2016/4/30

喪の途上にて  勝手連=里親リンク

<震度5>
また震度5を大分で記録したとか。震度5はかなり大きい。私自身も2回、SFと福岡で経験があるが、5でも十分恐怖感を覚える規模だ。しかも今回は大きな地震の後の余震と呼ばれるものが依然としてこれほどの大きさ、どれだけ被災者は心を痛めているだろう。今回の熊本地震はいままでの常識から外れるようなものだと感じる。


<喪の途上にて>
日航機遭難を題材にした、精神科医による、 『喪の途上にて』 という本がある。 あのシダの下には愛猫、ミーの墓がある。
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/1993/trackback
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この本の紹介文には、

『かけがえのない人の突然の死を、残された人はどう受け止めるのか』 とあるが、

時としてそれは「人」ではないかもしれない、しかし「かけがえのない存在」であれば同じこと。 それが突然失われる時、人はどのようにして受け止めるのか、考えさせられる問題。 

このblogerさんはユーモアたっぷりにさらりと書かれているが、共感を覚える人はいるはず。
http://ameshossu.blog58.fc2.com/blog-entry-1675.html
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2016/4/29

古代史と現代政治に関わる色々なこと  試行,指向,志向、思考

次から次に面白い話題が出てきて、なかなか『21世紀の資本』が終わらない(汗)
あと2回ほど『21世紀の資本』残っています(笑)

いま、たまたま『捏造された歴史』というものを読んでいる。その中でも以前私も耳にしたことがある「くろいアテナ」が話題になっていた。これはギリシャ文化がエジプトとフェニキアの影響を受けて開花したというもので、それが近代、特に18世紀以降の反動的キリスト主義や人種差別主義者、反ユダヤ主義により否定され、無視されたというものである。この本の著者は、「くろいアテナ」に象徴される異端の学説が、政治的な捏造だとする立場である。

門外漢の私には、その真偽は分からない。しかし最近それと関係があるかもしれない話題についてちょっとした経験があるので、今回はそれについて述べたい。

いつも訪問させてもらっている安芸国人さんのところで台湾で3000年から5000年前頃に栄えた卑南文化が大陸からの渡来者によるものではないかと書き込みをしたところ、「時系列がかなり無茶苦茶なような気がします」との意見をもらった。
http://blogs.yahoo.co.jp/xuzhoumoemoe/36301285.html

もちろん、その参考にした本(=仮説)を私がどれだけ正確に理解したかどうかがまず問われなければならないが、それらの学説、特にダイヤモンド氏の『銃・病原菌・鉄』で展開された議論では、オーストロネシア人が外海に漕ぎ出す事が出来る画期的なカヌーで中国南部から紀元前3,500年頃に台湾に渡ったとありますので、もしかすると彼らが5,000年前頃から(紀元前3,000年頃から)に栄えた卑南文化は彼らのものかもしれないとの可能性を述べたわけです。

これはダイヤモンド氏だけの仮説ではなく、安田善憲氏の『古代日本のルーツ:長江文明の謎』や『稲作漁撈文明』 、梅原猛の 『長江文明の探求』 でも北方畑作牧畜民が長江下流域の先住民を台湾などの周縁地区に押し出したと記載があります。
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そのほか私が読んだけでも、『中国民話の旅から』にも同じような記載がありますし、また全く専門の異なる遺伝学の立場からも佐藤洋一郎氏の『DNAが語る稲作文明』で同じような結論が得られているようです。
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安芸国人さん指摘の「時系列がかなり無茶苦茶」という点がどれを指すのか私には十分判りませんが、もともと文献資料などない時代(『韓非子』や『戦国策』、『史記』での三苗の伝説などの記載はずいぶん後代のもの)、ここは環境歴史学や考古学、さらには分子遺伝学(遺伝子配列の変異による系統樹)の成果からの仮説によるところが大きいでしょう。

さて、問題を振り出しに戻せば、『捏造された歴史』の著者であるフリッツエ氏は「くろいアテナ」に代表される定説を覆すような仮説の中には政治的目的のために為されたものがあるという立場です。

古代、漢族がそれまでの先住民を追い出したという、一見純粋に学問的であるかのような学説も実は現代の中国とその周辺地域の問題(チベットや台湾、南沙諸島)と無縁ではないような気がします。そうした政治的な思惑と、ダイヤモンド氏や安田善憲氏あるいは梅原猛氏、佐藤洋一郎氏の仮説の間に何らかの「生臭い」関係がないのか? これは今後の課題。 
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2016/4/29

