2016/10/31

『ネオ・チャイナ』7  お勧めの1冊

週末は街のあちこちでHalloweenイベントを見る。 

…初めてHalloweenを知ったのは米国留学時代、その時の第一印象は、これは異教的でとてもキリスト教の風習ではないと確信した。それで何人かのアメリカ人に真面目に起源を聞いたことがある。しかし、誰も満足できるような答えを持ってはいなかった。
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いまの若い人はそうした疑問を持つことはないのだろうか? イベントだから野暮な質問ということか?



<バルカン政治家>
フィリッピンの大統領が帰国した。賛否両論あると思うが、彼のアメリカに対する彼個人の遺恨は置くとしても。米中という2つの超大国間に挟まれた彼の国の駆け引きを見る。

さて同じような日本の立場はどうだろう? 

中露は日本にとり潜在的脅威。また中露も互いに潜在的脅威と見ているはず。ならば日中露という三角力学の中で米国の存在を日本はどのように考えるか、そこからある程度の答えは出るだろう。ただし現実的にどのように行動するかは難しく様々な解答が考えられる。ドゥテルテ大統領の行動はその1例だろうと思うが、それが正解なのかは甚だ疑問。ああして、あからさまに行動するのは国民向けで、一時は受けるかもしれないが、長期的に国益にそうとは思えない。




『ネオ・チャイナ』7
2011年中国人民銀行が1990年以降、18,000人の腐敗官僚が海外に脱出しており、それに伴って持ち出された資金は1,200億ドル(12兆円)に達するという内部報告書をweb上に掲載し、この報告書は直ちに削除されたとか。p282 ここでも公務員の年収は最大で20万元とされる。つまり300万円程度。しかし普通にグッチやルイビトンの常連客でもある。p288
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一方で外国人が中国で賄賂を要求されるようなことは他の開発途上国に比べまずない。p289 これについて著者は、

『民主主義国では有権者を買収するが、買収する有権者がいない国(中国)では公的ポストを提供してくれる者にカネを払う』 という。p289

ここで面白いことが書かれてあった。面白くはあるが、不愉快でもある。曰く、

『一国の腐敗度が10段階で1つ上昇すると、経済成長率は1ポイント低下する』しかしこれには例外があり、その例外として日本と韓国を挙げ、日韓では『腐敗は崩壊をもたらすことなく、国家の成長と歩みをともにしてきた』と。p300
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2016/10/30


