2013/9/22

『稲作漁撈文明』3  お勧めの1冊

『稲作漁撈文明』3
城頭山遺跡の祭壇では最古の稲作の血の儀礼を行なったのではないかと言われる。稲の種籾に血を塗ったりあるいは血に浸けたりすることらしい。今日でも苗族が水牛の生け贄をやっているようなことだろう。著者はそれを、

『日本の新嘗祭の原型にあたるのではないか』p98

と述べているが、これには驚いた。何故ならこの文脈で読めば、新嘗祭にも血の儀礼が行なわれているということになる。しかしそうなのだろうか? 宮中の奥で行なわれていること、詳細について我々はよく知らされていない。

さらに天皇家については現在、騎馬民族征服王朝説が有力だが、これに従えば稲作漁撈民征服王朝という考え方も出てくる。p99

城頭山遺跡の祭政殿の復元図は二里頭遺跡の主体殿堂と極めて類似しているとか。p108

うん??? 著者が言うように、城頭山遺跡の住民が苗族系の人だとするなら、それを滅ぼしたのが漢族系の二里頭遺跡の住民ではなかったのか? それが滅ぼした住民の祭殿を真似た? よく判りません。

城頭山遺跡は5300年前の屈家嶺文化時代に入ると都市化が進むとともに城内の汚染がかなり進行していたことが明らかになったとか。何故、それが判るかというと、寄生虫卵の出現頻度かららしい。当時の汚染の程度は平城京の2倍程度にも及び当時の人口は約2000人ということまで判っている。p111 なかなか面白いね。


メモとして
1)日本の高度成長期は原発依存ではなかった。
2)現在エネルギー消費型産業は新興国、特に中国に出て行った。
3)日本は人口が減るのでその分エネルギー消費量も減る。
4)省エネで1割削減できるということは、エネルギー源を1割増やすことと実質同じ。


0

2013/9/21

『稲作漁撈文明』 2  お勧めの1冊

『稲作漁撈文明』 2
『土器を作ることは「定住革命」が引き起こされたことを意味する』 p35

移動生活には土器は不便というのはその通りだろう。しかもこれは食生活の変化も意味する。煮たり蒸したりすることが土器によって初めて可能になると、これは一度、「焼き」と「蒸す煮る」の調理比較もしないといけないね。 「焼き」で何が出来て何が出来ないかを。

この中で非常に面白い研究が紹介されていた。それは91〜94年に行なわれた福井県の水月湖で行なわれたボーリングの結果。 p41

先駆的な同様の研究は最初グリーンランドで行なわれ93年に発表されたらしい。それは各年代の水を氷の形で保存した氷のコアを3000メートル掘り出すというもので、この研究はそれなりに素晴らしい成果を出したが、そこでは主に酸素の同位体比の結果から地球の物理化学的解析は出来るが残念ながら生物学的解析には適さない。

そこで著者らは最高の条件をもつこの湖でボーリングを行なった。通常湖は堆積物が水の対流により撹乱されるため上記のような各年代の試料を年代ごとに層状に保存することが出来ないのだが、この湖は外洋と繋がっていたため海水が蓋をする。 即ち、冬期湖の上部で冷やされた水が密度が大きくなるので(4℃で最大1g/cm^3)湖底に潜り込み撹乱されるのだが海水が入り込むため海水は密度が高く蓋をする。成る程!!

それ故、生物の遺骸などが順番に堆積し年輪のような模様が綺麗に出来るらしい。 こうして、水月湖の湖底には10万年以上の連続した層が形成されたとか。 p42 下記のサイトで実物が見られます↓
http://www1.kepco.co.jp/wakasa/tanpou/tanpou/13.html
http://www.town.fukui-wakasa.lg.jp/jomon/tokubetutenji.htm

実に素晴らしい!
0

2013/9/20

想像力の欠如  震災ー原発事故

<1本数京ベクレルの保管容器が数万本あるという現実>

先ほどのNHKのニュースによれば、経産省が高レベル放射性廃棄物処分案としてこれまでの半永久的保管から搬出可能性残すとか。
http://www.asahi.com/special/news/articles/TKY201309190385.html

従来は地中深くに永久的に埋める方針だったのを、将来科学の進展で量を減らしたり出来ることが出来たら回収出来るように回収可能方式にするとのこと。

日本のような火山、地震列島で半永久的に安全に保管することが出来る場所があるとはとても思えないのだが? 第一現時点で最終処分の受け入れを表明している自治体は皆無だし、今後も受け入れ先は出ないだろう。これを原発は必要だという人はどう考えているのだろうか? 日本にはオンカロのような場所はない。
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/3328/trackback

