2015/2/28

『中央アジアの国際関係』3  お勧めの1冊

明日は雨かな? and Never give up!

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『中央アジアの国際関係』3
著者は上海協力機構が比較的成功したと見る。それは初期の段階で中国が掲げた「反植民地主義、反帝国主義」のスローガンが好意的にとらえられ、p216 さらに実際問題としての国境画定作業や麻薬とテロ問題などでの一定の成功があったことがある。p209 さらに中国にとっては将来のエネルギー資源確保、中央アジア諸国はこれまでロシア一辺倒からの多様化により価格上昇を期待した点もある。一方、ロシアにとっては中国の巨大市場は大きな興味の対象になった。しかし現時点では負の側面も出て来ている、それは中国の拡張主義やこの地域への中国の文化、言語の浸透が警戒されていること。p200 

日本がはじめて積極的に関与しはじめたのは橋本外交以来で、特に小泉訪問が大きい。日本の中央アジア政策は少しずつ機能的アプローチをとりはじめ、特に資源開発と輸送、文化(教育)を重点的に進められている。p233


<初めて知ったこと>
大戦後、多くの日本兵がソ連の捕虜になり、この地区の復興プロセスに関わったが、そのときの捕虜の労働の質の高さがこの地区の多くの人々が日本に好意的な感情を持つことに貢献したということ。これは知らなかった。p222

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2015/2/27

『中央アジアの国際関係』2  お勧めの1冊

『中央アジアの国際関係』2
アム川がカザフスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン、タジキスタンの国の国境となって複雑に流れる。また、水資源の4/5がキスギスとタジキスタンに集中するがこれらの国の耕地面積は少なくエネルギー資源も少ない。一方、中央アジアの耕地面積の3/4を占めるトルクメニスタン、ウズベキスタンは水資源の1/5しか持っていない。p150 つまり、キルギスとウズベキスタンの国家水戦略は矛盾している。p162

このアンバランスが国家間の紛争や、深刻な対立に至らなかったとして、それに貢献した専門家を評価する。それは彼らが同じ大学で教育を受け、ソ連の同一組織で長年働いていいたことを理由とする。p152

国家間の利害調節機関としての独立国家共同体(CIS)に替わるものとして出て来たのが上海5、そしてそれはその後、上海協力機構(SCO)となった。それはこの機関が具体的かつ焦点を絞った目標をたてたからだと著者は云う。

前身の上海5は国際テロや民族分離主義、宗教過激主義、麻薬密輸に対する共同対応を目的とした組織であった。p186、p192  国境問題も話題にしたが、中国の立場はそれまでのソ連までの国境を強調したのに対し、中国はそもそもソ連以来の主張を疑問視したので、国境の問題はそれほど進展はなかった。p190

著者は云う、「SCOは米国に対する軍事同盟として作られたと仕組みというよりも、SCOの米国に対する姿勢が時期とともに変化し、最終的に批判的なものとなったとみることが出来る」 と。p194
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2015/2/26

日経ニュース2  試行,指向,志向、思考

日経ニュース2
日韓両国で進む格差社会について丹羽宇一郎氏がコラムを書かれている。
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO83595840U5A220C1000000/

背景として、日本は99.7%、韓国は99.9%が中小企業でここが両国ともいま弱っている。また雇用人口にしめる非正規社員比率は韓国35%に対し日本は38%。

同氏は日本の70年代は大手も中小も大幅なベースアップを勝ち取っていた時期とし、この頃は東西冷戦時代で、あまりに格差が大きくなると社会が共産主義化するという懸念が西側世界には共通認識としてあり、それが労働者側に有利な賃上げにつながっていたとする。 冷戦構造が無くなりこの緊張感が無くなったことがこうした面で負の影響を世界レベルで与えているとの指摘は当っていると思う。
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/1255/trackback

韓国のナッツリターン騒動もその背景があるような気がするし、中国も格差が非常に大きい社会で先日もポンコツさんが話題にしていた。
http://chinanews.7narabe.net/Entry/361/

これが国防費よりも国内治安維持費が大きい理由だと思う。因に2012年時点で公安費7018億元に対し、国防費は6703億元。
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/3405/trackback


…このような事を云うと
     「何でも悪い事は格差のせいにする」
と云われそうだが。たった20年で中間層が60%から20%に低下し、デフォルトを起こした南米の某国の例を思い出してもらいたいと言いたい。
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/527/trackback
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2015/2/26

日経ニュース  

シチズン、中国工場1000人一斉解雇の衝撃
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO83456920Q5A220C1000000/?dg=1

