2006/9/29

昨日の朝日新聞の「ワールドクリック」より  試行,指向,志向、思考

マレーシアのマハティール前首相が昨年11月の朝日新聞の「私の視点」で以下のように述べていることが紹介されていた。

『…かつてイスラム教徒は見識を積んだ故に力があった。ギリシャ、ペルシャ、インド、中国などの外部の文明を積極的に学び… ところがイスラム指導部は15世紀頃から科学的な研究を抑制し、宗教を学ぶものだけが栄誉を享受出来るとした。その結果イスラムは知的に後退し、今日の苦境を招いた…』

実は全く同じことを『イスラム世界はなぜ没落したか?』の著者、バーナード、ルイスも、
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ニューアンスはかなり異なるが、『ギリシャ思想とアラビア文化』の著者のディミトリ・グタスも初期イスラーム時代については同じようなことを述べている。 
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私の見るところ両者は政治的には敵対している。しかしその両者が初期イスラーム文化が繁栄を極めた理由については同じような理解をしていることは注目していた。 今回、マハティール前首相も同じような事を述べているのを知って。おそらくこの理解は間違っていないだろう。

ところが面白い点はそれだけではない、実は西欧中世史を眺めると同じようなことが起こっている。カロリング・ルネッサンスはともより、それに続くロマネスク期は『革新の11−12世紀』とも『ヨーロッパの知的覚醒の時代』とも云われ、この時ヨーロッパは外部の文明を砂地が水を吸い込むごとく学んだのであり、これが礎となり西欧は大きく躍進した。これらのことから得られる歴史的教訓は明快ではなかろうか?
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2006/9/28


今朝の朝日朝刊に『美しく凛とした国』を掲げた安倍新首相に対する苦言が東大の本田氏から出されていた。

格差が世代を超えて受け継がれ固定化されつつあるとの報告が沢山出されていることに対して具体的な指針がなく、再挑戦やチャレンジだけを提言するのは『単なる尻たたき』だとし、美しいとか凛としてといった<情緒的>言葉で政策を語るべきではないという意見は実に同感。

『美しく凛とした国』を <目標> に掲げるのはいい、しかし政治家ならばそのための <道標> を具体的に出すのが筋。
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2006/9/26

イラク戦で世界はより危険になった  試行,指向,志向、思考

NY Timesによれば、米国情報機関が「イラク戦で世界はより危険になった」との報告をまとめたとか。
http://www2.asahi.com/special/iraq/TKY200609250272.html
先の英国戦略研究所の報告に次ぐもの。
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ホワイトハウスが「報道は全体像を反映していない」とコメントしたことは報告そのものの事実は逆に認めたということ。

でも、これってイスラーム世界を少しでも勉強していれば当時から素人でもある程度予想できたことだと思う。何故、世俗政党であるバース党を基盤にもつ独裁者フセインがイスラーム過激派と共闘を組むと考えたのか? 『敵の敵は味方』の論理か? 戦術的にはあり得ても、戦略的にはあり得ないでしょう。 米国の歴代政権が専門家の意見を取りいれないことは歴史的なことですか、ブッシュ政権は典型。大統領制の一番の難点が出た政権。
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2006/9/25

『コロンブスからカストロまで』6  お勧めの1冊

最後の数章、カストロ革命までのカリブ現代史は理解できたとはとても言えませんが、しかし、ここは焦らないことが肝要でしょう。興味が続く限り勉強すればやがて理解出来るようになるはず。それはかつて沿岸戦争の時に、にわか勉強したイスラーム史で経験済み。

著者は厳しくキューバ革命を総括します。しかしその革命に対してはあくまでも良き理解者でしょう。彼は、 『(キューバの)共産主義は革命の原因ではなく結果だ』とする。私もこれには同感。 アメリカと言う国は、裏庭のカリブ海域ではどうも「建国の理念と理想」を簡単に忘れてしまうようです。この著者もまた多くのラテンアメリカの歴史家と同様、合衆国に対しては極めて厳しい。 彼は述べる、 『…革命で生まれた国家(アメリカ合衆国)が、その裏庭とも言うべき地位にある諸国(中米)に対しては、一貫して反革命の立場をとるという、見事なパラドックスをみる』p296  一方、合衆国に自ら組み込まれていったプエルトリコに対しては、その経済・社会問題を自ら解決する機会を失ったと述べ、続けて 『…たとえ全世界を得たとしても、自らの魂をなくしてしまった国は、それで利益を得たなどと言う事が出来ようか?』 と厳しい。P301

