2010/10/7

残されたメロディー  ラブフルート

  Oさんの棺に納められたクリのラブフルート。その経緯をKOCOMATSUを訪ねて来られたご主人から伺いました。病室でのレッスンをとても喜んでおられたOさん。フルートを吹いている姿や素敵な笑顔を鮮明に記憶しています。それから数週間後に亡くなられたのでした。

 ご主人は、フルートと一緒に見送る、手元に残しておくかどうか、随分と悩まれたと聞きました。結果的に一緒に見送られたそうです。これまでにも何人かの方々がラブフルートと一緒に旅立たれましたが、お一人お一人を顧みると様々な思いが心をよぎります。

 Oさんのご主人は、小さなラジカセを持ってこられました。KOCOMATSUで聴いてほしいと思って持ってきましたと云いながらテープをかけてくださいました。そこには闘病中の奥さまがラブフルートを手にした嬉しさと喜びがいっぱいの明るく軽やかな自作のラブフルートのメロディーが録音されていました。

 正直、長い闘病生活に加え、放射線治療の後遺症と闘っている日々に生まれたとは信じられませんでした。メロディーを聴いていると嬉しそうな笑顔が浮かんできます。こんなに、伸び伸びと、軽やかにフルートを楽しんでおられたことをテープを聴いて初めて知りました。

 全身に転移し、脳にまで進行していたOさんが、ベッドに横たわりながらも、明るいメロディーを楽しそうに吹いておられた背景には、体力や体調が許す限りフルートを楽もうとする時間があったのだと思います。帰宅したご主人にギターで伴奏してほしいと声を掛けられて驚いたそうです。その時、Oさんは二人の演奏を録音しており、病室でも聴き返していたようです。そのカセットテープを持ってきてくださったのでした。
 
 Oさんのフルートの音色を聴かれたご主人は、こういいました「もう少し生きたい」ではなく「私は生きる!」という響きでしたと。

 Oさんが弱り切って吹けなくなった時、ベットのそばでご主人がたどたどしいけれどラブフルートを吹いて過ごしましたと話してくださいました。

 最愛の奥さまを亡くされ、ラブフルートと一緒に見送ったご主人にかける言葉は限られていました。看病のために仕事を退職されたと云いますが、それは当然のことですし、そうすることに十分意味のある女性でしたと口にしておられました。

 そういう女性との出会いと人生の豊かさを感謝して受け止めながら、ご主人の道を堂々と歩んで行けるようにと密かに願っています。奥さまの手にされたクリと同じ素材のラブフルートにこだわらず、ご自分に相応しく必要な響きを求められることをお勧めしました。

 奥さまの仏壇の前で吹くためのフルートではなく、自分自身のために吹くマイフルートを選びたいと望まれたご主人。色んな響きを確かめながら4〜5時間過ごされてミズナラのクローズドタイプのラブフルートを選ばれました。フルートが完成してお渡しできる頃には、少し悲しみや寂しさが和らいでいますように...。
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