日本国内では日本企業の中国工場の縮小、撤退が話題になる。例えば、パナソニックの中国でのテレビ生産撤退やエスビー食品の中国生産から撤退がニュースになった。一方で中国政府はそのような動きが中国全土で起こっていることを否定する。

どちらもマクロデーターを示すわけではなく、象徴的な工場撤退をニュースにしたり、それを否定する声明を出すだけで、どちらが本当なのかは判らない。しかし人件費の安さで中国に進出するという時代では無くなっていることは確かだろう。

しかし今回のようなシチズンの抜き打ち撤退、工場閉鎖は日本企業のイメージ低下にも繋がり非常にマズい。わずか1ヶ月を何故シチズンは待てなかったのか?

この記事では今回のシチズンの「手際の良さ」はどこから来たのかとの問いに対し、最近工場移転や閉鎖を巡る労使紛争が日常茶飯事で労働者の暴動に発展し、それが最終的に政府批判につながることを当局は最も警戒するため「静かな撤退」のために当局が企業に協力する傾向にあると記事は云う。明確には述べないが地元政府がシチズンと何らか水面下で動いた可能性を示唆する。実際はどうなのだろう? 

いずれにせよこうした身勝手な企業の行為は全体的に非常に悪い影響を引き起こしかねないし、また企業の社会的責任の上でも厳しく批判されるべきだろう。 
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2015/2/25

『中央アジアの国際関係』  お勧めの1冊

Yahoo New
百分率や小数が分からない大学生。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150221-00000001-withnews-soci

以前より分数が判らない大学生ということが話題になっていた。それ程まではないにしても理系の大学でも対数計算や有効数字が判らない学生はかなりの割合で存在する。正直云って高校で何を習って来たのかと思う事があるが、入学させた以上は必要最小限のことは理解して貰わないといけない。

…とは云うものの、高校3年間でマスター出来なかったことを、片手間のリメディアル教育で身につけられると期待する方がどうかしている。



『中央アジアの国際関係』
ティムール・ダダバエフ著、東京大学出版社。2014年初版の最近出版された本。

序文で最近話題の「上海ファイブ:SCO」についての記載がある。著者によればこれはロシア中心の独立国家共同体=CISの失敗が背景にあるとのこと。p7 CISはソ連崩壊後の混乱を抑えることを目的とし多様な領域の協力強化と新たな機構つくりを進めたものの目標と各国の意図が合致せず、試みの多くが失敗した。それに対し上海ファイブは目的が絞られ、目標もはっきりしている。それ故、SCOの方に流れたという。p8

<初めて知ったこと>
ソ連の崩壊によりこの中央アジア地帯にはカザフスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン、タジキスタン、キルギスという国が出現したが、これらの境界線はソ連時代にある意図を持ち引かれたために多くの問題を残したと著者は云う。この意図というのが、各共和国の民族を一部を意図的に分断し別の共和国に残すというもので、それにより必要に応じてクレムリンの介入を容易にするというもので、著者はこれが計画的に行なわれたかどうかは不明としつつも現実的にはそうなったと云う。p112

さらに飛び地問題が問題を複雑にしている。ウズベキスタン、タジキスタン、キルギスは相互にお互いの飛び地を有している。

これらの飛び地はそれぞれの共和国の反政府勢力やイスラーム原理主義集団の格好の隠れ家、逃げ場になるため防衛の為地雷原を敷き詰めているらしい。その位置情報は軍事機密になるため、境界線を挟んだ相手側に秘密になっているため。2000〜2007年の間にこれらの地雷は70回爆発し、155人が犠牲になり、うち70名が死亡しているとか。p120

実際、Google mapでみるとこの地域の飛び地は常軌を逸するほど複雑に入り組んでいることが判る。
https://www.google.co.jp/maps/@39.9836606,71.1014749,8z

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2015/2/24

『中央ユーラシアの文化と社会』2  お勧めの1冊

『中央アジアの国際関係』という難い本の合間に気分転換で『遥かなる道程:中央アジアの動向』という本を読んでいる。講演集のようで読み易いのだが、少し気になる点がある。

それは中国政府のプロパガンダをそのまま出しているような雰囲気。例えば新疆ウイグル自治区での暴動についての記載で、この地がそれまでの開発が時代遅れで、そこに政府主導の新疆生産建設兵団により大規模灌漑がしかれ農業が進められそれがこの地の開発に貢献したとされる。 しかし、実際にはこれが漢族主体で地元の民族問題を引き起こした点。さらにこの砂漠地帯に灌漑用水を大規模に採り得れた事が環境に大きな変化。否、環境破壊を引き起こしたことを議論されていない等等。
http://blue.ap.teacup.com/salsa2001/3666.html
http://blog.goo.ne.jp/bigsur5252/d/20140622
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/3668/trackback
http://blog.goo.ne.jp/bigsur5252/d/20140624