『21世紀の資本』33  お勧めの1冊

「地震は予知できない」
熊本地震を予測した学者は皆無。しかもハザードマップでは「30年以内に震度6弱以上の揺れ」が起きる確率は熊本が8%で、横浜市の78%、千葉市の73%、高知市の70%などと比べると極端に低かったのが現実との意見。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48492

その通りだと思う。生まれ育った熊本県民であった私もそう信じていたし、被災した熊本城をみてもわかる通り、400〜500年といった人間の時間と地質学的時間は別物。
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そうした事実の下で、原発は大地震にはあわないとか、万一地震が起こっても安全だという人が理解できない。天災は避けようがない、しかし確率と危険性を勘案しリスク回避ができるかどうかが人災を防ぐ



『21世紀の資本』33
ここで驚くべき資料が提示される。図14-1の最高所得税率(1900〜2012年)と図14-2の最高相続税率(1900〜2012年)である。著者によれば日本も同じような経過をとったらしい(文脈としては、少なくとも前者については)p530

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自分の国のことなのに全く知らなかった。日本も昔は格差縮小のために高い所得税を高額所得者には掛けていたということだ。しかし、この高い税率は劇的に減少する。それとともに「重役給与の爆発」という著者が名付ける現象が起こる。それまで高い所得税率がかかっていたので、いかに高い給与を得ていても、大部分は税金で持って行かれる。それならば、別に給与は高くなくても構わないという心理が動くのは当然だろう。それがレガーンとサッチャーの時代に歯止めが取れた。p532 

先に述べたように限界生産性理論は実証することが難しいと指摘があった。すなわち最高限界所得税率の低下=トップ所得の上昇はマクロレベルで統計的に検出できるだけの生産性を上昇させなかったのだ。p533 

いや、むしろ「重役がレジに手を突っ込む」ことの方が実態に近い。特定の企業の業績の向上は大抵、その業界全体の業績向上とリンクしていて、高級経営者の出現で特定の企業の業績があがったことと、給与の上昇の間に統計的な有意な関係を見出せられなかったということを指すのだろう。
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2016/4/28

最後の4期目  試行,指向,志向、思考

先ほど三菱自動車を話題にしたが、その時何気なく見ていたTVで、熊本の地震で多くの人たちが不便な避難所で生活している映像が流れた。それを見ながらかつて自分の故郷であった熊本に関わる様々なことが一気に思い出され、先の三菱自動車の話とも絡まり複雑な思いになった。

以前、三菱自動車と同様に血液製剤の不正製造と偽装で化血研のことが話題となったが、実はこの会社、もし何かのきっかけがあったら勤めたかもしれない会社だったのだ。地元でしかも獣医出身の者には当時最高に近い就職先。事実担当の教授から卒業時には就職先にと勧められたことがある。当時は教授推薦ならまず入社できていただろう。そんな良い時代のことだ。ただし自分自身はすでに理学研究を志していたので、その選択肢はとらなかった。 

しかし、人生どこでどう変わるかわからないもの。もし図書館である本に出会わなければ分子生物学を志すこともなかっただろうし… また、そうなれば地元に戻り、その会社で不正に関与し(その可能性は職種からすると極めて高かっただろう)無事ではいれなかったかもしれないし、また、そこに自宅を建てて今度の地震に遭遇したかもしれない。 

そんなこんなことを考えていたら、自分の人生は幸運に恵まれたものだったのかもしれないと思い始めた。確かに母子家庭に生まれ、家は貧乏だったが、幸い国のお金で大学院の博士課程まで行かせてもらい、さらに世界最高峰とも言われる米国の大学にまで留学までさせてもらった。帰国時はまだ日本の経済は絶好調で就職先に困ることもなかった。程なくして、日本は「失われた20年」に入るが公務員となった身としては失業の不安はなかったし、いろいろ学内で難しい状況は経験したが、幸運にも外の大学に教授としてのポストを得ることができ、今日に至っている。

人生80年として、これまでを20年毎の3つの時期にわければ、最初の20年はともかく、二期目の20〜40年はキャリアを積むのに最高の経験をさせてもらった。三期目の40〜60年、現在まではそこそこの人生を歩めた気がする。さてこれから最後の四期目に入るわけだが、あと2年で定年退職、さらに挑戦的波乱万丈の終盤期が待っているのか? 