10週で18冊ですか。1週間でほぼ2冊弱の割合、そんなものでしょう。

2016/10/29 『ネオ・チャイナ』5
2016/10/27 『ネオ・チャイナ』4
2016/10/26 『ネオ・チャイナ』3
2016/10/25 『ネオ・チャイナ』2
2016/10/24 『ネオ・チャイナ』
2016/10/23 『中国の思想家』5
2016/10/22 『中国の思想家』4
2016/10/21 『中国の思想家』3
2016/10/20 『中国の思想家』2
2016/10/19 『中国の思想家』
2016/10/18 『イスラム戦争』5
2016/10/17 『イスラム戦争』4
2016/10/16 『イスラム戦争』3
2016/10/15 『イスラム戦争』2 
2016/10/14 『イスラム戦争』
2016/10/13 『イスラーム圏で働く』2
2016/10/12 『イスラーム圏で働く』 
2016/10/11 『ヨーロッパ文明の正体』3
2016/10/11 『ヨーロッパ文明の正体』2
2016/10/11 『ヨーロッパ文明の正体』 
2016/10/10 『蒋介石秘話』 
2016/10/8 『毛沢東』4
2016/10/7 『毛沢東』3
2016/10/6 『毛沢東』2
2016/10/5 『毛沢東』 
2016/10/2 『「いま」の日本が知っておくべきアジア情勢』 
2016/10/1 『騒乱、混乱、波乱! ありえない中国』
2016/9/30 『バカだけど社会のことを考えてみた』  
2016/9/29 『図説:イスラーム庭園』7 
2016/9/28 『図説:イスラーム庭園』6 
2016/9/27 『図説:イスラーム庭園』5
2016/9/26 『図説:イスラーム庭園』4 
2016/9/25 『図説:イスラーム庭園』3
2016/9/24 『図説:イスラーム庭園』2
2016/9/23 『図説:イスラーム庭園』
2016/9/22 『ヨーロッパ庭園物語』
2016/9/21 『2023年の中国』4
2016/9/20 『2023年の中国』3
2016/9/17 『2023年の中国』2
2016/9/16 『2023年の中国』
2016/9/15 『イスラム化するヨーロッパ』2
2016/9/14 『イスラム化するヨーロッパ』
2016/9/13 『シャルリとは誰か』8
2016/9/12 『シャルリとは誰か』7
2016/9/11 『シャルリとは誰か』6
2016/9/10 『シャルリとは誰か』5
2016/9/8 『シャルリとは誰か』4
2016/9/7 『シャルリとは誰か』3
2016/9/6 『シャルリとは誰か』2
2016/9/5 『シャルリとは誰か』
2016/9/4 『爆買いと反日』4
2016/9/3 『爆買いと反日』3
2016/9/2 『爆買いと反日』2
2016/9/1 『爆買いと反日』
2016/8/31 『魔女幻想』3
2016/8/30 『魔女幻想』2
2016/8/29 『魔女幻想』 
2016/8/27 『中東 I』9
2016/8/26 『中東 I』8
2016/8/24 『中東 I』6
2016/8/23 『中東I』 5
2016/8/22 『中東 I、シリーズ知っておきたい』4
2016/8/21 『中東 I、シリーズ知っておきたい』3
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2016/10/30

『ネオ・チャイナ』6 & 愚民化政策の手口  

2002年に南京で起こった毒物混入事件で40人以上の死者が出た事件でその報道が抑制的だった時、民衆がインターネットで不満をぶちまけ、

『川の流れをせき止めるよりも難しいのは、民衆の口をふさぐことだ』 

という言葉が書き込まれたとか。p241  まさにこれは、先の『中国の思想家』で出てきた、司馬遷の『防民之口、甚於防水』 という言葉から来たに違いない。
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直感的にSNSを使って情報操作が行われているというのを確信していた。それ故、スマートフォンの普及、正確には中国版SNSの普及を『愚民化政策』だと主張していたが、著者は具体的にその手口を示す。証明された気分だ。

2007年に胡錦濤主席がインターネットのフィリタリングだけでは不十分だとして、「世論の先導役」のチームを組織した。彼らはネット空間を徘徊し、議論をもみ消そうとするのではなく。それを<誘導>しようとしたとか。p244 

その手口は、例えばガス料金の値上げについて批判を展開する者があれば、炎上しそうな書き込みをして、本来の問題を感情的な問題にすり替え、その場を炎上させる。これで「ミッション完了」ということらしい。p245 著者はこのことを直接、このミッションを行い日銭を稼ぐ人物からのインタビューで明らかにした。私は様々な状況証拠から感じていたが、まさに「さもありなん!!」というところ。
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2016/10/29

『ネオ・チャイナ』5  お勧めの1冊

『ネオ・チャイナ』5
<ブラックユーモア>
中国の反体制芸術家、艾未未(aiweiwei)のブラックユーモアに以下のようなものがある。

アルパカ=Alpaca=草泥马=caonima 同じ発音で、肏你妈=fuck your mother
草泥马当中央=caonimadangzhongyang=肏你妈党中央 >fuck your mother communist party
を意味するものらしい。彼に対して別の芸術家は以下のように批判する。
https://twitter.com/flyinging?lang=ja
http://www.molihua.org/2011/11/blog-post_7127.html

『艾未未が帰国した時の中国と、今の中国は大きく変わっている。彼は冷戦期の考えにしがみついたまま。誰もが彼のようにはなれないが、中国が彼を許容しなかったら、それはそれで問題だ』p221

