2014/8/31

「青春の北京」  お勧めの1冊

「青春の北京」
副題:北京留学の十年、西園寺一晃著、中央公論社、昭和46年初版。

著者が描く中国は、いま我々が知るかの国とは似ても似つかぬ世界。その理想郷のような国は現実のものなのか、それとも幻想の世界なのか? 

塵1つない街、誰もが整然と行列をつくる街、人々は騙すことも抜け駆けをすることもしない。もし著者の描く世界に1面の真実があるとするならば、その過去に存在した世界は今や跡形もなくこの地上から消えてしまったのか。 それとも芝居小屋のように誰かが「虚構の世界」をモデルルームのように北京の一角に作り出したものなのか?

この本については色々な人が読後感想をweb上に載せている。多くが「洗脳された夢物語」とこの本を擬える。しかしそれは「後知恵」からくるものだろう。いま我々は文革が1つの権力闘争だったということを定説として受け入れている。また文革で多くの人が犠牲になったことも、それらの知識がもしかすると目を曇らせていることはないのか? 多角的な視点というわりに我々は容易に色眼鏡をかけるて世界を見るのを躊躇しないものだから。




いまだ、三分の一程を読んだところだが、いまだよく判らない。しかし、その過程で先日読んだ「紅衛兵の時代」の著者、張承志氏に対する評価が変わってくるのを感じた。 

…もしかすると彼の描いた時代は本当に「理想に燃えた時代」だったのかもしれない。張承志氏が「彼の北京の青春」を今でも肯定的に捉えることができるのは、それなりの理由があるのかもしれないということ。
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2014/8/30

吉田調書  震災ー原発事故

吉田調書の公開は大変良いことだと思う。遺族の方の英断があってのことだろう。

非公開の条件のもとでの調書、公開されれば色々都合の悪いことが出てくるだろうが、それはこの際問題としないという社会的合意が必要。

とはいえ、世の中にはこれをもとに、必ず個人批判、組織批判をやるマスコミや個人が出てくるに違いない。情けないことだ。 

それにしても、吉田所長本人が「これで東日本は壊滅するかもしれない」と思ったという事実は重要だ。 つまり寸でのところで日本は壊滅を回避出来たというのが真実に近いのではないだろうか? 幸運もあったかもしれないが、「現場の力」に負うところも大きいはず。

なお、チェルノブイリでの教訓によれば、小児がんの発生の最小潜伏期は5年。原因とされる放射性ヨード131の放出も筑波の産総研での測定結果が正しければ、3/15時点で10万カウント/1,000秒とのこと。これは自然状態の1000倍近い。最初の患者が出るとすれば2016年以降ということになる。 
http://www.aist.go.jp/taisaku/ja/measurement/index.html

第三回アジア放射線科学会議での予測報告では、

『現在の福島における放射能レベルからは、発がんの増加を見いだすのは困難なレベル』 

と考えられているらしいが。まだまだ予断は許さない。  
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/3136/trackback

この放射性ヨードの半減期が短いことが後からの検証を難しくしている。ヨード131で8日。エネルギーの大きなヨード132に至っては2時間程度と聞く。 今や上の数字の検証は難しい。何故、大規模測定を許可しなかったのか、色々考えると疑い深くなる。
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/3623/trackback
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2014/8/29

縦糸と緯糸が重なる部分  試行,指向,志向、思考

独禁法強化の中国の3つの背景として、 丹羽宇一郎氏が日経電子版で以下のような寄稿を寄せられていた。

先日の日経で議論された「3つの原因」
1)独禁法当局が経験を積み、外資も対象にできるほど審査や法運用に慣れてきた
2)自国産業の育成
3)3つの省庁がお互いに「摘発実績」を競っている

と一部重なるものの、別の見方もされている。
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/3731/trackback


丹羽宇一郎氏が挙げる3とは、

1) 資本主義経済の理解がいまだ不十分。
>これは先の1とはかなり異なる見方。

2) 民衆の不満を共産党も放置しておくことはできません。「強い共産党」を見せる狙いがあるといえます。これが第二の背景。
>これは上の3と共通するところがあるだろう。

3) 国内産業の保護。これは先の2と同じ。

同氏は、
中国が独禁法運用に乗り出したということは、独禁法という国際ルールの土俵にのってきたと考えることができます。その流れで、自由貿易環境に中国を巻き込み、本丸である<国有企業への優遇措置の撤廃>を狙うべきだと同氏は語る。

さらに今の険悪な日中関係を放置したままでは、中国が他国と貿易ルールをつくっていくうえで、先進国の中で最も関係が悪化している日本が置き去りにされることを心配されている。今朝のRCEPのニュースと重ねて読むと意味深だ。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140828-00000501-fsi-bus_all

さて、さらにこの考えを昨日のチャイナネットと重ねて読むと面白い。つまり中国はいずれ自由貿易環境に我が身を晒す準備の為に国営企業の状態を変革しようとしているのではないか? 