『中央ユーラシアの文化と社会』2
3章「新疆におけるスウェーデン伝道団の活動とムスリム住民」のところでこの伝道団の活動の1つとして大きかったものに出版、印刷事業があるとか。p140

これは中国本土でも同じことが云われていた。もっともその最大の恩恵は中国自身より、それを大量に輸入した日本であったのだが。
http://blue.ap.teacup.com/salsa2001/3878.html
http://blog.goo.ne.jp/bigsur5252/d/20150111

4章の「古代帝国に組み入れられる現代国家」この表題が何を意味しているのかは判りにくいが、冒頭のこの一節で予想されるかもしれない。

「中国は紀元前1世紀に前漢が設置した西域都護府から起算して2,000年以上も新疆をコントロールしているのだと公言している。実際には、中原の王朝が比較的近代的な国家形態によってこのアジア内陸の辺境地域をコントロールしはじめたのは、精々清代の乾隆朝からのことである」p162

この4章の文章を書いた著者が中国名だったので、不思議に思い調べてみると台湾人でした。成る程。
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2015/2/23

『中央ユーラシアの文化と社会』  お勧めの1冊

日曜特番、「報道2001」で出た話題ひとつ。昔は国立大学の授業料は非常に安かった。成績さえよければ「誰でも」入れた。ヨーロッパでは基本授業料は無料。そうしないといけないと思う。母子家庭出の自分の場合を考えても、大学はおろか大学院までいけたのは奨学金なしには無理だった。南米の国の例をみても教育に投資しない国の未来は暗い。
http://blue.ap.teacup.com/salsa2001/527.html


BS朝日の「いま世界はどうなる」で、現在リビアでイスラム国が跋扈しているとのこと。実に意外だった。以前、リビアは既に近代化を達成した国だと考えていたからだ。アルジェリアの場合もそうだったが、安易に結論をだすものではないと反省。
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/3268/trackback
http://blog.goo.ne.jp/bigsur5252/d/20130706





『中央ユーラシアの文化と社会』
中央大学政策文化総合研究所叢書12、 中央大学出版社、 2011年初版。

まえがきで編者は云う、

『中央ユーラシアは、17世紀から18世紀半ばにかけての間に、ロシアと清という二大帝国によりほぼ「分割」された。海洋は西欧諸勢力のものとして、この両大国を包囲していた… (この地域は)二重の包囲網に絡めとられていた』 

実に端的な指摘だと思う。この本は幾つかの論文集からなり、それぞれが独立しているので、必要なものだけを選んで読む事が可能である。その中でちゃんと読みこなせたをけではないが、1つ面白いことを書かれていたものがあった。それが「アフガニスタン北部、オクサス流派の石灰岩製彫刻の研究」。

著者によれば東アジアに広く分布する菩薩半跏思惟像、一般的な解釈としてはこれが示すポーズは「衆生に対して慈悲深い弥勒ないしは観音のような菩薩の特質を意味するポーズ」だとされるが。それに対し2000年 G ショーペン博士が全く異なる解釈を出し議論をかもしているとか。サンスクリット語に堪能な同氏は様々なサンスクリット史料をもとに、これが「金持ちの寄進者や支援者を理想化した肖像」とし、そのポーズ(頬を抱えると同氏は見て)は「心配、不安、落胆、困惑、残念、意気消沈」を表すポーズとの新説を、仏典などを元に出したとか。p28, p53 それに対し、この論文の著者である田辺勝美氏は反論している。

素人としてはどちらが正しいかは勿論判らない。しかし、菩薩半跏思惟像の作者の意図がなんであるにせよ、後の世の人がこれをみて「衆生に対して慈悲深い」と捉えたということの方に多くの意味があるような気がする。

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2015/2/22

ニュースより  試行,指向,志向、思考

梅がいつの間にか咲いていた。早朝出勤、夜帰宅で気がつかなかった。

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<エコカーの将来>
トヨタ自動車はガソリン1リットルで40キロメートル超を走るハイブリッド車(HV)の新型「プリウス」を年内に発売する。小型HV「アクア」(37キロメートル)や軽自動車を超え世界最高水準となる。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ20HRV_Q5A220C1MM8000/?dg=1

環境規制は日本が2020年までに1L当たり29.5Km、中国もほぼ同じ。アメリカは2025年までに1G当たり54.4mile。ディーゼルが普及しているヨーロッパは排ガス規制が重点で2020年までに1Km当たりCO2 95G以下。

…問題は、今後も日本の自動車産業会は世界をエコカーでリード出来るかだが、可能性は高いと思う。現在、最大市場である中国と将来の巨大市場であるインド、ブラジル対策かな?