因にここで埋められる高レベル放射性廃棄物は経済産業書のHPによれば、保管容器1本当たり数万テラベクレル。テラとはギガの1,000倍、即ち10^12。

いや、数万テラベクレルというのは「兆」のもう1つ上の数字「京」と言う方が判り易いか。 数秒間人が浴びれば致死量に達する程の放射能を持つ。1万年間は保管しないと危険だとのことだが、それはそうだろう。
http://www.enecho.meti.go.jp/rw/hlw/hlw01.html


ちなみに経済産業書のHPでは「初期の放射能レベルは非常に高いが短期間に急激に減少」と書いてある。その横軸の時間の目盛りは5,000年と1万年。 ちょっと笑ってしまいます。いや笑い事ではないのですか…

コメや土1キロ当たり500ベクレルで大騒ぎしているがそんなレベルではない。
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/2496/trackback
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/2291/trackback

なおこの経済産業書のHPによれば、平成21年までに出たこの保管容器は約23,100本とか。現在はどのくらいになっているのか?

原発必要論者はこの現実をどのように受け止めているのだろうか? 
0

2013/9/20

『稲作漁撈文明』& 森が失われるということ  お勧めの1冊

『稲作漁撈文明』
安田嬉憲著、雄山閣出版、2009年初版
著者は花粉分析を島国日本と英国で比較する。すると英国では17〜18世紀に森の70%が失われたのに対し、日本ではカシやシイの原始林は失われたが21世紀においても70%が里山として維持されている。p6, p10

面白い結果がある。それは日本では17世紀から19世紀にかけて家畜の数と人口が反比例している。これは欧米では比例関係にあるらしい。p9

クリックすると元のサイズで表示します

このような文章がある。

『城頭山遺跡は6000年前の遺跡である。にもかかわらず、今日においてもなお美しい水と肥沃な大地が維持されている… これまで憧れていたギリシャ文明はたかだが2500年前の文明である、それにもかかわらずギリシャの山々は禿げ山になり、大地からは水が失われ、肥沃な大地は荒野に変ってしまった』 p27-8

これは重要な点だと思う。我々は今ある地中海が昔もそうだと勘違いしやすい、しかしイタリアで森が失われ、シリアでレバノン杉が失われたことで判るように昔この地帯は肥沃な大地と鬱蒼と茂った森が存在していた。それが人間の営みの結果失われたのである。p28  
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/69/trackback

 「美しい地中海は実は死の海である」 

ことに気がつくことは難しい。

同じことを北京近辺でも見てきたし、
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/3327/trackback

ハイチでもこの数世紀に起こったこと。
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/3023/trackback


その他データーベースとして
野生稲は脱粒性。即ち、熟すると自然に種が落ちる。しかしそれでは栽培稲にはならない。しかしこれは簡単に変異するらしい。2〜3年継続して人が脱粒しないものを選択的に選んで集団の多くが栽培型になるらしい。p55

湖沼こそが稲作の発祥の地。三峡の渓谷を抜け、長江が一気に川幅を広げ広大な沼沢地を形成する洞庭湖こそが稲作の起源地。p60
1

2013/9/19

キナ臭い話 & 苗代作りの起源  試行,指向,志向、思考

昨夜のBSフジ、プライムニュースの話題は「特定秘密保護法」について。聞きながら先日の朱建栄教授がスパイ容疑で逮捕されたことを思い出した。

同じようなことが日本でも起こらないとは限らない。 どうもキナ臭い話が進んでいるような感覚がある。思い過ごしであればよいが…




昨日の書き込み関連だが、日本では稲は今でも苗代を作り水田への直播きはしない。農学者によれば直播きは現在の技術水準でも難しいことらしい。

『稲作の起源』の著者である農学者は以下のように述べている。

「稲作の現実を見ない人たちは、直播きは苗代作りより原始的とみるが、現代人でも直播きは難しい」 つまり稲の畑作から、水田への移行は考えにくいということだろう。
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/2630/trackback

また別のところでは、

「日本の稲は多年性の性質がある(=穂の成熟後に株の枯れ上がりが起こりにくい)」 
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/2614/trackback

すなわち、変異の方向としては、

多年性:日本型 →(遺伝子発現の欠損)→ 一年性  で、

1年性の稲が多年性の稲になる可能性は低いと著者は考える。 つまり一年性のインド型から多年性日本型に変わる可能性は低いとみる。

「苗代作り」はもしかすると祖先稲がもともと栄養繁殖する野生型からくる故に、日本人の遠い祖先が、稲を株分けで増やしていたことの名残かもしれない。

*素人なので間違っているかもしれない、何方か知っている方がいたら訂正してもらいたい
0

2013/9/18

『長江文明の探求』 2  お勧めの1冊

<燃費計算>
98,818-97997km (d821km)
821km/37.74L = 21.8km/L


今日は「柳条湖事件」の日、静かに過ぎてもらえばよいが?