尤も、優遇され特権が与えられている国営企業の変革は簡単ではないだろう。支持母体に手を入れることは逆に強酸党の首を絞めることになるかもしれない。ここはお手並み拝見ということ。
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2014/8/28

チャイナネットと日経経営者ブログ  試行,指向,志向、思考

チャイナネットに面白い記事が出ていた。それは国有企業幹部の給与を7割!カットし、現在の30%程度にするという大胆なもので、それが進めば年収の上限は60万元(1000万円程度)になる。
http://japanese.china.org.cn/business/txt/2014-08/26/content_33346363.htm

果たして可能なことなのだろうか? むしろ灰色収入がさらに増えるような気もするが…(汗) いずれにせよ現在、中国の公務員の給与の上限は20万元、
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/3388/trackback

これまで両者に差があり過ぎるというのが腐敗を生んだ一因であるので、それならば高い方を下げようということでしょう。しかし給与を下げるということは強酸党の最大支持勢力を敵にまわすということになるわけで今後に注目です(笑)
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/3004/trackback
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/2767/trackback

ちょうど日経ビジネス版に丹羽宇一郎氏が「独禁法強化の中国 3つの背景」として寄稿されていたが、それと重ねて読むと興味深い。これについてはまた後日。
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2014/8/27

『紅衛兵の時代』5  お勧めの1冊

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ソフトバンク孫正義社長
数字の裏づけのない資料の価値は、ゼロに等しい
「10秒で納得」が基本
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO75021630R30C14A7000000/

まさに同感。blogにも出来るだけ図表を入れ、なければ自分でつくることも厭わない理由もこれ。 「数字でナンボ」といつも言うが、その数字もグラフとか視覚に訴える形にしないと人間は頭に入らないものだ。



『紅衛兵の時代』5
1966年10月になるとまた事態は大きく変わっていたみたいだ。著者によれば紅衛兵の第三世代が生まれていたとも。即ち著者ら第一世代=老紅衛兵、第二世代は血統論の隆盛を受けて紅五類の家庭の出身者からなる血統兵、代表には武闘で知られた西糾、東糾がある。第三世代は血統論批判をきっかけに全国で生まれた大衆組織。p121

後年紅衛兵に対する蔑称になる1966年12月26日の集会は文革史家が捏造したとも、作文だとも著者は云う。そして一般の中国人が真相を知らないとも。p124

いずれにせよ、著者は68年の夏に紅衛兵から離脱し、1月後、モンゴルに旅立つ。p156

著者は今でも毛沢東に対する敬意を失わないし、この運動をあくまでもポジティブに捉える。彼は云う、

「私たちはこの時も、毛沢東主席が心で何を願っているかを感じ取ることが出来た」p158 とも、
「造反を企てた私たちだったが、社会には造反に値するこのような巨大な背景が以前から存在していたということにも…」p187
「強大を誇る中国の官僚体制は、紅衛兵の造反を受けて、一度は壊滅したのである… あの一度しかなかったのだ。中国現代史における官僚のこのただ一回だけの失敗を重視する人は、紅衛兵という歴史の産物の意義を重視する必要があると思う」p188

さらに、著者は云う、
「批判されるべき紅衛兵の過ちは、私の場合草原の4年間に、自分の身体を使って批判出来たと思っている」p194

文革で迫害を受けたり、身体的、精神的な重大な被害を受けた人たちは著者のこのような弁解を聞いてなんと思うだろうか?


