2006/3/29

『北アフリカのイスラーム聖者信仰』  お勧めの1冊

鷹木 恵子著、刀水書房、2000年 紹介記事には『北アフリカ・マグリブ地域のイスラームにおける、特に聖者信仰の位相に焦点を当てて、その具体的な形成過程と今日的状況とを、チュニジアの一つの村を舞台として描いた民族誌』とある。

チュニジア内陸部、ジェリード地方のフィールドワークによるもの。 その中でこの地方独特の「ファラオの祭」紹介し、この儀式が西欧の「5月祭」あるいは「5月の樹」の行事との多くの共通性を指摘している。

『・・・このことは地中海を隔てて、その北岸と南岸がそれぞれ今日ではキリスト教世界とイスラーム世界に分かれていながら、双方の基層文化においては地中海世界としての共通要素を見い出せることや、またジェリード地方が古くはローマ文化圏下にあったことを想起させる興味深い行事であるといえる』p164 

聖者信仰にしても、このお祭りにしても地中海の北岸と南岸がその基層文化においては多くの共通性をもつということは、当り前と言えば当り前の事。 しかし、しばしばキリスト教圏とイスラーム圏を対立軸とするような雰囲気の中ではこのことは忘れられる。 この本は文字どおり各論に徹したもので、判り易い。 各論の積み上げの中からしか総論は生まれてこないもの。

ここで著者は一事、この北アフリカの聖者信仰とハイチのVoodooの共通性も指摘している。これはもしかすると奴隷として西アフリカのナイジェリア近辺の黒人がサハラ越えしてチュニジアにも、またミドルパッセージによりカリブ海にも渡ったからかもしれない。ただし著者はこれについては何も述べていない。多分研究者としての「慎み」であろう。
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