『長江文明の探求』 2
(今のところ最古と考えられる)城頭山遺跡(図の5近辺、洞庭湖の北
 


大きな地図で見る

6,300年前まで遡れる今のところ中国最古の城壁をもつ)から出てくる種子を調べると水田の雑草と、畑の雑草が半々。つまり原始的稲作は水陸未分化の状態だと考えられる。p64

山東省の臨時遺跡の人骨のDNAを調べてみると春秋戦国時代の2500年前の人骨のDNAはその大半がドイツ人やフィンランド人に近い。2000年前になってようやく漢民族のそれになる。 つまり2500年前には白人が移動してきたことになる。p143

長江文明は4000年前に突然衰退するその原因についてのこれまでの定説は洪水。それは良渚文化層の上に25〜30cmの洪水層が堆積しているから。p150

しかし著者らはこの洪水説には懐疑的。 著者らは様々な証拠から長江文明は気候寒冷期に崩壊したとする。そしてその理由にその前の小寒冷期に低湿地が陸化し可耕地が拡大し人口が増え、それが寒冷化がさらに進んだことでの飢餓が人口圧で加速され、また北方民族移動が重なったことによると考える。p154~6

また、著者らは長江文明の担い手は苗族などの現在の少数民族だとする。それが黄帝に象徴される漢族により滅ぼされ南方の山岳地方(雲南や貴州)に逃落ちた。p163 (またその一部は東の海に逃落ち日本にも来たとする)

北の漢族が有利に立てた理由は馬と青銅器、それに疫病だとする。p174 まさにこれはダイヤモンド氏の 『銃・病原菌・鉄』 そのもの。
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/3215/trackback

さて、そこで苗族についてだが、彼らはフウの木に特別なこだわりを持つ民族らしい。それは花粉解析などから遺跡のある場所でのフウの木の分布が全体の10%以下しかないのに遺構の80%がこのフウの木によることから。P186

実際苗族はフウの木を民族の生命樹としてあがめ、自らがフウの木の子孫であるとする神話を持つ。P192

ここでも以前に見た図と同じものがあった。
クリックすると元のサイズで表示します
0

2013/9/17

『長江文明の探求』& 野生種から栽培種への転換   お勧めの1冊

九州博物館に行く。展示されていたものは既に写真や図表でみたものばかりだが、実際に自分の目で確認することが重要だと思う。特に今回よかったのは玉そうの実物が見れたこと。

クリックすると元のサイズで表示します

クリックすると元のサイズで表示します

玉そうの写真は此処で↓
http://www.nipic.com/show/1/24/0c9ae485ffbc642a.html
http://kanazawa45.files.wordpress.com/2009/10/091017e69dade5b79ee383bbe889afe6b89ae58d9ae789a9e999a2-67.jpg


『長江文明の探求』 
監修:稲盛和夫 梅原猛、安田嬉憲共著 写真:竹田武史 新思索社 2004年初版。 

「稲作の起源辺境説」 この図が多くを語る。まさに野生稲の北限で最古の稲作遺跡が分布する。
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/3341/trackback

クリックすると元のサイズで表示します


こういう事だろう。 野生種は多年草で栄養繁殖する為、通常種子はつけない、環境の変化などでたまに付けることはあるが、これでは栽培種にはならない。しかし北限にある野生種は10万年ごと(?)に訪れた氷河期に生存の危機を迎える。

その時生物がとる戦略は「種を大量に作り次の世代に希望を繋げること」 すなわちその個体は死滅しても次に環境が一時的にでも改善された時に子孫を大量に増やすこと。 それが繰り返される時期に種子を大量につくる変異株が優勢となる。そうなるとこで栽培種に適したものが生まれる。それを人が選抜するということ。

即ち、栽培種の出現は人間の行為のみならず、イネ科の植物の生存戦略が必要だったということだろう。 そういう意味では栽培種の出現はヒトと稲自身の共同作業だったということだろう。 この点で最初から1年生で種子繁殖をする小麦の栽培化と稲を同列で議論してはいけないことが理解できた。