それでも彼、艾未未は党からの許容と大衆の支持を得ているらしい。p223 おそらくそれは「ガス抜き的存在としての世界的に有名な芸術家」という立場からくるものだろう。 ちなみに彼はあの北京オリンピックの時の「鳥の巣」競技場の設計者の1人。
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2016/10/28

新共通テスト & DNA構造  教育

新共通テストで導入される記述式試験についてのアンケート結果について朝日が報じていた。
http://www.asahi.com/articles/ASJBT7TSGJBTUTIL05L.html

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それによれば、必要性は認めるが(6+53.4%=60%)、実現可能性は厳しいと出た。(50.6+7.2%=58%)。 それは当然だと思う。 それより何より、私が一番危惧することは「公平性が担保できない」という点である。 

100人程度のレポートですら公平に採点できているか不安になる。まして人生を決めるような全国規模の入試の採点で記述式を取り入れるなど、これを決めた委員は果たして教育の経験があるのかどうか非常に疑わしいと当初思っていたが、その後メンバーの顔ぶれを知って、「さもありなん」と思うようになった。
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しかも結局、実施は各大学に丸投げすることが分かり、なんと無責任なことかと思った。
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ある程度の人員規模がある総合大学では実施は可能だろう。しかし、小規模の大学、単科大学で自信を持ってやれる大学がどれだけあるか? 記事は、課題を残したまま記述式が導入されると、利用大学が減る可能性もあるとしている。

しかし私の考えでは、どこでもやらないわけにはいかない(無言の圧力がある)から、無理して記述式を導入する(断言)。その場合には公正性は担保できない。これは予言しておく。



<想定外のことではない>
国立大学で若手研究者が減少し、しかも任期付きのポストしか得られず不安定な身分に置かれているとのyahooニュース。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161026-00000008-wordleaf-soci

しかしこうしたことは別に今に始まったことでも、想定外のことでもない。 なぜなら毎年大学の運営費は年1%、2004年からすでに1割以上減ったからだ。昔からわかっていたことを今更問題にするのもおかしな話だが、人は現実の脅威を目にしないと判らないということだろう。
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うちの大学のような条件の悪い助教のポストでも応募してくるのは皆、40代の研究者という驚きの現実がある。
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<DNAの構造>
今日、DNAの構造を1時間かけて説明したが、Youtubeにわずか3分弱でそこで説明した分の内容を動画で説明しているものがある。実に分かりやすく便利で例年、紹介も兼ねてこの動画を最後に流している。
https://www.youtube.com/watch?v=ZGHkHMoyC5I

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2016/10/27

『ネオ・チャイナ』4  お勧めの1冊

<気になるニュース>
これまで国際金融市場で資金調達をしてこなかったサウジアラビアによる175億ドル(約1.8兆円)の国債発行のニュース。 原油価格の下落によって直近の財政赤字が国内総生産(GDP)の約15%に相当する970億ドル(9兆円)に及んだことが理由だとか。赤字の補填(970-175=795)にはまだ18%程度、補填には不十分だし、応募は670億ドルもあったことだし、まだまだ増えるかもしれない。

…これはサウジに限ったことではないはず。それ以外の産油国。例えばロシアも相当困っているはず。また米国もシェールオイル関係はかなり厳しいはず。
http://blog.livedoor.jp/columnistseiji/archives/51690746.html

翻って日本は本来相当助かっているはず。 ところが評論家は「原油価格の低迷が投資資金の枯渇・流失により株価を押し下げている」と言うが、エネルギー資源のほとんどを輸入している日本では本来喜ぶべきではないか? 

