2017/6/30

フィードバック  教育

実質前期の授業が終了する。最後にアンケートを実施し、そのフィードバックを行った。



*****************************************


以下の項目について、自由記載でのコメントも含めてフィードバックします。
*数字は有効解答数

(2)達成度試験(中間テスト1、2)の成績公開について1つ選択
  @不要 13  A必要 43 Bどちらでもいい 28

(3)達成度試験に解答例公開について1つ選択
  @不要 3 A必要 75 Bどちらでもいい 5

教員の解答例が欲しいというコメントがありましたが、これまでの経験から解答例に挙がることで張り合いがでる学生さんが多いので今後も続けます。

試験後に自分の答案を確認に来た人は数名だけです。自分の間違い箇所を確認することは非常に重要です。また同じ間違いを繰り返すことになりますので是非確認しに来てください。また採点ミスを防ぐことにもなります。


(4)講義の量について1つ選択
  @多すぎる 11 A適当 73 B少なすぎる 0

(5)講義の範囲について1つ選択
  @多すぎる 4 A適当 78 B少なすぎる 2

これまでのアンケートで数年前から授業で扱う内容をかなり減らして講義しています。是非、余力のある人は講義で触れなかった部分(11)も自主的に学習してください。


(6)各ユニットにかける時間について1つ選択
  @時間が長すぎる 6 A適当 73 B時間が短すぎる 5

(7)資料集の判りやすさについて1つ選択
  @判りやすい 13 A普通 54 B判りにくい 17

資料集は教科書ではありません。授業を受けることを前提に準備したものです。自分一人で学習のためのテキストではありません。

教科書が欲しい人は、シラバスに参考書としてあげている「バイオテクノロジーテキストシリーズ 化学」IBS出版 などを入手して自主的に勉強してください。なおこの資料集は上記教科書を参考に作成しています。

授業を受けられなかった場合、授業は録画されているはずです。各自録画で授業を受けてください。

プリントの方が良いという意見もありましたが、以前はプリントを配布していました。ところが失くす人が非常に多かったので「要望」により現在の形にしています。


(8)講義のスピードについて1つ選択
  @早い 4 A適当 75 B遅い 5

(9)演習問題を解いたか、1つ選択
  @いつも解いた 31 A時々解いた 47 B全然解かなかった 6

演習問題は全員が解くことを前提に授業を進めています。今後の授業でも「演習問題」は必ず解いてください。

(10)発展問題(興味のある人のみコーナー)を解いたか、1つ選択
  @いつも解いた 7 A時々解いた 38 B全然解かなかった 39

発展問題はアドバンスな内容を含んでいますが、是非挑戦することを勧めます。こうした内容が本来の大学レベルの化学です。

(11)授業で扱わなかった資料集部分について、複数回答可
  @自分で勉強した 9 A全く学習していない 51 B不要  12  C授業でやってもらいたい 15

(10)と同様ですが、この部分はこれまでのアンケートに基づき数年前から省略した部分です。今後、復活することを含め検討します。

(12)web上の動画や資料を参考にしたか
  @いつも参考にした 4 Aたまに参考にした 53 B見ていない 27

動画や資料は自宅学習のために準備したものです。個人のレベルに応じて閲覧不要な人もいるでしょうし、数回閲覧してようやく理解できるひともいるはずです。本来の役割は自宅での復習用に準備されたものです。

Youtubeの動画はこの数年非常に充実して大学受験レベルから大学レベルまで様々なコンテンツが日本語で準備されるようになりました。5年ほど前には日本語のコンテンツはほとんど存在しませんでした。その意味では非常に今は恵まれた状況です。またリンクがあるのでさらにアドバンスな内容にも進むことが可能です。