ここでもダーウィンの言葉が思い出される。

「強いものが生き残るのでも、賢いものが生き残るのでもない。生き残るものは変化するもの」
0

2013/9/16

「ねこ歩き」  

休日の昼下がりは静か、職場で科研の書類書き。昨年は大きなグラントが通ったので気が大きくなって、もう1つ大きなものを狙い、外れたので今年は地道に分相応なものに応募する予定。それだけに当たってもらわないと困ります(汗)

昼過ぎクーラーが切れて暑くなったので仕事を切り上げ、総合図書館に寄る。珍しく全て読み終わったので3冊全てを返却、新たに3冊借り出し。流石に総合図書館は本が豊富で幾らでも面白そうな本がある。

夕方、三越に「ねこ歩き」を見に行く。行列をつくって大勢が会場にひしめき合っていたのには驚いた。岩合氏の写真はネコの写真というよりも、風景写真の中にネコがいるという感じなのがよい。会場内は撮影禁止ということで入り口の風景のみ

クリックすると元のサイズで表示します

パンフレット

クリックすると元のサイズで表示します

天神界隈で海抜2mの看板を見つける。意外と低い。

クリックすると元のサイズで表示します
0

2013/9/15

無言の一撃 & 『長江文明の曙』3  お勧めの1冊

通勤路で稲刈り

クリックすると元のサイズで表示します


朱建栄教授にスパイ容疑
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130912-00000004-cnippou-kr

TV討論では中国政府の代弁者のように映るが、以前同氏は中国のことを、「開発独裁型政治モデル」 とも発言されていましたからね。  
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/1434/trackback

同意出来ないことも多かったが、気の毒という感じがする。それにしてもあの国は…

母国に親類縁者がいる者に無言の一撃を与えるようなもの。


『長江文明の曙』3
弥生時代に稲作が完成した形で入ってきた。それ故、それまで自然採集生活でも何とか生活でき敢えて栽培化という努力をしなかった社会もその効率性故、受け入れたとする。p89

同じことが漢字にも当てはまるのかもしれない。漢字は北(殷)で開発されたが南にも記号はあった。それが便利なのと北に南が征服されたので支配・支配される道具として漢字文化を受け入れた。p206、p210
0

2013/9/14

サポートする体制構築こそ必要  震災ー原発事故

今日、のりたさんから今朝の私の書き込みに対して批判がでた。もし気分を害されたのなら申し訳ないが結論は今でも変らない。

まず、事実関係を確認してみる。 

確かにマスコミによれば3―11以降多くの技術者が東電から出て行ったという記事を見るが、
http://blog.livedoor.jp/amenohimoharenohimo/archives/65838698.html


鵜呑みにするのも危険なので東電自身が公にした統計数字から従業員数の変遷を確かめてみた。

東電の従業員数の変動 p3
http://www.tepco.co.jp/company/corp-com/annai/shiryou/suuhyou/pdf/suh01-j.pdf


此処に示す図は自分でグラフ化したもの。


クリックすると元のサイズで表示します


この数は技術者についてだけのものでなく全従業員数についてのものだが、ある程度技術者についても傾向は同じだろうし、技術者とその他の従業員を差別するのもおかしな話。

確かに事故後に従業員数は1470人減少している。しかし過去半世紀を見てみればそれ以上に大きく変動している時期が何度かある。しかもその数は今回よりも大きい。これが何を意味するか今の時点では不明。

それに1470 人の減少は大きいが過去5年間の増減が-200~+400人なので激減と言えるかは疑問。それに母数が大きい(3万8千人)のでー4%程度。 ここら辺にもマスコミの報道を鵜呑みにすると危険だということが判る。 

以上が事実確認。


さて、私は『技術者のブライドを傷つける』 つもりはないが、逆に技術者の矜持に期待するのは間違いだと思う。 特にこの事故処理が今後百年以上掛かることを考えるとシステムとして今働いている技術者をサポートし、将来の技術者を育てる体制を作ることが重要だと確信する。 

何故そのように言うかと言えば同じことが日本の高等教育でも起こったから。かつて留学生数が最も多かった日本が今ではすっかり激減し、すっかり内向きの国になったのは留学生を日本の社会が大切にしなかったから。

苦労して留学し成果を挙げても日本の社会はこれまでそれを評価していない。それを見てきた後輩が「留学するのは損」と考えるのは当然だろう?!
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/1838/trackback

http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/3207/trackback

 「今の若者はだらしがない」 と文句をいうだけでは何の助けにもならないし、何の解決策にもならない、そうこうするうちに日本は世界の流れから取り残される。 



システムとしてサポートする体制こそが世界との競争に勝てる為に必要なこと、同じことは福島にも言えると考えるから。
0



teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