2008/6/1

『イスラーム哲学』2  お勧めの1冊

訳者は「まえがき」の最後をこのように締めくくる。

『イスラーム世界において人々を伝統回帰に向かわせる原動力となるものは、床屋談義の話題に上がるような政治的諸事件ではなく、より深く、広範な文明と関わる事柄である… 今もなお人を根底から突き動かすものは、何よりも思想、哲学なのである。p14

著者は最初の章で、現在世界の思想的潮流を4つあげ、それについて評価を加える。 すなわち、1)民主的資本主義、2)社会主義システム、3)共産主義システム、4)イスラーム的システムである。

冒頭に2)の社会主義的な軍事政権について、

『社会主義的軍事政権は、それを成就する為に社会的環境の整備に勤めようとしているが、彼らは権力を把握するや、この試みを放棄しているのである』p31 と述べる。 

これは言外に社会主義的民族主義的政党である、バース党等を示しているのだろう、これが後、サダム・フセインにより彼が処刑されたこととも繋がる。

それにしてもあの「トホホのブッシュさん」と、その取り巻き連は、4)のカテゴリーに入るイスラーム主義的過激派であるアルカイダと、2)のカテゴリーに入る世俗的政治集団であるバース党が戦略的な共同戦線をとる、それだからフセイン政権を潰すことはイスラーム主義的過激派を一掃することだという殆ど考えられないような理屈を捻り出した。このことがイラク戦争の原因の1つであるとされている。これだけをみても如何にアメリカの現政権の知的レベルが低いかが判るだろう。
http://diary.jp.aol.com/applet/salsa2001/297/trackback

私のような素人でもこれらのことが理屈に合わない、いずれ中東はアメリカの意図と異なり、いやまさしく逆になり、大混乱に突入することはバクダッド突入直前から指摘していた。 その記録は以下の2003年3月30日分の書き込みに確認出来る(あの時点では2つの可能性を指摘していたが、現実には両方が並立する形で、中間線で進行している。 すなわち組織的大規模テロとシーア派イラク政権の誕生である)
http://www.greengrape.net/bbs/bbs_2003/rbbs_0520.html

…少し脱線したようだ。 

さてこの著者はこの本の他、我々が入手可能なものとして「無利子銀行論」を残している。この本は現在世界の金融を揺り動かしているオイルダラー、中東の国家的ファンドマネーの<表向き>の思想的バックボーンであり、政治家も経済人も無関心ではいれないはずなのだが、日本でこれが注目されはじめたのは比較的最近である。 少なくとも私がこのblogで指摘した時期では、まだマスコミの反応は鈍かった。
http://diary.jp.aol.com/applet/salsa2001/184/trackback
今ではイスラーム銀行や国家ファンドはマスコミで注目されているが、2年前の時点では殆ど議論されていなかったことを指摘しておこう。

…少し傲慢すぎるだろうか?
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2008/6/1

『イスラーム哲学』1  お勧めの1冊

『イスラーム哲学』ムハンマド・バーキルッ・サドル著、未知谷出版。1994年初版。 

『イスラーム哲学』
昨日、この題名で「ますます読めない」と嘆いてみせたが、もしかすると読めるかも?と内心期待している。 何故なら、彼の思想と、あのアリー・シャリーアティーの思想をホメイニが取り入れ、それがイランのイスラーム革命を成功させたと聞いているからだ、もし庶民に彼らの思想が理解出来ないならば、あれだけの国民を動員だけないだろう。 事実、シャリーアティーの「イスラーム再構築の思想」は読めた。
http://diary.jp.aol.com/applet/salsa2001/816/trackback

この本は著者が26歳時のものだそうだ、これほどの若い学生に完成したものが書かれるはずはない。これは頭に入れておく必要がある。以前ウイリアムズの本、「資本主義と奴隷制」を読んだ時もその問題があった。
http://diary.jp.aol.com/applet/salsa2001/306/trackback
円熟した後期の本『コロンブスからカストロまで』を読んだあとに若い時の本を読めばそれはそうだろう。

とろで、前書きで訳者の黒田氏は、『アルジェリアの革命思想家、F ファノンによって…』p5 と書かれているが、これでは誤解が起こるだろう。確かにファノンはアルジェに関わり、そこで命を落としたが、彼はマリチニーク、カリブ生まれ。

『報道2001』
で知ったこと、明治維新から続いている老舗の数が24,000。維新前から続くものが2800。田中貴金属は両替商から今では携帯内部の集積回路に使われている部品のシェアーではダントツらしい。 

モデルはアメリカではなくヨーロッパではないか、歴史が長く、国際化した例として。
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