(13)1日のスマホ(携帯)使用時間
  @使用していない 2 A1時間以下 18 B3時間以下  47 Cそれ以上 15

SNSに対する私の警告に対し批判的意見がありましたが、SNSの情報共有手段としての機能の優位性は確かに認めますが、「創造的活動」には阻害作用があることはアメリカなどでの大規模研究によって実証済みです。コミュニケーションを優先するか、知的活動を優先するかは皆さんの選択ですが、先輩としてのアドバイスは、

 『孤独であることを恐れるな』 という一言です。 真に創造的行為は孤独の中でしか生まれません。



<その他>
文章形式の答案はまさしく皆さんの頭脳から生産されるものです。教員の模範解答をコピーしたりキーワードを憶えたりするのでは意味がありません。教員から流れる言葉を自分の言葉に書き直すプロセスは非常に高度な知的プロセスです。是非そのことを理解してもらいたいです。

言語学者でイスラーム学者でもある井筒俊彦氏の著作、「意識と本質」という本をお勧めします。同氏は 『言語化が認識のはじまり』 だと述べられています。 

また脳科学者の養老孟司氏も、

『ものを言語化するのがそもそも最初の行為で、伝達(ミュニケーション)はその次ぎ』 だと述べられ、『現代では言語をコミュニケーションの手段としてだけ捉えることで軽くなり、言語化されていないものを言語化する作業を忘れてしまった』 と指摘されています。


最後に、

大学は自分で勉強する場所です。教室はその「きっかけ」つくりであるという基本を忘れないようにしてください。
0

2017/6/29

『泥の文明』2  お勧めの1冊

水曜朝の「私の視点」で新たな視点を頂いた。 

内容はあの「共謀罪」関連だが、あれがテロ等防止の国際協力を必要とする分野において法的整備上からも必要とされる点について議論されることが多いが、論者はむしろそれより大きな問題は、日本が先進国(OECD)では稀な死刑制度をもつ国という点だと。

つまりこそにおいて世界基準から離れているので、過酷な刑罰がある国(日本)への犯罪者の引渡しが拒否される現時点では、この点の方がむしろ国際協力上問題ではないかとの意見だった。

個人的には死刑廃止には反対だが、なるほどこうした面もあるのかと思った。因みに死刑制度があるのは米国、韓国と日本だが、米国では州によって廃止されている場合が多く、また韓国では事実上死刑は執行されていないとのこと。


選挙運動で「自衛隊を持ち出す」 稲田さん大丈夫か!? と思ったのは今回が最初ではない。
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/4676/trackback
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/4677/trackback
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/4778/trackback

自民党内部からも異論が出ているというが、最近の自民党は少し安部さんに遠慮しすぎる、
自民党大丈夫か? 




『泥の文明』2
例えばこのような文章がある。

『ムギ、トウモロコシは乾いた土地に生育するが、土中の水分を吸い上げてしまう。それ故、3年ほど連作をすると土中の塩分が地表に噴出するため、それ以上の連作が不可能になるのである。これに対して、イネそれも水稲の場合は、地表を流れる水を主養分とするので、何百年、何千年と連作が可能である…』p84

上の文章中、
<3年ほど連作をすると土中の塩分が地表に噴出するため、それ以上の連作が不可能になる> と、

<(水耕は)連作が可能である> 

の文章はそれなりに事実の一面を捉えている。しかし全体としてこの文章はミスリーディングである。乾燥地帯で灌漑用水を引き穀物を栽培すると土地が塩化することはよく知られた事実だが、それは乾燥地帯で穀物により大量の水分が吸収されると同時に、乾燥した大気中に水分が失われると、残された土中の塩分を残ることが塩害の原因である。
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/3666/trackback

また別にイネは「水」を養分にできるものではない。当然のことだが、水分中に溶けた「養分」をイネは吸収している。こうした極めて基本的知識の欠如あるいは無視=ミスリーディングは非常に気になる。また別のところでは、