こうした素人の感覚が、プロの目からすれば逆に映るとするなら、「どこかがおかしくなっている」と感じるべきでは???
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「風が吹けば桶屋が儲かる」的なテクニカルな方策で株価や為替レイトを見ていると、いずれ大きなしっぺ返しが来ると用心したほうがよい。



『ネオ・チャイナ』4
MITのメディア研究所の創設者のネグロポンテはかつて、

『インターネットにより、国単位で自分たちを考えることがなくなるだろう』と予測したが、中国の場合はむしろ逆方向に動いていると著者はいう。p156 

中国において、インターネットは「根本的な変革を求める勢力をガス抜きにする安全弁となることで権威主義的体制が強化される結果を招いた」と。p185 私はさらに進めてこのネット社会を政権が操作することで今や中国においてネットは「愚民化政策を推し進めるツール」とさえなっていると考える。

以前も指摘したように、規制を迂回して接続するユーザーが増えたことが実は、日本のAV女優、蒼井そらが関わっていたことに象徴されるように、今やネットは自由のツールとして使われる代わりに愤青ならぬ、粪青のツールに成り下がった。

しかし、そうは言っても当局はいつも情報操作に成功したわけではないし、こうした愚民化政策に完全に成功したわけでもない。その例を著者は挙げている。胡錦濤氏が低価格住宅に住む家族を訪問し、その家族が政府に感謝を述べる番組が放映された直後にこの家族が実は公務員でしかも上海や海南島にレジャーに行くような階層の家族であったことが、人肉捜査による明らかにされた。p191

では何故、ネットは社会変革のためのツールにならなかたのか? それに対し著者は、経済の向上と、もし政権交代が起こったら引き起こされるであろう「恐ろしげな未来」が見えたからだろうという。p202  これはよく判るし同感だ。

10章の「奇跡と魔法のエンジン」で、奇跡という言葉を媒介にして2人の人物、正反対の人物が結びつけられる。1人は先の台湾から大陸に(逆に)亡命し後に世界銀行のチーフエコノミストになる林氏とノーベル平和賞を受賞した劉氏である。前者は中国経済の「奇跡」を語り、後者は「構造的な腐敗という奇跡を、不公平な奇跡を、そしてモラルの失墜という奇跡を語る」p183 

<データーベースとして>
『三重問』(邦題「上海ビート」)サンマーク出版というのを読んでみたい。p195
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2016/10/26

『ネオ・チャイナ』3  お勧めの1冊

産経曰く、

『セウォル号沈没当日に朴氏と密会していたとの根拠のないうわさが出た』 

は〜あ? それを大々的に取り上げ記者が拘束されたのは産経ではなかったのでは?
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http://www.sankei.com/world/news/161025/wor1610250030-n2.html



『ネオ・チャイナ』3
この中で『財経』という雑誌の編集長に焦点を当てる。p141 この雑誌、見たことがある。中国の国際線の機内に置かれている雑誌だったようだ。高級感のある雑誌で、いつも高級時計や、SUV車の宣伝が紙面に載っているような雑誌といえばイメージがつきやすいだろう。

この雑誌の記者の1人がインタビューに答えて曰く

『それまで党への愛着を持っていたが、海外に滞在したことで、真実の持つ意味についての理解が変わった』

という。p145 彼はそれを留学時代チャイナタウンの新聞社にアルバイトで勤めた経験がベースになっているという。

それはそうだろうな〜と感じる。だから日本も沢山の留学生、特に中国人留学生を迎えることで、真の日本についての中国人の理解が深まることに十分期待できる。もちろん、彼ら全てが親日派になるわけではない、否、むしろ多くが知日派にはなるが、同時に多くが嫌日派になる可能性も覚悟しないといけない。しかしお互いに知り合うことで交渉が可能になるというところが重要なのだ。

無知同士だと「折り合い」をつけることが難しい。特に領土問題などでは。こうした問題はお互いに妥協の難しい問題。それがそれぞれの立場で分かるということが重要なのだ。それが判らない日本人も沢山見てきたから特にそう思う。

もとに話を戻すと、この雑誌が知名度を上げたのはあのSARS事件だったようだ。p146 財経の記者が香港を取材で訪れた時に、大陸との民衆の反応の違いを感じた。そこから鋭い視線が開けてきたということらしい。

