2006/4/30


先日(2006/4/25)アーミテージ前国務副長官が現在の日本の歴史認識には問題があると発言されていた。 そしてこれは最近の日本国内のナショナリズムの動きと関連するとも述べられていた。 

彼の発言の背景には同盟国である日韓がこの問題で対立し、まともな首脳会合すら開けない状態が米国のアジア戦略上極めて不利であることがあるに違いない。

また、私個人的には彼の云うように現在の日本が特に右翼化しているとは思えない。 とはいえ、やはり彼のような第三者の意見は真摯に受け取る必要がある。 とかく渦中にいる人間には自分の正確な状況に対しては盲目的なもの。

西欧中・近代史における経験則として『階級闘争と愛国運動は補完的に働く』と云うのが在る。14世紀の英仏百年戦争とジャックリーの乱、16世紀の宗教改革とドイツ農民戦争。それにフランス革命や15世紀のフス革命も例に挙げられるだろう。『経済幻想』参照↓
http://diary.jp.aol.com/applet/salsa2001/20060308/archive

もしこれが今の日本にも当てはまると仮定するなら、今日本で貧富の差の拡大に伴う階級闘争が始動しはじめているということか?
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2006/4/29


最近中米現代史を調べてみると、ある人物の名前が記憶を蘇らせる。レーガン政権時代、ニカラグア内戦を巡ってCIAが不正にコントラ反政府組織に資金援助か、武器密輸かをした、ということで連日のようにアメリカ議会で公聴会が開かれていた。 あの時はレーガン側近にまで捜査の手が延びたが不思議と大統領は問題とされず彼が明るく振る舞っていたのが印象的だった。

その事件で限りなくクロに近い印象があったネグロポンテ氏。 彼が一昨年イラク大使に任命されたことは記憶に新しいところである。 ネット情報によれば現在彼は国家情報長官とのこと。 彼のような人物をまだ必要とする諜報の世界があると云う事でしょう。 
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2006/4/28

錬金術と物作り  試行,指向,志向、思考

今朝(2006/4/28) のラジオ番組「ビジネス展望」での寺島実郎氏の発言。

70年代のオイルショックの記憶がある者には最近の原油価格の暴騰に対し日本の企業が元気なのは不思議なこと。彼はそれが「円」の力と「省エネ」の結果だとする。別に当たり前のことを述べられているだけですが、数字を挙げて説明されると納得する。 例えば省エネについてはアメリカの2倍、中国の9倍。 

『中国が石油資源の確保に血眼になっている』と、よく聞くようなマスコミの報道とは裏腹に中国の原油輸入量はこのところ数%しか上昇していない。 何故なら現在の原油価格は中国にとって高価過ぎるからと。

円の価値の上昇と、省エネを可能にしたのは日本の『物作り』の技術。今朝のニュースではホリエモン仮釈放の話題が占めていたが、錬金術と物作り、どちらが国の将来を開くか歴然としている。
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2006/4/28


伊勢参りの最盛期、江戸時代に夥しく出された当時の伊勢参りのガイドブックには阿弥陀仏来迎の姿が描かれている。 また16世紀の中興の祖が実は仏師だったとか。神仏一体の伊勢信仰の姿がよく判る。

さらに内宮と外宮を結ぶ古市には夥しい数の遊郭が軒を並べ、当時の日本人口が3000万の時、60年に一度は200〜400万の巡礼を迎えその繁盛ぶりが伝えられる。当然のことながら信仰心だけで伊勢参りをしたわけでは無かったということだろう。

ここらは民間宗教である聖人信仰と、旅の開放感を提供したヨーロッパのサンチアゴ・デ・コンポステーラ巡礼を思い起こさせる。 共に神道とも、またキリスト教神学とも相容れない民衆信仰と俗的好奇心の現れかと。

当時自由な旅行の機会が無かった民衆に唯一の日常からの脱出の機会であった巡礼。そのような伊勢参りが廃れていくのは明治維新後、神道が国家宗教となり周辺の茶店(遊郭)が一掃されたのが原因と云われるが、よく納得できる話しではある。
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2006/4/27

マスコミ情報  試行,指向,志向、思考

ハイチに日本政府が無償援助とのニュース。外務省のHPで調べてみると、↓
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/18/rls_0413a.html
やはり去年、一昨年のハリケーンの被害は相当なものだったよう。人口859万人(2004年)のハイチで死者は2000人以上とか。

去年はルイジアナを襲ったハリケーンの被害にマスコミの注目は集中していたが、当然カリブ海諸国にも甚大な被害が出ているはずだと思っていた。 特にハイチはかつて国土を覆っていた森林が近年に急激に失われていることを知っていたので心配していた。
『ハイチ;目覚めたカリブの黒人共和国』↓
http://diary.jp.aol.com/applet/salsa2001/20060314/archive
情報というものが我々のところまで届くまでにマスコミのフィルターを通っていることを常に心得ていることが必要なよう。
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2006/4/26

イスラーム金融を前近代的と笑えるか?  試行,指向,志向、思考

このところ『グレーゾン金利』を巡って消費者金融に注目が集まっている。 かねてより私はこの手の高利貸し(ゼロ金利時代に年利20%以上が高利でなくてなんであろう)がTVコマーシャルに盛んに露出し、街のあちこちに大きな看板をみるような現状がマトモではないと感じていた。 