『「泥の文化」の一方の極がコメつくりであり、他方の極が陶器つくりである。このことは、結局のところ、日本にもの造りの文化を生み出し…』 

という文章があるが、これなどは根拠のない「なんでもあり」の仮説の1つに過ぎない。p95

ところが最後の方では、

『「泥の文明」のうえに成り立ってきた日本の「もの作り」の文化がグローバリゼイションの中で忘れられはじめている』といつの間にか既定の事実となり。p229 さらには、

『「泥の文明」の中で「一所懸命」に「モノづくり」をしてきた特性を持つ日本が、そのみずからの本質を忘れて…』 p232 と提言までひねりだす。

最初は仮説の1つだったものがいつの間にか既定の事実となり、さらには提言まで言い出す、暴論の一例だろう。
1

2017/6/28

『泥の文明』  お勧めの1冊

『泥の文明』
松本健一著、新潮選書、2006年初版。
著者は世界の文明を「砂の文明、石の文明、泥の文明」に分ける。そして、ヨーロッパの文明を「石の文明」と分類するが、それでも東欧、南欧には黒く厚い表土があり西欧や地中海のそれとは若干異なることを冒頭で述べるが、それ以上の言及はない。p33 そして「泥の文明」であるアジアを「停滞」とする西洋史観に対し判断基準がまちがっていると指摘する。そしてその理由の1つとして、戦後のアジアの経済力の伸びをあげる。p44 さらに著者は和辻哲郎が風土として「砂漠、牧場、モンスーン」をあげて分類したことと対比させ議論を進める。p49

著者の松本健一氏は東大の経済を卒業後、1年あまりのサラリーマン生活をした後、退社し、法政大学大学院で近代日本文学を専攻。在野の評論家、歴史家として活躍されている。83年以降は中国・日本語研修センター教授をはじめアカデミックの世界に入られ2014年に亡くなられたようだ。作家としてのキャリアが長い。

なるほど作風は文学的で様々な比喩や隠喩を使い、時には戦国時代に日本の風景が「泥沼」から「野」に変貌していることを表現している連歌を挙げて p77 文明論を語られる。 確かにその文体には成る程と感じさせるものがあるが、しかし自然科学のトレーニングを積んだ者にはどうしても「物足りなさ」を感じる。それは「思う」という表現が多く、しかも極めて重要な概念の部分でこれを使われる点にフラストレイションが溜まる。 例えば水田が日本全土で広まったのは江戸時代以降ということを取りあげ(それはまさにその通りだが) <江戸時代以前には河川の水は濁っていた> という下りである。これは著者が中国の長江の泥川との比較で述べられているところだが、本当だろうか? p72〜3

事実であればそれを他の史料で検証することは可能だと思うが、あくまでも推測の域を出ない。しかもそれが後の重要な論証につながるので容易には受け入れられない部分でもある。同氏は水田が泥を沈殿させ、それゆえ江戸以降の日本の河川の水が(和辻が指摘したように)綺麗だと言いたいのだろうが、少し無理がある。だいたい長江下流域でも昔から水耕は行われていた、否、日本以上に河姆渡遺跡を挙げるまでもなく大昔から水耕稲作は行われていたではないか。
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/3151/trackback

しかも囲田が長江下流域には昔から発達しているので、これが同氏の論理だと効果的に泥を沈殿させるはずだが、実際にはこの春秋戦国時代はじまり、秦漢時代に広がり宋に至って大規模に行われたらしい囲田、玗田は長江の濁りを少しも改善していない。
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/3648/trackback
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/3058/trackback

それどころか、実際には、和辻が「風土」で指摘するように長江の水はとてつもなく濁っている。それが海に大量に流れ出す様子は私も身近で観察したが、実にそれまでの想像を超えるものだった。
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/2463/trackback
1