しかし同時にこの雑誌があくまで中国本土のマスコミである以上、限界もある。ある批判者はこの雑誌が取り上げるテーマは決して体制の根幹に関わるものではないと指摘する。p149 そのことをこの編集長も否定はしない。

彼女は言う、『反撃の口実を与えないようにしている』、また具体的な四川地震の時の対応では『15年前に誰が良質のレンガを使わなかったのか』ではなく、『公的資金の使途を監視する』という立場で学校の校舎の倒壊事件を扱ったという。成る程! まさにこの章の題名である『足枷をつけて踊る』というのにピッタリな対応というものだ。p151
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2016/10/25

『ネオ・チャイナ』2  お勧めの1冊

「駆けつけ警護」には反対だ。先に内藤正典氏が述べたように、日本がイスラーム世界にかつて武力を持って対応した歴史がないことは『日本のブランド力、歴史的遺産』だというのには同感だ。 
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それにしても何故、ああも安倍氏は軍事力をもとにした「世界貢献」に前のめりなのだろう? いずれにせよ、「駆けつけ」は敵対勢力から見れば「攻撃」だろう?! 何故それを認めない? 自衛隊への攻撃には自衛権行使で問題ないが、攻撃もされないのにシャシャリ出て駆けつけるのは攻撃以外の何物でもないはず。何故、それが判らない?

西欧社会のイスラーム社会への「負の歴史」を何故、日本までシャシャリ出て巻き込まれなければならない?!

同じことが東シナ海と南シナ海にも言える。尖閣問題を抱える東シナ海は自国の領土問題、怯めば足元を見られる。ここは自衛権の問題だろう? しかし南シナ海には日本は何の権利もない。そこにシャシャリ出れば相手からみれば「攻撃」だろう?



『ネオ・チャイナ』2
さすがジャーナリストが書いた本だという感じの読みやすい本。幾つかの話が平行して進んでいく形式。まだ少ししか読んでいないが、やがてそれらの別々の話があとから1つに纏まっていくのだろうか? 

ここで面白いことが書かれてあった。そしてそれは私自身、身近に感じていることでもある。著者曰く、

『金銭的決断に関しては、中国人は同じレベルの米国人に比べより大きなリスクを取る』p101  

これについてウィエーバーとスイは『クッション仮説』なるものを提唱しているとか。すなわち、伝統的な大家族ネットワークがもし失敗に終わっても、助けを求めることができるという安心感があるからだということ。

半分納得しつつも、しかし現在ではそうした大家族制はだんだん失われていきつつある。つまり核家族が進行しつつある現在の中国社会にとってもはや有効であり続けることはできないということ。


また著者はこうも言う、

「中国が豊かになれば当然西洋化が進み、民主的になるという将来像はもはや自分自身の中で説得力を失っていた」p133

また天安門にそびえる英語表記で「中央広報部」なるビルの実際の名称は「中央宣伝部」という。この表現の方が正確だという。宣伝=プロパガンダとすれば納得する。p136

そして著者によれば伝統的なものであるという。かつて秦の始皇帝は「(民衆は)無知なままにしておけば、大衆は自然と従う」といい。p137 江沢民は「グラチノスクには屈しない」と述べたという。p138 なるほど、そもそも透明性とか、民主的という概念そのものが伝統的に欠けているのかしれない。
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2016/10/24

『ネオ・チャイナ』  お勧めの1冊

『ネオ・チャイナ』
エヴァン・オズノス著、白水社、2015年初版。Age of Ambition, by Evan Osnos

ハーバード在学中に中国に2回も留学し、のちシカゴ・トリビューンの記者として世界中を駆け巡った。2005〜13年にニューヨーカーの中国特派員。現在はニューヨーカースタッフライターであるとともにブルッキングズのフェロー。