さて、では現在、プエルトリコは自らの魂を完全に失っているか?というと事はそう簡単でもないと思います。それはNYサルサの流行などに象徴されると私は考えています。   …それとも、アメリカ自身が内なる異分子により変貌を遂げ始めたからによるものなのか? ハンチントンはそのことを『分断されるアメリカ』として著わしたのですが… それにしても、1937年にプエルトリコで民族主義者が蜂起し大量に彼らが殺戮されて以来、かの地での独立派は少数となり1952年に合衆国の自治領となったとか。p246 つい最近?のことのようで驚き。

因にこの本のオリジナル版は1970年、四半世紀前に出版されたのですが、今もって輝きを失っていないですね。 歴史書というものが他の分野のものと本質的に異なる価値を何処かに持っていることを感じる書ですね、羨ましい限り。 スペインの歴史家、サンチェス・アルボルノスの言葉を思いだします。

『すべての歴史の専門書は、その修正を享受し、またそれに苦しむものである。 歴史が永遠の生成と死ー新たな生を与える死ーの学問である以上、それに似せて、それにかたどられて生まれた実りも、同様の輪郭を持っているのである…』URL↓
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2006/9/24

今朝の報道から  試行,指向,志向、思考

『報道2001』でかつて「Mr. YEN」と呼ばれた榊原氏(現、慶応大学教授)が次期首相の安倍氏の経済政策を批判して「安倍氏の掲げる3つの提言、open, innovation, challenge のうち、後の2つは民間がやるもので、政府の行なう事項ではない」と指摘されていましたが、まさにその通り! 先に指摘した通り、安倍さんの言葉には小泉さんと違い具体性がない。
http://diary.jp.aol.com/applet/salsa2001/249/trackback

それにしてもTV番組で経済問題での議論を聞いていると、知らないことが多く勉強になる。これは他の話題、例えば「科学」や「歴史」の時は議論が薄っぺらく失望することが多いのと対照的。それだけ私が経済音痴ということ。これは今後の課題。

参院の竹中氏が小泉首相の退任に合わせて参議院議員を辞職することに対しある自民党議員が批判しているニュースが出ていた。 竹中氏に1票を投じた有権者の批判なら納得出来る。しかし少なくとも自民党議員が言う資格はないと思う。竹中氏は参院で、比例区最高の72万票を獲得し空前の大勝利をもたらした功労者の一人。有り余った票を候補者リストに適当に挙げた人も参議院議員になったではないか?! 彼の人気を最大限利用したのは自民党、しかも彼に議員資格がないということで大臣に就いていることに批判をしたのも自民党の議員。「恥を知れ」と言いたい。
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2006/9/23

腑に落ちない…  試行,指向,志向、思考

阪大の杉野教授が論文捏造を認め、本人一人の責任だと全ての罪を被ったとのこと。
http://www.asahi.com/science/news/OSK200609220087.html

杉野教授はこの世界では余りにも有名。某巨大学会の役員なども歴任し、来年には阪大を退職予定。その後は海外で研究活動を続ける意向だったとか。そんな先生がJBC程度の論文に出すため捏造をするだろうか? いや、それなりにJBC世界的に有名な雑誌ですが…

最近多くの大学は任期制となり、業績次第で職を辞さなければならない非常に厳しい環境にある、特にそれは若い研究者に厳しい。 例えばある大学では助手の任期は3年で再任は2回まで(つまり最長6年)。 それがプレッシャーとなって捏造事件を引き起こす原因になってはいないか? 勿論弁解にはなりません。しかしそのような背景もあることはひと言指摘したい。