2017/6/27

『海を渡った人類の遥かな歴史』6  お勧めの1冊

『海を渡った人類の遥かな歴史』6
1939年にイングランド東部のサットン・フーで船葬墓が発見される。この棺となった船は全長が27メートルもあり7世紀頃のものと考えられ、断崖上にあったとか。p253 同じようなものが長江中流域でも発見されている。しかしその年代はこれよりはるかに遡る。
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/3159/trackback

また日本でも、寛仁さま葬儀の際には「御舟入(おふないり)」の儀式が執り行われた。
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/2808/trackback

この遺跡はその後,1983年から2001年にかけて9年がかりの最先端の発掘調査で全貌が明らかにされつつある。

エピローグで著者はフェルナン・ブローデルが地中海を追い風に乗って素早く渡ることができると述べたという。p344 

これだ! 

長いこと追い風で地中海は簡単に渡られると誤解していた、ところが、先に述べたように、この本では「追い風」は岸壁に打ちつけられる危険に満ちていることを知った。むしろ横風を受けながら慎重に、遠回りしながら近づく方法をとることが多いらしいことを知った。これは意外だった。

東南アジアの海では5万年も前から外海の領域に人々は乗り出した。またインドとアフリカの間もそうだった。それは両方、「予測可能な規則正さで風が反転し目的地に着いても、着かなくても故郷に戻れる」ことを知っていたからだ。p347 
1

2017/6/26

『海を渡った人類の遥かな歴史』5  お勧めの1冊

<人工知能 天使か悪魔か2017> 
NHKの日曜夜の特番「人工知能 天使か悪魔か2017」
非常に面白いというか、怖い番組。プログラムを書いた人も膨大なデーターから人工知能が何故そのような結論を出したのか「ブラックボックス」になっていると言う。AIは理由を示さないということらしい。迷いや怖れも示さず判断する。

事例:
再犯予測システムを取り入れたカルフォルニアでは再犯率が低下している。
タクシーの配車システムでの効率が上昇している。
病院の受付の文章判断システムによる退職予測。

10年後に何か起こるか判らない時代に我々は生きていることを実感させる。



『海を渡った人類の遥かな歴史』5
7章はモンスーンの世界、インド洋と西アジアの交易の歴史。この海域はまさしくモンスーン地帯で11月から3月の北東の緩やかなモンスーン風、そして5月〜9月にかけての逆の南西からのモンスーンが帰路を約束する意味で重要。p161 ただし夏は強い風が吹くのでこの時期はダウ船(ブーム船)の多くは陸に上がっていたという。p163 

西アジアには造船に適した木材はない、それ故インド沿岸がその入手先。p168 しかしインド亜大陸は自給自足が可能な地だったので、この交易を行う要因はメソポタミアの方にあったと著者は言う。p169

これは実に重要な視点だと思う。そう考えると日本は海に囲まれ、海洋国日本という印象を持っていたが、基本的に日本は自給自足が可能な国、となると… 少し考えを変えなければならないかもしれない



まず10月以降の冬季、風が北から吹くのを待って航海はスタートする。そして最南端まできたら、今度は南西からのモンスーンを待って北上する。この繰り返しを行う。p172


10章は大西洋の話。この領域は他のどんな海より手強い、なぜなら沖に向かった冒険者を無事に故郷に連れ戻す予測可能な風向きの変化はなかったからだ。p222 

BC6〜3世紀も前に、ここでは縫い合わせた皮で作った船で人々は海を行き来していた。p238 その1つであるクラフ舟は20世紀まで使われていたらしい。p239 BC320頃、マルセイユの商人、ギリシャ人ピュテアスはシェトランド諸島までこの皮舟で、ことによるとアイルランドまでも行ったかもしれないとか。少なくとも当時アイスランド沖は現地の漁民にとっての最高のタラ漁の海域だったとか。p244 さらに後代、聖コロンバ(英国の3聖人の1人、聖コロンバスのことか?)も同様にこのクラフ舟で何度も海を渡ったとされる。p245
1

2017/6/25

ノート提出  教育

あのダメ記者は「新報道2001」の番組の最後に一言、
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/4943/trackback

『安部さんがやめたら、小池さん?』

ここまで、ヨイショするのか? 彼の今後に注目しよう。

追伸:私の意味するところはこれだ。

「…政界への回転ドアにつながっている …魅力的な転職先を提供…」

http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/4951/trackback

さてその予想はあたるだろうか? 