著者は放浪の末、1984年の冬、ついにジャフリーア教派に出会う。このことが先の本に続く。p197
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2014/8/26

『紅衛兵の時代』4  お勧めの1冊

日曜夜、十七岁的单车を観る。
https://www.youtube.com/watch?v=1G2F3Ij9Jg4

評判ほど素晴らしい映画とは思わなかったが、それなりに楽しめた。

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興梠一郎氏の提言:中国との関係は、

「極端に走らない」 利と害をあわせ飲む技量が必要だということ。 

反中嫌中でもなく日中友好でもなく。クールにしたたかに。

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『紅衛兵の時代』4
出身家庭が文化大革命初期に突然、人間を判断する唯一の基準に変わったとする。つまり「血統論」だとする。P87、p102 

「親が英雄なら子も好漢」「反動ならば子は馬鹿者」等 

…だが、そのような血統論はこの当時だけの専売だろうか? 今でも十分にその要素は残っている。例えば誰でもが党員になれるわけではない、家柄が必要だとよく聞く。(さらに今では、大金を寄付した資本家も党員になれると聞いている)


さてこの時期、私自身は幼すぎてリアルタイムの記憶はない。それでも毛沢東語録を振りかざし、激しい抗議行動を行う紅衛兵の映像が頭に浮かぶ。多分それはその後の記録映像でのものだろうし、そのようなものに狂気を感じたのはその後の文革の評価による「後知恵」だろう。 自分自身の過去の感覚すら当てにならない。

むしろ個人的には同じ60年代の映像としてはアメリカの方に心惹かれていた。
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2014/8/25

事実の1側面 & ノブレス・オブリージュ  試行,指向,志向、思考

「青春の北京」の著者が描く中国。塵1つない街、誰もが整然と行列をつくる街、人々は騙すことも抜け駆けをすることもしない街。著者の幻想なのか、事実存在した世界なのか、それとも芝居小屋のように誰かが虚構の世界を作り出したのか? 

文革の渦中にいた「当事者」の証言といったものすらあまり当てにならないかが判る。同じことは慰安婦をめぐる証言、吉田調書(ただし公開されるのは大賛成、ご遺族が英断されたのだろう)にもあるだろう。よくよく慎重に取り扱わないといけない。

史書が常にそうであるように「証言や記録は書き手の立場で書かれる」ということ。それを前提とした解析が必要。



日曜TV特番「特定秘密保護法」個人的には必要だと思う。ただし、

1) 独立の第三者機関(米国の国立公文書館が例?)がチェックできる必要があるということ。勿論国家機関が国家秘密を管理監視する難しさはあるが…

2) それと無条件公開の時間は25年の米国の例が妥当だと思う。50年とかになれば誰も責任をとらないのと同じ(責任者はこの世にいないということ)
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/3419/trackback


秘密を取り扱う人間にはノブレス・オブリージュ:Noblesse obligeが求められる。それだけの覚悟が必要、四半世紀後には責任を問われるという仕組みが必要。
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/3424/trackback


すぐ外交機密のことがこれに関連して議論されるが、むしろ25年後に「完全公開されることを前提とした外交交渉が行われる」ということが筋だろう。その意味でも2)が一番重要。
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2014/8/24

『紅衛兵の時代』3  お勧めの1冊

『紅衛兵の時代』3
紅衛兵組織の成立後、事態の沈静化の為に党中央が派遣した工作組の到着(1966年、6月8日)まで9日間しかなかったと著者は云う。p58 しかもこの工作組は既に結論を持ってやってきていた。まず彼らは、

「精華付属中学の学校当局には重大な問題がある」として、校長と主要メンバーが集められ監視されたとも。これら一連の動きが示唆するところは、既に工作組が派遣された時点で方針は決定されていた。つまり紅衛兵運動を操作していたのではないかということ。

しかしこの動きもその後の混乱の中で変化していく。7月29日、つまり2ヶ月もかからないうちに当の工作組が既に学校を制御出来なくなっていた。 そして紅衛兵が既に公認の左派組織となっていたということ。p80

著者はこれを振り返り以下のように述べる、

『(文革で不幸な目にあった人々と対面し)どんなに精神的重圧を負うとも、「革命造反精神万歳」の文章を否定できない』 と。p72

江青夫人を通して毛沢東に託された彼らの行動の正統性に対する評価の依頼は8月2日、直接毛沢東から「精華付中紅衛兵への手紙」のかたちで「熱烈な支持を表明します」という文章で折り紙付きの保証を得る事になる。p81 さらにその後、毛沢東は別の手紙も送ったが、そこには彼ら紅衛兵が十分な注意を払う事無く、否無視した言葉が含まれていたと。つまり、それが、