この事件では一人の自殺者が出た。余りのことの大きさに言葉が無い。
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2006/9/22


日本では小泉総理が高い支持率のまま退陣することになった。一方、タイでは政変によりタクシン政権が崩壊し、韓国、台湾の政権は『死に体』。

個人的には小泉さんはよくやったと思う。外交では批判がないわけではないが、政治的経済的難局をよく乗り切ったと評価出来る。 勿論イラクへの自衛隊派遣で犠牲者が出なかったことには幸運もある。

彼を私は『過渡期の人』だと思っている、彼が登場する必然性があったからこそ、彼はうまくこなしたという側面もある。時代が彼を求めたとも言える。逆に云えば<潮時>今後も彼の政権が続けば悪い方向に進むだろう。 後の人には彼の時代に取り残したこと、あるいは行き過ぎた事を改めてもらう必要がある。 その意味では今度の人ではかなり難しいと予想するが…?
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2006/9/21


blogでよく紹介するフランス中近世史家のE トッド、実は彼の本を初めて読んだ時、かなり抵抗があった。何故ならそれぞれの民族の家族構造が社会制度、ひいては国家の運命まで規定するかのような感じを受け、一種の「運命論」と受け止めたから。今はそうは思っていない。彼の仮説の真偽は置くとしても(原因なのか結果なのか)彼の仮説は実用性があると考えている。

また『オリエンタリズム』で有名なサイードに対しては、分かり切ったようなことを声高に、攻撃的にまくしたてる彼がいま世間で名声を得ているのか理解出来なかった。しかしその後、私自身が彼の影響を受けた時代の子であることに気がついた。

『文明の衝突』のハンチントンについては、その歴史認識のレベルの低さ(それは今でも思っている)に驚く一方、この著書が世間でもてはやされることに不愉快であった。しかし、その事実からアメリカの政策決定プロセスについて理解出来るようになった気になっているし、最近の著書である『分断されるアメリカ』に彼の苦悩をみた気にもなって今はそれ程の反感もない。

最近読書量が落ちている。これは必ずしも忙しさが原因でないと思う。気力の衰えか?あるいは脳の機能低下か? いずれにせよ悲しいこと。 何よりも今後このような本達の出会うことができるか心配である。
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2006/9/20

竹島問題その後  試行,指向,志向、思考

昨日の新聞の片隅に韓国が竹島近辺の調査を中止したとの報道。朝見た時には見のがしていた。

選択肢のない外交の袋小路に何故韓国が入っていくのか? その理由を5月の時点で私は「死に体」の盧武鉉政権がナショナリズムに訴えて求心力を得る為の手段だと見たが、どうやら正しかったようだ。やはりこんな場合は冷静に時間が過ぎるのを待つのが得策。
http://diary.jp.aol.com/applet/salsa2001/205/trackback

しかし、予想より早く来た感じではある。私は政策変更は盧武鉉政権の退陣の時期とみたが…? 悪化する対米関係や6カ国協議の行き詰まりで、これ以上日本との関係を悪くしても得にはならないとの判断が背景にあるのかもしれない。
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2006/9/19

今後不動産は投資の対象となるか?  試行,指向,志向、思考

今朝のニュースで19年ぶりに地価が上昇したとの報道。 では、不動産は今後投資の対象となるか? 多分答えは「否」だろう。 

単純な理由だが、去年から実質人口が減少したことを理由に挙げよう。 長年少子化と云われながらも寿命の延長で実質人口は増えていた。しかし、ついに去年からバランスが「減」に転じた。

一方、過去4半世紀の地価の変動を見ると2006年は80年の2倍強、途中90年をピークに所謂、土地バブルで東京地区は80年の4倍、大阪地区で5倍になっているけど、これはアルプスの単独峰みたいな山で文字通りの一過性バブル。 

確かに1980-2006年間のGDPの伸びに比べると2倍弱なのはまだ延びる可能性がありそうにも思える。 しかし、これからの産業に土地の因子が大きいとは考えられない、やはり此処は単純に人口割りで考えた方が正解かと思う。
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