<ノート提出>
私は講義で毎回のノート提出を義務付けている。「大学にもなって」と驚かれるかもしれないが、入学させた以上、学生をしかるべきレベルまでには持って行く責任があると考えている。またクラス100人分のノートチェックは大変のようだが、大して時間はかからない。何よりノートをみればどれだけ学生が理解できたかが一目瞭然。さらに間違って覚えている点もわかり、後日訂正も可能になる。さらにノートチェックで物足らないなと感じた学生には次回に演習問題を解くことをメールで毎回指名する。そんなわけで大抵の学生は授業中に結構真面目にノートをとっている。翌日には学生に返せるように1日でチェックを済ませているが、翌日に持ち帰る学生は半分程度、後は次のクラスまで放置して、試験の直前にならないと自分のノートを回収しない学生が多いのは残念なことだ。

クリックすると元のサイズで表示します

中には私が授業中に「口走った」言葉を<冷やかし>のつもりかノートに書き付けている学生もいる。これはYoutubeの関連動画をリンクさせ、これをLINEやツイッターを見る暇があれば復習で見るようにいつも言っていることに対する冷やかしか(笑)

クリックすると元のサイズで表示します

『スマホ中毒で馬鹿になるか、利口になるかはあなた次第!』 というのは私の口癖。
1

2017/6/25

『海を渡った人類の遥かな歴史』4  お勧めの1冊

世の中には色々な読書法がある、それぞれの人の選択なのでそれはそれで構わないと思うのだが。わざわざ自分の考えとと正反対であることが判っている本を批判をするがために読み上げる人がいる。私ならば得るものがないと判断した段階で即、読むのを止めるだろうが、そういう人はそれが生きがいになっているようだ。 

人それぞれの価値観があるとは思うが、貴重な時間を無駄にしているようで「勿体無い」と感じてしまう。

私の場合の基本的スタンスは、

「自分と同じ考えの人の本は読まない」

「違う考えの人の本からは何か違った視点を獲得したい」

人生に与えられた時間は限られている、どれだけ本を読むかではなく、何を得られるかを大事にしたい



『海を渡った人類の遥かな歴史』4
帆走には丸木舟では無理で横幅のある船体が必要でBC3000より以前には存在しないらしい。p119 これは地中海での章で述べられたことで、他の海域ではどうだったのだろう? 特に南太平洋での相胴型カヌーの場合は??

以下は全て地中海(エーゲ海)での話であるが、カヌーで1日に進める距離は陸上輸送の記録と同程度(1日15〜20キロ)だったらしい。これは、この海域が意外にも強風や海流により難しい場所で最速では時速(7〜11キロ)は出せたが、風待ちや避難で安全な湾や沿岸で時間を潰せさなければならなかった。p120 従って1泊2日にまたがる50キロ以上の航海には受け入れがたい高いリスクが伴った。ただ、幸いなことにエーゲ海はほぼ1日20キロの航続距離で他の陸地への船旅が可能だったとか。p122

ポセイドン神殿のあるアッティカの先端、スニオン岬の南東にあるキクラデス諸島やさらに諸島の南に位置するミロス島は豊富な黒曜石があり、これはエーゲ海全域に交易されたらしい。p128 

ここで1つこれまで長く誤解していたことが判明する。地中海は内海なのでこれを渡るのは比較的簡単そうだと思っていたが、それはないらしい。特に帆船で風を背に受けての航海は沿岸に船が打ち上げられる危険性がありわざわざ遠回りしていくらしい。例えば冬季のミストラル、北風をうけての北アフリカの沿岸航行は危険で、まず夏に北に進み沖合まで出て反時計回りに南西に進み、スペイン東部まで進み、帰路は北アフリカ沿いに安全に沿岸を航行したとか。p153 

