2014/5/16

『東洋思想の現代的意義』3  お勧めの1冊

同氏もまた共産党員である以上その限界から自由ではない。例えばこのような一節もある。

『漢族と少数民族は、血縁関係以外に、政治、経済、社会生活の方面でも複雑に入り組んだ関係にある… 祖国の輝かしい文化は各民族が共同で創造したものである』p106

とはいえ、そのことを十分に配慮した上で読めば、この本は判りやすく色々な情報を与えてくれる。著者は何度か繰り返し以下のように述べる。

『漢族は、もともと天命崇拝と、祖先崇拝を主とする伝統を持っており、仏教と道教の信仰が支配的地位を占めたことはない』と断定する。p110

その背景に著者は、「中国は人間と人間の間の関係を強調し、注意力を人間の安身立命および人間と集団の間の関係に集中させている」ことを指摘する。 p112
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2014/5/15

『東洋思想の現代的意義』2  お勧めの1冊

『東洋思想の現代的意義』2
一見取り付きにくそうに思えるが、意外と読んで判る本。難解な文字が躍っているというものからは遠い。特にそれぞれが比較的独立してかつ短いので何とか集中力を失わずに最後まで読めるのがよいが、重複も多い。

日本の神道についての解説もあるが、ほぼ公平に記載されている。例えば以下のような文章がある。

『(儒教や仏教の影響を受けてきた神道の色々な歴史的変遷を述べた後に)徳川幕府時代に、復古神道が出現した。この神道は儒、仏の思想的影響を排斥し… これらの思想は徳川幕府末期の尊王攘夷のなかで重要な役割を果たしたが、後には軍国主義の精神的武器となった』p46

こうした理解は現代の日本の右翼にもない知識だ、何しろ最近生まれた靖国神社が神道の象徴的存在だと無邪気に信じているくらいだから。
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2014/5/14

『東洋思想の現代的意義』   お勧めの1冊

<燃費計算>
847 km/35.6L = 23.8 km/L
109071〜108224= 847km


『東洋思想の現代的意義』 
黄心川著、農文協(農山漁村文化協会)1999年初版

初めて聞く出版社だと思って検索してみると、実はこれまで2冊此処から出された本を読んでいる。『「産業」の根源と未来―中世ヨーロッパからの発信』 と『日中を結んだ仏教僧』 いずれもマニアック(汗)な本みたいだ。
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序文で著者は云う、「…大多数を占める漢族は、天命崇拝と祖先崇拝が民族的宗教観念の主な伝統となっているので、仏教と道教の信仰はこれまで支配的な地位を占めたことは無い…」p25

これは意外なこと。少なくとも道教はそうだと思っているが。

著者はハンチントンの説、即ち「未来の世紀はイデオロギーや国家によって分けられるのではなく文明によって区分される」という考えには賛成できないとしているが、1つの重要な視点として評価している。この点は同感だ。
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著者もアッバース朝時代にイスラームがギリシャの哲学、科学を保存し、ヨーロッパに引き継いだと指摘する。P42
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2014/5/13

『中国モノマネ工場』6 or 読むのをやめていいかな?  お勧めの1冊

『中国モノマネ工場』6
著者は云う、『ブランドという概念は、おそらく多くの領域から消えていくだろう』p168  さらに続けて、

『我が国にブランドがなく他国にはあるというのは対立的な関係ではなく、(山寨革命後の)歴史的な発展段階の問題に過ぎないのだ』p169



それは違うだろうと思う。何故なら中国人程、ブランド好きの国民はいないからだ。むしろ山寨現象(山寨革命ではなく)が起こったことで逆にブランドが中国で生まれる土壌を損なう結果となったと思う。

例えば良い例に無印良品がある。著者はこれをノーブランド化として紹介しているが私はむしろ無印良品自体がブランド化した例だと思う。だからこそ無印良品の商標を巡る日本と中国企業の訴訟騒ぎが起こったのだ。p170

著者は『山寨の本質は模倣ではなく創造であり、模倣は山寨の一形態過ぎない』p172 とも云うが、これは現実を正確には表していない。

「百度百科は一から作ったわけではなく、ウキペディアにあるものを、殆どそのまま引用した… オリジナルを作ることはもちろんよいことではあるが、無意味にオリジナルに忠誠を誓う必要はないし、そもそも真似して何が悪いのか。と考えるのである」とも云う。p202

そして中国国務院が全力をかけて作成した「中国大百科全書」より編集面でずっと優れている」とも。p202 

ある意味それは正しいかもしれない。現在では大辞典のような形でのデーターベースの作成は時代遅れになっていて全てネット上で毎日更新されるようなデーターベースが主流になっている。またこの流れは今後変わらないだろう。しかし、そのことと「そのまま引用し、真似して何が悪い」ということとは同じことではない。オリジナリティが尊重されない世界では進化は著しく損なわれる。

例えば科学では論文を最初に出すことが重要視される、それは一度論文として出されたものは全ての人による再試が可能で、それまで出来なかったことが <誰でも出来る> ようになったからなのだ。だから二番目では駄目なのだ。

 だから再試が出来ないSTAP実験は駄目なのだが… これはまた別の話(汗)

まだ残り100ページ程、三分の一程読み残しているが、そろそろこの本を読むのはやめてもいいのではないかと感じる。こちらの基礎知識が不足故に理解の難しいところがあったのでこの本を十分理解していないかもしれない。しかしそれでも基本的な考え方が著者とは違うと感じた。この線で進んでいても得るものはないかな?と感じるから。
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2014/5/12

オンラインシステムに根本的な問題があるのでは?  