幸い不正にも関わらず、地震にも会うことなく、今までの3期を経てきた。ある意味随分恵まれていたのかもしれない。それならば、最後の四期目くらいは少しぐらい不幸なことがあっても文句は言えないのかもしれない。幸いこの歳になれば失うものはそれほどない。そう思うようになってきた。

 「傲慢な考え」とお叱りをうけそうだが…
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2016/4/28

『21世紀の資本』32 & Too big to fail?  お勧めの1冊

三菱自動車は存続させるべきではないという意見が散見されます。私も同感です。

過去2回もリコール隠しをした上での今回の偽装。四半世紀もやっていたとか、とても個人の犯罪ではないでしょう。 そうでなくても、こうしたことは組織ぐるみでしかできないと思います。一人、あるいは多くても数名しか関わっていない論文捏造とはわけが違う、これは組織犯罪ですね。 論文捏造では確実に関係者は科学界から追放されます。キャリアはそれで終わりです。中には自殺した人もいる。

この事件は日本ブランドも傷つけました。廃業させるべきという意見が過酷すぎるとは思えません。どうでしょう? 日本政府はどうするのでしょうか?  また、Too big to fail? にするのでしょうか?


『21世紀の資本』32
第14章は「累進所得税再考」
課税制度における20世紀の最大のイノベイションは累進所得税の考案と発展だとする。累進所得税が当然だと思っている私にとってこの言説は驚きである。p514  これは20世紀において、格差低減に重要な役割を果たしたが、現在国際税制競争により深刻に脅かされているとする。これは、それぞれの国が累進所得税を低くしあっていることでマネー(そしてそれを稼ぐ人間)が国境を越えてより安い税のところに逃げていることを指すのだろう。

この国際的な所得税の引き下げ競争は限界生産性の向上に利するという理屈がよく言われるが、著者によれば、1980年以降の先進国における生産性成長率と最高限界税率低下との間には統計学的有意な関係の事実はないと断言する。p533

さて、15章に入ると、本格的提言に入る。そして理想的なツールは資本に対する世界的な累進課税だとする。「間違いなく非現実的な水準の国際協調を必要とする故に」この理想に近いものすら当分の間は実施できないにしても段階的に向かうことはできると著者はいう。少なくとも技術的にはなんら問題はないという。そして「簡単な解決法」として銀行情報の自動送信とする。実際、アメリカでは人口3億の国ですら銀行データーは自動的に税務当局に共有されているらしい。p546

またこうした提案に対してよく叫ばれる銀行の秘密性維持の口実や、政府による情報誤用の懸念に対し著者は「(自由貿易と経済統合でお金持ちになった個人が、隣人たちを犠牲にして利潤をかき集めるなどというのは正当ではない。それは窃盗以外の何物でもない)と断罪する。p547 それは、『一部の国が、隣国の課税ベースを吸い上げて周辺国を犠牲にして』いるからだ。p548 

先のG20の会議でもこうしたタックスヘイブンに対し情報を共有しよるとする動きはあったようだ。
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2016/4/27

『21世紀の資本』31  お勧めの1冊

今日upされた小原凡司氏の記事は先日ここで話題にした内容と重なる。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/6649

論者の小原凡司氏は比較的信頼できると常日頃思っている人で、いつも冷静な分析が特徴。先日私は中国の海洋原発の計画を「暴挙」としたが、さすがに同氏は冷静にこの戦略的意味を解説されている。
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/4466/trackback

あの時点で私は、「人質をとってこの地域に居座ろうという意思を示そうとしているようなものである」 と述べたが、同氏の解釈も同じ。「嫌な予感」というのが当たっていそうな気がする。憂鬱なことだ。
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/4174/trackback
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『21世紀の資本』31
最後の第IV部、第13章からは、これまでの分析をもとに、将来への提言を著者は述べる。彼は21世紀の課題対応に最も適した道具は、累進所得税よりもむしろ累進資本課税だとする。p492

19世紀には欧米の税収は国民所得の10%程度だった。これは政府が君主機能(警察、法廷、軍事、外交、一般行政)はできるがそれ以外は出来ないレベルだと。p493 それが1910年頃より徐々に上がり2010年段階で米国で30%、イギリスで40%、スランス50%、スウェーデン55%になる。ただしその上昇はいずれの国も1980年頃からフラットになる。まず注目すべきは特に米国とスウェーデンで25%もの違いがあること。それと1980年頃から頭打ちになることだろう。またこの上昇分は社会国家(教育と保険医療など)の構築に使われたものだとする。p498 

