浜木綿(ハマユウ)です。
語呂がいいのか、字面がいいのか、はたまた優しげな言葉の雰囲気がいいのか、わりとお目にかかる言葉だと思います。
海岸沿いのお食事処や民宿なんかには、必ずありそうなネーミング。
海の家には確実にあるでしょう。
『で、実物は?』
『さて、どうだろう?』
けど、この写真を見れば、たいていの人はお目にかかったことがあるのではないでしょうか。
そう、これが浜木綿です。
ちょっと見ただけでは、白いアガパンサスに似ています。
さらに、季節が秋になれば、白い彼岸花にも似ています。
この夏、海のほうに行くことがあれば、ちょっとだけ気にかけておいてください。
ちなみに、写真に写っている道路の向こうは、横浜の山下公園。
こんなところにも浜木綿が咲いています。
で、この浜木綿。
問題は木綿のほうだと思うんだ。
なぜに木綿が 『ゆう』?
じつは、ゆうのほうが由緒ある読み方。
神道で用いる神具に、紙垂(しで)というものがあります。
紙垂というのは榊(さかき)の枝から垂らしたり、注連縄(しめなわ)から垂らしたり、はたまた相撲で横綱が土俵入りするときに、化粧廻しから垂らしたりしています。
ちなみに建築屋さんは、この紙垂に地鎮祭でお世話になります。
四方に竹を立て、縄を張って結界を作ります。
その縄から垂らすのが紙垂。
このあたりの作業までは、建築屋さんが手がけることがあるんです。
で、これが昔々は紙製の紙垂ではなく、布製の木綿(ゆう)というものでした。
昔々というからには、布といえば麻などの木の繊維から作ったもの。
いわゆる綿から作った木綿というものが、日本で一般的になってくるのは、昔々ということではなく、昔ぐらいのことだからね。
その当時は、木綿は 『もめん』 ではなく 『ゆう』 と読んでいたようです。
そして、浜木綿の花は布製の木綿に似ているということで、ゆう。
けっして、わたからきたものではありません。
興味のあるかたは 『紙垂』 『木綿』 で検索してみてください。

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