「認知症の女性7年ぶりに夫と再会」のニュースに驚いた。 保護されたものの認知症のため身元が分からず7年間、群馬県内の施設で暮らし続けている女性についてNHKが番組で放送したことをきっかけに12日、夫が面会したとか。 
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140512/t10014391691000.html

下着に名前が書かれているなど多くの手がかりがあるにも関わらず7年もの間、身元不明のままだったということ。さらに驚いたのは警視庁は全国の行方不明者の情報を共有するオンラインシステムに名前と読みがな、それに身長などの体の特徴を登録したということなのにそれが全然役に立たなかったと云う事実。どうしたことだろう? クラウド化されていないのか? 

我々の世界では大量のビッグデーターがかなり昔からクラウド化され、誰でも、何時でも、只で利用できる。誰でもというのが問題なればIDとパスワードで保護して関係者だけ閲覧、検索出来るようにしたらいい。名前が判っているのに7年も利用されなかったということはこの警視庁のオンラインシステムに根本的な問題があるということだと思うが? どうなのだろう?

因に、化学物質の安全に関する様々なデーターは此処で
http://www.safe.nite.go.jp

医薬品情報は此処で、
http://www.genome.jp/kegg/medicus/

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2014/5/12

『中国モノマネ工場』5  お勧めの1冊

『中国モノマネ工場』5
著者は云う、

『模倣者は卑下する必要もなければ、自虐的になる必要もない、ただ客観的に自身の価値を実践していけばよい』p131

そして現在進行しているこの動きを著者は「第三次産業革命」とも云う。p132

すべて外注化され、ピラミッド型から分散型になったことにより、多様化・低コスト化が実現されたとも。 そしてこの閉鎖と専有から開放と共用によりピラミッド型構造を突き崩すことになったとも。p158

しかし著者はこの動きは「ブランドの死」を意味する。つまりこれが中国でブランドを生まない原因になっている。著者は云う、

『一度きりの商売が主流となっている。早く稼ぎ、多く稼ぐ。このやり方は中国では衰えることがなく、長期的に隆盛を誇っている。これではブランドが育ちはしない』p164

読み続けていくとこのブランドが育たないということを著者はネガティブには捉えていない。むしろそれでいいと考えているようだが…  しかし、このことは何処の国よりもブランド好き、あるいは面子を第一にする中国人にとっては1つの自己矛盾だと思うがどうだろう?
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2014/5/11

問答形式を可能にしたシステム  教育

先日双方向対話型教育支援システムのことを話題にした。
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導入されて一ヶ月になるが当初は半信半疑だったが、慣れるにつれてなかなかよいシステムだと思うようになった。 それは宣伝文句に云われた 「出席が簡単にとれる」 とか、 「簡単な試験に使える」 といったことではなく、学生の理解度がリアルタイムで判るという点。 

出席や試験について云えば実施面で難しい点がある。例えば大教室で100人の学生を相手にすればカードを置きっぱなしにして教室を抜け出した学生を特定するのは難しいし、それを厳格にやれば時間が無駄になる。 また試験は隣の学生が答えに何を入力したかが隣には丸見えなので事実上不可。 

しかし学生の理解度の把握についてはかなり強力なツールであることが判った。 授業では何度か重要なキーとなる概念が出てくる。それが理解出来たかをその都度、全員に聞くことが出来る。勿論これまでもその都度、学生に確認してきたが大抵の学生は無言で一部の協力的な学生しか反応を示さない。それでは本当に大部分の学生が判ったのかどうか判らない。しかしこのシステムを使うとほぼ全員が手持ちのデバイスで意思表示をしてくれる。それがリアルタイムで判るし、例えば6割の学生しか判らなければ再度説明出来るし、9割が判ったならば先に進めると云う具合だ。 

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また、「判った」と意志表示してくれた学生と問答を交わして廻りの学生にもさらに先の議論を聞かせることが出来る。 実はこのような問答形式が本当の意味でクラスをより高い段階に導くことが出来るものだが、これまでは出来なかった。 なかなか気に入っています。
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2014/5/10

『中国モノマネ工場』 4  お勧めの1冊

細胞数を測定しようとして血球計算板を探すが見つからない。

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どうやら自動測定器が入ったので片付けられたみたいだ。私はこれまで特に細胞数を測定する必要があまりなかったので、昔ながらの方法で、つまり血球計算板をつかい顕微鏡で細胞数を測定していた。しかし沢山のサンプルを測定するとなると機械が便利。それで大学院生に習って使ってみた。とても簡単でおどろいた。

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しかも細胞の大きさの分布までだしてくれる。

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因にあとで見つかった計算板を使い、顕微鏡で数えた数は0.91 x 10^6cells/ml 機械は1.1 x 10^6cells/ml 誤差を考えると問題ない範囲。



『中国モノマネ工場』 4
この本を外で読むときはカバーをかけて題名が判らないようにしている。どうもこのタイトルは頂けない、受けを狙ったのかもしれないが私には悪趣味に感じられる。原題そのままでもよかったのではないか? 