資料によれば、日本の高額所得者の上位に消費者金融の経営者が名を連ね、一方で利用者の6割が年収300万以下だとのこと。 これらの事実が何よりも実体を表している。

利子を禁止したムハンマドの教えに従い、金利ではなく共同経営によって利潤をあげようとするイスラーム金融の挑戦を前近代的と我々は果たして笑えるだろうか? 現在40カ国で200を越えるイスラーム銀行が、約3000億ドルの資金を動かしているが、日本の金融機関はこの分野で全く動いていないとか。

欧米のビジネスモデルだけしか目が向かない日本の現状は問題があると思うのは非常識か?
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2006/4/25


「自省力」という国力。公の場で自国の政府を批判できる自由、不同意への同意の健全さ。これがアメリカのソフトパワーだと云われる。イラク戦争に対する退役軍人、それも将軍達の政権批判。星条旗を掲げつつも移民法に反対する移民達。それがアメリカの誇るべき器の大きさ。 

元軍人であるアーミテージ前国務副長官が『9-11後、アメリカは伝統的に輸出してきたものを変えて来た。希望と楽観主義から、今は怒りと恐怖を送り出している』と述べているが、このようなことを元政権中枢にいた人が述べる事ができ、またこれを許容するところがアメリカの懐の深さ。 果たして同じ事が我が国でも出来るだろうか? 

自分も含め、しばしばアメリカに批判的な言葉を述べる人が多いが、根のところではアメリカ大好き人間が多いのはそれがあるから。それこそアメリカのソフトパワーの顕われ。日本も見習うべきだろう。
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2006/4/24

『中世の再発見』  お勧めの1冊

網野善彦氏と阿部謹也氏の対談集、平凡社選集。1994年。紹介記事には『日本と西欧の新しい中世史像を築き上げる二人の歴史家が語り合う。市と平和、売買と贈与、宴会ともてなしをテーマに、中世的世界のなりたちと現在とを同時に見かえす視覚が、鮮やかに浮かび上がる』とある。 

この中の「徳政と時間意識」のところで西洋史家の阿部氏がこのようなことを発言されている。  

『ヨーロッパでは時間が直線的に、ある終末に向かって進行していくとの考え方に長いこと慣れていますが、これはキリスト教以前はそうではなく、もっと循環的で、日本やアフリカ(ヨーロッパ以外の世界)の考え方と同じであった。その点でヨーロッパの方が非常に「特殊な世界」である。したがって、その特殊な世界で作られた時間の概念を他でも適用しようとしてきたところに問題があった』

フーコーはこのように問いかける、『余計なものとして存在しているこの「時間」をどうすればいいのか・・』彼もまた、その「特殊な世界」の住民なのか。
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2006/4/23

『西洋中世の罪と罰』  お勧めの1冊

阿部謹也著、弘文堂 1989年。紹介記事には『中世民衆の死のイメージを探る。本邦初訳の史料を手掛りに、中世民衆の姿を生き生きと描き出し,死生観の変化をダイナミックにとらえる。『刑吏の社会史』から10年、待望の書下ろし』とある。

一般向けで読みやすいが内容はかなり高度。特に面白かったのが第六章の「キリスト教の教義とゲルマン的俗信との拮抗:贖罪規定書にみる俗信の姿」。 シュミッツの資料からとのことですが、これは『中世の身ぶり』を書いたシュミッツのことを指すのか?

内容は司祭の解告の為の手引き書であるが、これを通じて我々は当時の民衆の俗信が知る事が出来るとともに、しばしば著者の意図を離れて史料を読むことが出来る。 例えばその中に示される贖罪の程度(3日から15年の贖罪行為規定)を通じて当時の教会が殺人より性的逸脱の方が重罪としたなどが判る。 また一部内容には現代日本人の習俗と共通するものが多数ある。

著者が色々なところで述べていることだが、定期的な「告解」という宗教行為を通してヨーロッパ人に「個人」という感覚が他のどの文化圏より早くから発達したという解釈はそれなりに説得力がある

(史料)1215年のラテラノ公会議において年一回の「告解」を復活祭の頃にかならずおこなわなければならないと義務づけられた。
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2006/4/23

『ヨーロッパとは何か』  お勧めの1冊

副題「文化の重層的空間」饗庭孝男著、小沢書店、1991年

この中にアンナ信仰のことが書かれてある。 それによればケルトの大地母神アンナが聖母マリアの母アンヌとすり替えられた(p46)とのこと。 黒い聖母が大地母神起源らしいことは昔から聞いていたが、アンナ信仰もそれだとは知らなかった。ちなみに現在ケルト起源をもつフランス語は約60語。 しかも主に川や山それに都市の名前などの固有名詞らしい。 その中にはパリも含む (p33)。 

だがこれを持ってして著者が述べるようにケルトの思想がどれだけ後世に伝えられたかは私としては懐疑的。 最近のケルト注目の風潮は19世紀のロマン主義同様に、やや政治的ではないかと思う。
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