『中国の思想家』を半分くらい読んだ時点で少し集中力がなくなったので、この本に乗り換えた。ただし中断ではなく、今後も『中国の思想家』は読む予定。つまりそれだけの価値があるということ。それだけに集中力なくダラダラ読み流すのはもったいないから。

まず、この本を手に取った理由の1つが、題名をさることながら、白水社という出版社に当たり外れがないこと。この出版社はこれまで良質の歴史書を沢山出している。例えば、『中世ヨーロッパの生活』『もうひとつの中世のために』『歴史は続く』『死者と生きる中世』『ロマネスク芸術の時代』『中世都市と暴力』『中世の迷信』『ヨーロッパの知的覚醒』 。

こうしてみると全て西欧中世史。このblogでもよく引用するくらい名著が多い。それだけに現代中国についての本をこの出版社が出すというのは「どうゆうことだろう?」という興味もあった。

wikiでこの白水社を調べると、社名はなんと中国古典の『淮南子』からきたものとのこと。またフランス語関係が多いのはこれまで読んできた歴史書からも納得。

さてこの本、最初は台湾から大陸への亡命者の話が冒頭でてくる。この亡命者のちに経済学者となった元世界銀行チーフエコノミスト。これほど意外性の極みというものだろう。

プロローグで著者はインターネット利用者が世界最大の国で史上最大規模で情報検閲をする中国という事実を挙げる。p014 さらに後でこれが2001年、江沢民によりインターネットを「政治的、思想的、文化的戦場」としたことから、単に検閲の対象としてではなく。より積極的に洗脳=愚民化政策(←私の独断と偏見による造語)の場として展開することになる。p040

ここで責任性農業=請負制=生産責任制のことか? が内陸の小崗という村で始まったことを挙げる。p022 これが1978年11月、安徽省鳳陽県小崗村で始まった請負制であることがwikiの記述からわかる。
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http://kccn.konan-u.ac.jp/keizai/china/05/01.html

<データーベースとして>
共産党員の数は8,000万人=中国人成人の12人中1人。
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2016/10/23

『中国の思想家』5  お勧めの1冊

『中国の思想家』5
朱熹は「知は」体験を通して深まる実践知と捉えているそうだ。この思想はやがて東アジア全体に広がり、当然日本もその思想に大きく影響されることになる。この実践知を通してその社会全体の知力を底上げし、これが次にやってくる近代の受け皿として機能したと著者はいう。p260


前回何故、朱熹の思想がきっかけは何であれ、禁学とされたのかという疑問が出たが、もしかするとそうした「実践知」という捉え方が、知識を単なる知識としてではなく、現実の問題に取り組む中で使おうとする姿勢は、当然1つの社会変革の力を持つので、ある意味既存の勢力とぶつかり合う革命思想としての意味をもつことによるのかもしれないと思うが、どうだろう?

ところで、ここに彼の言葉として、

『豈可持強凌弱、以富呑貧』=豈に強を恃みて弱を凌ぎ、富を以て貧を呑むべけんや。 という言葉があるらしい。これは「強い立場を頼みにして弱い立場の者に過酷にあたり、富裕であることによって貧者の財を併呑してよいものであろうか、という意味だが、この言葉の背景に当時、科挙に合格し官職につくと、規定の親等まで税やよう役の免除や刑罰の軽減などの特権が与えられていたことによる。この特権をしばしば悪用し利権化したことが背景にある。p266

この言葉、現代中国においても、最も必要とされている言葉であるような気がする。

<予告編>
いま読んでいる本に面白いことが書かれてあった。それは、中国のネット空間が2010年4月に規制を迂回して接続するユーザーが急増したことが注目されたが、実はそれには日本のAV女優、蒼井そらが関わっていたとか、つまり迂回のツールは政治的ツールとして使われる代わりにエロアクセスのツールになるだけだったということだ。

つまり、

憤青Fènqīngは粪青Fènqīngになっただけ。

   これこそ「愚民化」の代表例。
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