2007/10/3

「額に汗して働く」ことをしない国の未来  お勧めの1冊

『サウジアラビア』保坂修司著、岩波新書。
矛盾の塊の国、サウジアラビア。 かねてより私はこの国を「サウド家のアラビア」と呼んでいるが、これは実際この国の正式名でもある。 絶対王政の国、世俗化を経験せずに近代化の道をたどった特異な国。そしてあの9-11のテロ実行犯のほとんどの出身国。この国を知ることは世界情勢を知るには不可欠。

著者は中東のイスラーム国家の王政と革命の関係を表にまとめてくれていがこれは色々なことを我々に知らせてくれる。
1) 王朝型君主制――革命なし サウジアラビア、クエート、バハレーン、カタル、アラブ首長国連邦
2) 王族が閣僚になれるーー革命なし ヨルダン、モロッコ、オマーン
3) 王族が閣僚になれないーー革命あり アフガニスタン、エジプト、イラン、イラク、リビア p22

つまり、王族が国の隅々にその構成員を配属することで革命の芽を予め摘む。それを可能にしたのが、後に述べる人口爆発。

ここで意外な事実をはじめて知った。それは国が意外なことに農業国であること。 1992年には小麦生産が400万トンに達し、うち300万トンは輸出に回ったため、サウジは世界第六位の小麦輸出国となったとか。 しかし、これは莫大な補助金による生産であり、事実補助金が減額された時点で生産は崩壊した。p56 

<人口の爆発と失業の増大>
2004年の時点でサウジの人口は2267万人、この中に614万人の外国人が含まれる。p59
これは1970年代はじめに人口は約600万人であったから、過去30年間で人口が4倍にふくれあがったことになる。p61  これが国全体では莫大なオイルダラーが流れ込んだにも関わらず、国民1人あたりのGDPを半減させる結果となった。 またさらにこれが若年層の失業率を急激に引き上げた。今サウジ人だけに限ると労働者1人当たり6人を養う計算になる。これは外国人労働者の0.7人とは対照的である。p90 20-24歳 28%, 25-29歳 9.8%, 30-歳 0.9%。 p88 E Toddによればこの人口学的危機がイスラーム過激派を生んだという。
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異常に高い失業率の一方で、厖大な数の外国人労働者、この謎はそれぞれの職種を比較すれば理解出来る。結論から言えばサウジの若者は「額に汗して働く」ことをしない。2002年の統計でサウジ人労働者の15%しかブルーカラーではないが、他方外国人労働者の50%弱がブルーカラー。p97

以上見てきたようにサウジは非常な資源に恵まれているも関わらず国の将来は暗い。『資源は繁栄を約束しない』よい例だろう。
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