『すべての団結できる人と団結せよ』という言葉。著者はそれを実行しなかったことを後悔したと述べ、自責の念にかられているようだ。さらに続けてこうも述べる。

『…現在、毛沢東は一個の陰謀家であり、紅衛兵を煽動して政敵に反対させ、手段は悪辣だったと… だが私は毛沢東が私たち紅衛兵に与えた手紙から彼の真面目さや誠意、普通の人と平等に討論したいという願望、紅衛兵の思想の中にあった危険な傾向に対する憂慮を読み取ることが出来る』と。p86

著者はどこまでも毛沢東に対しては絶大な信頼をおいている。さらに80年代の毛沢東に対する呪詛の大合唱の本質として著者は云う。

『中国人は自己のこういう変幻常なき態度を恥としない、中国人の一切のいわゆる信仰は、すべて極めて容易に実用主義に変化しうる』p87

私の理解では、今でも「毛沢東が陰謀の中心にいた」とは公的には認められてはいないはずだ。あくまで「彼にも間違いがあった」とする立場ではないか、それは「江青一味」の悪事を見抜けなかったという意味において。 今の中国でも公に毛沢東批判をすることはないと思うがどうだろう?
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2014/8/23

犯人は「特殊な形の英国市民」なのか?  試行,指向,志向、思考

有名誌に投稿した論文は即、却下。 仕方がない、普通の専門誌へ再度投稿だ!




米国人ジャーナリストを残忍な方法(イスラム社会では断首は苦痛が少ないという見方もある)で殺害した犯人はイギリス人とのこと。今、イラクの「イスラム国」に外国人テロリストが1万人以上集結しているとの情報もある。
http://www.news24.jp/articles/2014/08/22/10257667.html

彼らの内どれだけがヨーロッパ人なのかは知らないが、Toddが予言した「ヨーロッパ人」であることは間違いない。Toddはその大著「新ヨーロッパ大全」の最後にこう予言していた。
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『…ヨーロッパのイデオロギーの解体は、平和な市民生活の雰囲気の中で進行した。1500年から1965年までの宗教的イデオロギー的危機とは逆に、どの国でも流血の対決など起こりはしなかった。というのもこの解体の基本的原因は、住民の文化水準の上昇…現在の世界と和解したヨーロッパ人たちは、社会的ないし天上の彼岸への逃避という年来の夢を捨てる。こうして代償としてのイデオロギーは消滅する… 

  …イデオロギーが消え去ろうとするまさにその時に、新たな人間集団が外から来て住み着いたことによって、階級とは何か、民族とは何かという定義を巡る本質的な問題が突きつけられることになったのである。流石の歴史も、これほどの策謀と悪意と倒錯を見せた事は無い… 

  …もしアルジェリア人の子供がフランス人となり、トルコ人の子供がドイツ在住のトルコ人となり、パキスタン人の子供が特殊な形のイギリス市民となるとして、西暦2000年にヨーロッパ人となるのは一体何者なのだろう… 下巻p349』

ヨーロッパの教訓を学び、安易な移民政策は止めるべき。
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2014/8/23

殉職  

昨日未明、雷雨の音で目を覚ます。天気状況をwebで調べると、宇美町、太宰府、春日などに大雨警報が出ている。 どうやら午前9時くらいまで強い雨が降るらしい。

福岡市を毎日横断する通勤なので、宇美川、御笠川、那珂川など幾つもの河川を渡ることになる。その中には決壊するおそれのある川もある。激しい雨の中ではあったが、今後河川が増水するのは不可避なので、決壊とかが起こらないうちにというわけで、いつもより1時間程早く家をでる。 しかもいつも通る山を越えるルートでは山崩れの危険もあるので市内の方に回り道するルートを選択する。
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志免町付近を5時半頃通過すると異様に沢山の警察官が田富付近に繰り出している。 この付近はもともと地盤が低く、よく冠水する場所なのでパトロールが行われるのは不思議ではなかったが、それにしても人数が多いなと思っていたが、その理由を午後になって知る。

早朝4時頃、警戒に当たっていた警察官が側溝に落ちて宇美川に流され、その後遺体で発見されたとか。まだ21歳の若い人だったようだ。当時水深が20センチほどになっていて道路と側溝の境が判らない状態だったとか。 実に痛ましいこと。先日も子供を救助しようとして消防団の人が亡くなった。ご冥福をお祈りするしかない。

普段は川底をチョロチョロ程度しか水が流れていない宇美川だが、大雨になると濁流が流れることは何度も経験済み。
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そのせいか河畔に建つ宇美神社には龍神水神様が祀られる。
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