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意外なことだが日本の場合もこの本の中で紹介されていて、日本では米国並みの30―35%だそうだ。つまり私が予想していたよりも社会国家的ではないことが判る。アメリカ的なのだ。因みに、サブサハラ・アフリカやインドは10〜15%、中国は15〜20%の数字が並ぶ。中国は予想されることではあるが、その社会主義国家の理念に反して君主的国家に毛が生えた程度の国家となる。p511

ただここで著者は中国についてさらに述べ、人口の相当部分に適用される所得税を持ち、将来欧米や日本のような先進国で見られる社会国家を発展させるプロセスにあるかもしれないと述べている。(ただし、政治的、民主的基盤については不確実性があることも付け加えている)p512

ここで教育について具体的な話が出てくる。米国ハーバード大学の学生の両親の平均年収は45万ドル。米国の所得トップ2%に相当するとか。p505 フランスの大学の学費は非常に安いが、現実はそれほどでもない。例えばパリ政治学院の学生の両親の平均所得は9万ユーロでこれは所得トップ10%に相当する。つまりハーバード大学より受け入れ枠は5倍広いだけだ。p506

こうした具体的数字は機会平等といった「理念」の裏に隠された「現実」を表しているような気がする。
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2016/4/26

『21世紀の資本』30  お勧めの1冊

『21世紀の資本』30
ここでタックスヘイブンが話題になる。富裕国の純外国資産を様々なデーターから試算したグラフがある。図12-6 それによれば、富裕国総てをあわせた値(世界の所得の%)は1985年のほぼ0%から2008年にはマイナス5%程度になっている*。これは植民地時代、世界に対してはるかに大きなプラスを保持していた時代に比べれば国際的ポジションが均衡していると言えるが、むしろ逆に貧困国がプラスということになるが、これは明らかにおかしい。つまり貧困国が富裕国に所有する資産が世界のGDPの5%(文章では4%)になるということになるから。それならば、何故か? 著者は、

『地球が火星に所有されているように見える』と表現している(笑)

ガブリエル・ズックマンはこの説明として最も説得力のある理由として

<報告されていない巨額の金融資産がタックスヘイブンに存在することだ> 

と述べたとか。なお、彼の慎重な(下限と考えた方がよい)推定によれば世界のGDPの10%に相当するとか。p484

結論は明白なのだ、あらゆる証拠が示す通り、富裕国の、世界の他の地域に対する純資産ポジションは、実際はプラスで、それをタックスヘイブンに隠しているからなのだと。 p485

これから13章に入る。『21世紀の社会国家』。残り3章を残すのみだが、まだ100ページを超える分量がある。ただしこれからどのような説が展開されるのか何となく予想できると感じるが、どうだろう? いずれにせよ、それはこれから徐々に明らかになるだろう。

* 日本は徐々に上昇し2008年くらいにはプラス4%になってる。これは納得できる。それと日本はあまり資産隠しをしていないとも言える。



それにしても、全くタイミングよく「パナマ文書」が明らかになったものだ。
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2016/4/25

『捏造される歴史』 & 忘れていた本  お勧めの1冊

先の地震で阿蘇神社の楼門が倒壊したとか。
http://tourabumatome.com/archives/58448643.html

昔大学生の頃だろうか? 小学生時代の友人とこの神社に正月三社まわりに行ったことがある。この楼門170年前に建設され地震が起こるまで健在だったとか。つまりこの時間の感覚の間には大地震はなかったということだろう。これは熊本城も同じ、加藤清正建設だと子供の頃から聞いていた。つまりそうした時間感覚(400〜500年)の間には大地震はなかった。一方で、地震は地質学的時間、数千年から数万年の時間感覚。こうした悠久の流れを刻む自然に対してもっと我々は謙虚であるべきだ。
 
昨夜ようやく長いこと掛かって『21世紀の資本』を読み上げたので、早速全く感じの変わった本、『捏造される歴史』を読み始めた。

読み易い本で、あっと言う間に三分の一ほど流し読みできた。この本の著者についていろいろ調べてみたら、昔同じように長いこと掛かって読んだ本、『ロマネスク世界論』の著者が書評を書いている記事に出くわした。それで今回はそのことについて一言。

『捏造される歴史』
ロナルド・H・フリッツエ著、原書房出版、2012年初版。著者はアカデミズムの人である(州立大学の歴史学教授)しかし珍しく、こうした似非歴史学に対し怒りをあからさまにして厳しく批判する。