それは兎も角、あとがきに翻訳を担当した2人、日本人と中国人の「山寨現象」に対する評価が分れるのに興味を持つ。一方はこの現象がイノベイションとは関係ないと見、他方(中国人)は革命と観る。どちらが正しいかは今の段階では判らないが、いずれにしても将来答えは出るだろう。

後者は長期的、効率化、低価格化が「革命」に当たるとの考えかたのようだが、それでは所詮イノベイションは起こらないというのが私の立場。山寨革命(?)が起こったのもモジュール化があってのこと。これで特に高度な技術が必要なく携帯や液晶テレビの価格破壊、多種多様化が起こったのだと思う。それは確かに多くの雇用と一部の富裕層を生み出したかもしれないが国の富全体としてはそれ程インパクトを与えるものではないはず。事実 さて、どうだろう?

ただ中国人が並外れたブランド好きにも関わらず中国ブランドで世界に通用するものがまだ生まれていないのは将来を暗示していると思う。 否、山寨現象はもともとブランドを生み出すということに少しも興味がないと云われればその通りかもしれないが、そうだとすれば多くの中国人の求めているものと、この山寨現象のゴールが異なっているということになる。

1つの例がこの本の中でも紹介されている。NYの五番街で120ドルで売れているTシャツ、中国で落とす価値は12ドル、ブランドの保有者の取り分が36ドルらしい。p136 同じことはAppleのiPhoneでもよく知られたこと。あの超ブランド好きの中国人がこの状態をよしとするのか? しかし山寨化に価値を見いだすならこの状態は変わらないだろう。
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2014/5/9

『中国モノマネ工場』 3  お勧めの1冊

南シナ海が騒がしくなっている。しかし世界はどう見ているのか?

CNNとNY timesを調べてみると、シリア内戦やナイジェリアの誘拐の方が一面を飾っていてベトナムとの衝突はかろうじて下の方に出ているのみ。フィリッピンでの事件については探しても見当たらない。もう少し日本や東南アジアの国はこれらを世界的な問題として取り上げて貰えるように工夫をすべきだろう。

CNNはTHE LATESTの3番目、NYTは右下の青空が写っている写真の記事

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『中国モノマネ工場』 3
この本はなかなか内容が十分についていけない部分がある。それはITについての基礎的知識がないからだろう。 でもこれは一度は誰しも通らなければならない道、少しずつ理解していくしかない。

著者は日本の6大エレクトロニクス企業や3大自動車企業等を引き合いにだしながら以下のように述べる。

『中国には国が独占している業種以外で、基本的には大企業はなく特別有名なブランドもない… 簡単に云うと、中国の企業は全体的に一貫して山寨化する特徴を、持っている』 

またこうも云う、

『山寨現象は世間から多く非難されているが、大変な発展をしている。それは主に多くの正規のルートから外れた「極限戦」という方式を採っているからだ』p85

前者はよく云われることで、取り立ててのことは無いが、後者には注意を払う必要があるだろう。それは何のかんの云われても山寨企業がそれなりの成功を収めているからだろう。

そして著者はこの「極限戦」について重要な点を指摘する。それはブランドものが「極限戦」を採らないのはブランドがそのような方法を取れないだけで、同じようなことを取れる範囲ではやっているからだろう。p103

つまり。大手企業はそのようなスピードにはついていけないし、得意とするスケールメリットがないので参入することすら考えないからだと。p106

また携帯やデジタルカメラも薄型テレビも組み立てラインにそれ程の技術は必要でなく「積み木遊びができればデジタルカメラは作れる」のだとか。それは究極のモジュラー化が進んだ故だろう。p108
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2014/5/8

『中国モノマネ工場』2   お勧めの1冊

『中国モノマネ工場』2 
著者は云う、「中国人にとって心苦しいには、中国は携帯電話の生産大国になったが携帯電話産業を所有しているわけではない」と。p18 これは、「生産者は小銭を稼げるが、大きな利益を得られるのは所有者だ」ということらしい。その理由は携帯電話は基盤整備や研究開発、生産が一体化した垂直統合モデルで、そこが同じようなハードを持つPCとは異なり零細企業が携帯電話市場に参入することを困難にしていたとも。p39

そこに、先に述べたメディアテックがチップから、ソフトウエアーまでハンドルしてワンストップのソリューションを提供したことにより情勢が変わったということらしい。 3人いれば1人がメディアテックに交渉し、2人目が請負工場を探し、3人目が販売を受け持つことで短期に商売がスタートでき、かつ(うまくいけば)短期に利益を得ることが出来てそれで次の事業に転換出来るとも。つまり長くは持たないということか?p46
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