木曽桧(きそひのき)の耳付き材です。
木曽桧というのは、桧の中のブランド品。
というか、日本の木材の中のブランド品といっていい存在です。
それも、昨今、宣伝力によって地位を与えられたブランド品ではなく、昔から続く絶対的なブランド品です。
業界人は、木曽桧のことを、尾州桧(びしゅうひのき)とか尾州ものなどと呼んでいます。
木曽というのは信州。
それなのに尾州というのは、木曽桧などが生育する森林を、尾張徳川藩が管理していたからです。
尾張徳川藩の管理というと、強大な権力をバックにした管理ということで、それこそ水戸黄門の印籠ものだよね。
勝手に伐採したりすると 『木一本、首一つ』 などといって、首が飛ぶという話もあったようです。
これ、尾張出身の信長とか秀吉が、安土城だとか大阪城だとか聚楽第だとかの建築に、大径木をばんばん伐採して使ってしまったことが大きいんだろうな。
ま、それ以外にも、戦乱で焼けてしまった神社仏閣の再建だとか、戦国大名たちの築城ブームということもあるんだろうけどね。
そんなこんなで、さすがに、このままではまずいということで、強力に管理するようになったことなのでしょう。
木曽桧、いろいろと魅力のある材料です。
その魅力の中で、私が一番好きなのは、匂い。
木曽桧の匂いというのは、ふつうの桧の匂いとは違うんだよね。
ふつうの桧の匂いにある、きつさみたいなのがなくて、甘くさわやかな感じがします。
もう匂いというよりも、香りという感じ。
機会があったら、ぜひ嗅いでみてください。

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