<ミャンマー歯科事情>
ミャンマーでは歯科大学は2つしかなく教師の数が非常に少ない。一方で学生は非常に多い。何故教師が増えないかのか、という素朴な疑問に対しミャンマーの問題が理解出来た。

まず、ミャンマーでは英語の教科書で勉強するので語学の点では日本よりはるかに進んでいる。これは国内に少数民族が多く言葉が逆に通じないという現実の裏返しでもあるだろう。さらにミャンマーでの歯科医の収入は非常に低い。これは保険制度がなく患者はすべて自己負担であることも原因がある。

それで歯科医になると多くが国内に残らず近傍の、10倍以上の収入が得られるシンガポール等に出て行きそこで働くという現実があるようだ。

因に、5,100万人の国民に対し歯科医数は3,300人、即ち歯科医1人に対し15,000人。1人当たりのGDPは868ドル 2012〜3年 (参考:2014年段階で中国:6,958ドル、日本:38,467ドル)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/myanmar/index.html

南米の例でも大学卒業者が海外に出て、より有利な職業を選ぶようになると国の発展はなかなか難しいね。国防とは軍事だけではなくこうした経済や教育を総合的に見る視点が必要だね。
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2015/2/21

『アジアの歴史と文化8:中央アジア史』5  お勧めの1冊

『アジアの歴史と文化8:中央アジア史』5
新疆の漢族人口は1955年時点では30万人程度だったが、80年度には500万人まで増え、これは退役軍人を組織した生産建設兵団によるもの。p205

以前読んだ『中国変容論』によれば、この組織がこの自治区で所有する水稲面積はダントツでこれが色々な、特に水利権を巡る摩擦を引き起こしている。しかもこの開発事業は現地の人の何も関わりのないところで決定されたとか。p207
http://blue.ap.teacup.com/salsa2001/3666.html
http://blog.goo.ne.jp/bigsur5252/d/20140622

民族的な「チュルクソビエト共産党」構想は「汎トルコ主義=汎イスラーム主義」と見なされ中央の介入を招き、民族主義を逆手にとり、トルキスタンをウズベキスタン、カザフスタン、トゥルクメニスタンの3つの共和国に分割することが提案された。p211 

部族的な伝統を維持して来たカザフ、キルギス、トゥルクメンなどの遊牧系集団を個々の民族に編成することは比較的容易だったが、定住系のウズベキスタン、タジクの場合問題が大きく、さらにその後、スターリン時代に行なわれた「敵性民族」=朝鮮人、チェチェン人等の強制移住により中央アジアは「民族の流刑地」の様相を帯びたとか。p215
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2015/2/20

『アジアの歴史と文化8:中央アジア史』4  お勧めの1冊

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昨夜の「深層NEWS」から
番組でコメンテーター曰く、「3人に1人、6000人がフランス人」 だとか。 以下の資料とは異なる。それによれば、

「イラクのイスラム首長国の外国人メンバーの41%はサウジアラビア人で、18.8%はリビヤ人、たったの8.2%がシリア人となっている」 とする。 
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/3932/trackback
どちらが正しいのか?


『アジアの歴史と文化8:中央アジア史』4
トルコ・イスラーム時代の後は、近現代である。そこでは現在の中央アジアの問題がそのまま描き出される。最初の章は「清朝の東トルキスタン征服」について。 歴史上何度か中国王朝の版図に含まれていたこの地帯を征服するのは清朝にとってはいわば天命を受けた当然の権利、あるいは義務ととらえられたようだが、実際には随分と高くついた出来事。 国家財政規模が7,000万元のうち、毎年300万元が新疆を支える為に使われたとか。p173

しかしそれも19世紀の20年代から清朝の衰退で揺らぎはじめ、ついに50年代にはその資金も途絶し、聖戦の中に巻き込まれたと。p176

同じことはロシアにも云えるだろう。南下政策によりロシアはカザフ草原を越え、西トルキスタンの支配に進んだ。しかしそれはロシアに将来膨大な負担を強いることになる。同様なことはカスピ海を挟んだカフカースでも起こった。

…そういえば、最近チェチェンは落ち着いてきたのだろうか?
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