実はこうした専門家は珍しい。大抵、こうした似非科学に対し専門家は無視をする場合が多い。専門家が無視をするのは理由があって『相手にしたら自分も同じレベルの落ちる』と感じていることがその理由だ。
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/766/trackback

以前、分子生物学会だったか生化学会側から、こうした似非科学を徹底的に潰していこうという提案がなされたこともある。しかし、現状は変わらない。アカデミックな人はこうしたことに関わらないことが自らの科学者としての「品位を保つ」ことだと考える風潮があるような気がする。
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それは兎も角、著者は珍しく、しつこいほど、こうした言説を1つ1つ取り上げその非科学性、欺瞞性を批判する。訳者の山形氏が述べるように『詳しすぎてゲンナリさせられる』p423 程である。しかし、それはこうした似非科学の背後に潜む危険性を著者が感じているからだろう。

著者はいう、

『失われた大陸の実在を信じることの、どこが問題なのだ… さほど害はない』p95

しかし、著者はそうしたことに対し、

『アトランティス伝説は、お話としては楽しいし… (しかし、デズニィーの)無垢でキュートなキャラクターが鎮座する岩の下には、おぞましいナチスが潜んでいるかもしれないのだ』 と。p96

書いてある内容は取り立ててのことはないのだが、1つ知らなかったことが記載されてあった。それは、アトランティス伝説(ムー大陸=レムリア大陸はその1つの例)について、それが近世受容された背景についてである。

著者によれば、聖書による<すべての人類の祖先はアダムにさかのぼることができ、そこからハム、セム、ヤフェトというノアの子供達が、それぞれアフリカ、アジア、ヨーロッパの先祖とされた> という言説が、コロンブスにより偶然に新大陸が発見され、その先住民がこの3つのどれにも該当しないという現実に直面し狼狽した。そこで、大西洋にアトランティスがかつて存在し、そこにかつて人類の祖先が文明を築き、その滅亡に伴い、新大陸に逃避したと解釈する必要に迫られたとか。

もっともそうした解釈とは別のものがあることも我々はいま知っている。それはこの新大陸の先住民を人類とは異なる「種族」とする考え方である。「食人類」とするものでこれについては『征服の修辞学』 に詳しい。
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ともかく、著者のこうした似非科学に対する執拗な敵視に、もしかすると彼がユダヤ人ではないかと感じたので調べてみたが、いま現在答えは得ていない。
https://en.wikipedia.org/wiki/Ronald_H._Fritze

その間、以下の書評がヒットした。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO39293030T00C12A3MZC001/

ここで書評をしている池上俊一氏は『世界の歴史10;西ヨーロッパ世界の形成』『動物裁判』 や「狼男伝説」 の著者であり、
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なにより「ロマネスク世界論」の著者であると言った方がよい。この本、忘れていたが、まだこのblogを書き始める前にそれこそ長い時間をかけて読んだ本である。1990年代後半、西欧中世史に興味を持っていた頃の話。
http://www.unp.or.jp/ISBN/ISBN4-8158-0362-5.html



…こうした反省がいま必要なのかもしれない。それは例えばあの信頼できる方だと考えているアゴラに以下のようなことが、日本史の専門家には噴飯ものの物語が堂々と述べられている、現代日本の現状があるからだ。
http://agora-web.jp/archives/author/kazuoyawata
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2016/4/24

『21世紀の資本』29 & 残り6回(笑)  お勧めの1冊

先ほどようやく『21世紀の資本』の本を2ヶ月ほどかけて読み終わった。2016.4.24 0:04AM

結局全部で35回に分けてまとめることになる。それで後しばらく連載は続く予定。
これでようやく解放される、という感じ(笑)


<タックスヘイブンその後>
日本は533件、467住所 中国は8,995件、7,806住所
人口が10倍だから、当然だが、それにしても中国は多い。ほぼ17倍でしょうか。さすが国内から富が大量に海外に流出していることで有名な国。

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『21世紀の資本』29 & Homegrown terrorismの起源
著者は云う、

『来るべき世界は、過去の最悪な世界が合体したものになるかもしれない。それは、能力や生産性という観点から正当化された凄まじい格差と、相続財産の非常に大きな格差との両方が存在する世界だ』p433

