でした

シールド剤がたちまち吸い込まれてしまうのを見て
これは厳しい..と
それでも通常の倍の量を塗布し
空気に触れる部分や水分を吸収しそうな部分すべてに
処理をしました

素材はあまりにも柔らかく傷つきやすい..
汚れもすぐに付いてしまう
どう扱えばよいのか思案しながらの作業が続きました

最初に比較的鳴りやすい短いフルートを手がけました
予想通り上手く響きませんでした

今度は弱々しく微かな響きを
最大限に共鳴してくれる本体の状態を模索する作業に入ります
これは行き過ぎると完全な失敗になるため
薄皮を剥ぐように根気の要る作業になります

削っては吹き、吹いては削る
気が付くと、そこには初めて生まれてくる
ポプラとの会話がありました

振動を吸収する素材のため呼吸の状態が極度に影響します
これはポプラの問題ではなく
呼吸する自分の側の問題であり課題でした

音色に気を取られ、呼吸の調整が難しかったのですが
それでも短いフルートは歌い始めました
優しい響きでした

その直後に、中くらいのフルートを手がけ始めました
難しさは倍増するのですが
先の経験を土台に改善を加えて作業を進めました

あまりに弱々しい響きに愕然としましたが
なんとか気を取り直して作業を継続し
ようやく産声を聴く事が出来ました

それは耳を澄ませなければ聴こえないほど静かな響きでした
あとは呼吸の状態がバランスよくなることでもう少し
歌うようになるだろうなと思っています

それにしても何という声でしょう..
天空に向かって一直線に伸びてゆくあのポプラの声が
勇壮な姿からは想像も付かないような
穏やかで、優しい響きなのです

柔らかく白い音の化身に
そっと心の奥に触れらるような
不思議な感覚を呼び起こしてくれる

厳寒の地にそびえ立っていたポプラが
倒されたいま、私たちの心に向かって
語りかけてくるメッセージ

それは様々な形で私たちにもたらされていくのだと思います
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