2006/3/24

『新しいヨーロッパ像の試み』  お勧めの1冊

副題:中世における東欧と西欧、刀水書房。ジェフリ・バラクロウ 編纂、1979年 今までロマネスク時代の東欧というのは精々、異教徒に関してくらいしか意識の中になかったので、この時代東欧でも続々と新興国家が建設されていたことをこの本ではじめて知った。

この本は東西の歴史家、イギリス人、ポーランド人、チェコ人それに2人のドイツ人の手によるもの。それぞれの著者の歴史観は微妙に違うし、またそれはそれぞれのよって立つ立場の違いも示している。 しかしいずれもこれまで軽視されていた、ロマネスク時代の東欧というものを見直そうという立場は共通。今日のEUを巡る理解にも参考になるかもしれない。その中でちょっと面白いと思った1節。

『南ルート(地中海貿易)による東西貿易が東欧や西欧の経済にとってあまり意味がなかったことは、それほど認識されていない』p140 『*金銀を別にすれば、人間の生活に不可欠な商品はほとんど扱われていなかったからである・・・中世の民衆が大量に必要とし、中世の経済全体が必要としていたものを供給していなかった・・・』p142

*)これについては、別の本でまた違う考えを参考にすることは大切だろう。
『貨幣システムの世界史』によれば、「金や銀は装飾品としての多少の価値はあるにしても、鉱物自身が価値をものではない。それが通貨として「認識」される時にはじめて価値を持つものだということ。通貨は、広く流通し交換されなければ価値は無い」。

これまで、べネチアとか、地中海を舞台にした多くの歴史物語が主流な世界にあっては結構新鮮。 この章の著者のイギリス人、マイケル・ポスタンは、この中で「北ルート」の重要性を強調する。 

この本の原本が書かれたのは1970年、「ベルリンの壁」が壊されるはるか以前。 歴史に関する本を読む場合は、其れが書かれた背景を知っておくことが、かなり重要だとはこの頃よく感じること。
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2006/3/24

『日本人の思惟方法』  お勧めの1冊

中村元著。 様々な版があるようだが、その1つは春秋社より3 巻『〈第3巻〉/東洋人の思惟方法〈3〉日本人の思惟方法』が出ている。1989年。 紹介記事によれば、『日本人とは何か。古典作品や仏典などあまたの文献の分析をもとに、風俗・習慣をもふまえて、日本人に特有の思惟方法を考察。新編集による決定版選集』とある。

『○○人の思惟方法』と一連の著書の1つで、○○の部分にインド、チベット、中国、日本が入る。 もともと<同じ>シャカの思想である仏教が、それぞれの文化にどの様に受容されていったかを調べることで、その基層文化構造を探るというもの。私自身はまだインド人編と日本人編しか読んでいない。

この仕事に注目したのは、その解析の「発想」にスゴイ!と思ったことが主な理由。このことの意味することは 『同じ思想的源泉から出ても各々の基層文化によってその進化が異なり、一見似て非なるものが生まれることは十分にある』
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