後者は19世紀末の世界であるが、21世紀はそれに労働賃金の巨大な格差が加わるという。しかもそれはスーパー経営者が<レジに手を突っ込んで得たような>賃金である。 教育格差について著者はこうも語る、

『教育格差はおおむね単に上に移行しただけで、教育によって世代間のモビリティーが本当に増したという証拠はない』p436

結論として、著者は

『私たちの民主主義社会は能力主義的な世界観、少なくとも能力主義的希望に基づいている。それは、格差が血縁関係やレントではなく能力や努力に基づいた社会を信じているという意味だ』ところが、

『(全ての人が平等であるという理想と貧富の差が有るという現実)この矛盾を克服するには、社会格差は偶然の条件から生まれるものではなく、合理的かつ普遍的な原理によって生じるという認識が不可欠だ』p438

ここに非常に重要な提言が示されていると考える。そしてこの認識=了解が打ち砕かれた時、Homegrown terrorismが生まれたとするのが私個人的な理解である。
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2016/4/23

暴挙 & 都合が悪い?  

驚くべきニュースが飛び込んできた。中国が「海上原発」建設を計画し周辺諸国と領有権を争っている南シナ海の人工島などに電力を安定供給する計画だとか。中国外務省は「そうした報道に関する情報は持ち合わせていない」と確認を避けたらしいがどうなのだろう。
http://www.sankei.com/world/news/160423/wor1604230005-n1.html

離島に小規模な発電施設を建設することはあるだろうが、なぜそれが原発でなければならないのか? 原発は普通の発電とは異なる。そのリスクは格段に高くなる。ましてや領有権を争っている南シナ海にというのが事実であれば世界に対し人質をとってこの地域に居座ろうという意思を示そうとしているようなものである。いや実際そうなのだろう。世界中が厳しく反対の意思を表明すべき。

ところで、なぜか中国に対しいつもこうした記事を大々的にトップで載せ、誹謗中傷する産経のこのニュースに対する反応は鈍い。1面で取り上げるわけでもなく「国際面」の片隅に載せているだけ。写真もない。

いつも原発が必要という産経はこの暴挙を大々的に取り上げるのはきっと都合が悪いのだろう。


追伸
チャイナネットもこのことを伝えているが南シナ海という言及はない。最初からないのか、わざと消したのか知りたいところ。
http://japanese.china.org.cn/business/txt/2016-02/04/content_37738111.htm

再追伸
オリジナルな記事はこれか? 後できちんと読んでみよう。
http://www.cnnc.com.cn/tabid/283/InfoID/96318/frtid/446/Default.aspx

新华社成都1月14日电 记者14日从中核集团旗下的中国核动力研究设计院了解到,该院联合国内船体平台研发、设计和制造单位,已完成针对我国海域的浮动核电站初步设计和关键技术攻关工作,计划2016年底启动示范堆建设。

  日前,国家发展改革委正式复函,同意中核集团申报的海上浮动核电站ACP100S纳入能源创新“十三五”规划。ACP100S是ACP100的海上应用型号,而“多用途模块式小型压水堆ACP100”作为国家高新技术产业发展项目,2011年已获得国家能源局批复,且已完成所有科研攻关工作。

  据了解,ACP100S是中核集团完全自主研发、自主设计的小型海上反应堆型号,完全符合三代核电安全要求,可以满足为海上钻井平台、海岛开发、偏远地区等提供热电水的能源需求,以及海水淡化、核能制冷等多元化的发展需求。

  中国核动力研究设计院多用途模块式小型压水堆总设计师宋丹戎介绍说,目前核动力院联合国内船体平台研发、设计和制造单位,已完成针对我国海域的浮动核电站初步设计和关键技术攻关工作,具备示范堆建设基本条件,计划2016年底启动示范堆建设,2019年建成运行。

  据悉,中国核动力研究设计院基于50多年的海上小堆研发经验,开发了包括ACP10S、ACP25S、ACP100S等三种不同功率规模的浮动式反应堆,并可在此基础上进行单双堆组合,实现不同功率规模的浮动式核电站型号。

  宋丹戎还透露,浮动式反应堆所有堆型全部是自主开发,拥有100%的知识产权,相关浮动核电站型号的国内外专利布局和知识产权保护工作也已完成,仅ACP100S就已获得国家专利局批复的各类专利385项,并与国际最大的英国劳氏船级社和国际原子能机构IAEA签订了合作协议,正在开展相关的浮动核电站安全审评和相关的法规标准制定工作。(文 李华梁 影 核动力院)
2016.1.15
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