著者自身、ヨットでの経験が豊富なのでこうしたことについては極めて実際的な解釈をしている。
0

2017/6/24

From DL to UL &『海を渡った人類の遥かな歴史』3  お勧めの1冊


2005年2月にYoutubeは誕生したが、2016年第1四半期(1〜3月期)の時点で、YouTubeにはほぼ20億の動画がアップされているとか。
“We estimate that as of 1Q16 YouTube had between 1.83 and 2.15 billion videos (our best estimate is 2.0billion),,,”
http://www.barrons.com/articles/youtubes-2-billion-videos-197m-hours-make-it-an-immense-force-says-bernstein-1462978280

クリックすると元のサイズで表示します

今やDownload時代からUpload時代になった。教育やビジネスの方法すらも様変わりしたということだ。それに対応していかなければ生き残れない(断言)
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/4723/trackback

クリックすると元のサイズで表示します



『海を渡った人類の遥かな歴史』3
未知の海に乗り出すのは勇気のいることだ、彼らはまず北東の貿易風がやむ時期を利用して旅立ったという。p90 カヌーで補給を受けずに航海ができるのは20日ほどだという、p100 それならいずれやってくる北東風で「かならず安全に故郷に帰れる」と知りながら冒険に旅立てる。なるほどと納得する。

では、なぜ彼らは旅立ったのか? 1つの可能性として著者は彼らの社会の仕組み、血縁、年長序列を挙げる。これらの島々は極めて限られた資源しかない。その中で土地と相続から外れた人たちは新たな土地を求めて、子孫に土地を残せる場所を求めて冒険の旅に旅立ったのだろうか? p98

<データーベースとして>
貿易風を遮る島があると嵐雲が上昇し水平線上に雨雲が立ち上がるらしい。これが陸地の手がかりになる。p88
1

2017/6/23

『海を渡った人類の遥かな歴史』2  お勧めの1冊

『海を渡った人類の遥かな歴史』2
ラピタ人の例はその典型だろう。何百キロにもわたる広範な交易ネットワークを大昔に太平洋に構築し、p79 しかも一生に1回しか会わなくても大切な関係が保たれた場合すらあるという。その例に著者は「クラの輪」を挙げる。p80

マリノフスキが1914年に最初に研究したこの「クラの輪」はニューギニア北部および東部に点在する島々に住む共同体や個人を結ぶ交易ネットワークで2種類の儀礼的品、ヴァイグラを順繰りに受け渡す回路だとか。時計回りと反時計回りにその品物はいつまでも廻り続けるという。p80

ラピタ人の航海はBC1500頃にはじまり、BC800頃までにトンガとサモアに達した。p89 

クリックすると元のサイズで表示します


そこでしばらく途絶えたのち、そしてAD900年代末に突然再開し、AD1000頃にリモート・オセアニアのクック諸島とソシエテ諸島まで向かう。p83

クリックすると元のサイズで表示します

こうしたことを明らかにできたのは質量分析法で残された遺跡資料から年代測定を可能にしたことによる。1993年に147箇所。p91 さらに現代ではAMS(加速器質量分析)により微量なサンプルからも正確な年代測定が可能になり、45の島から得られた、1434 例の測定が明らかになっている。p92

追伸
なお質量分析法は色々な分野で一般的な技術になり、今では受託研究により低価格で外注が可能になった手法。下の例はこの方法をタンパクの同定に使った例。
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/4104/trackback
1

2017/6/22

『海を渡った人類の遥かな歴史』  お勧めの1冊

今日6/21は夏至。

帰宅中のラジオは中学生棋士連勝の話題。どうやら数十年ぶりの凄い棋士らしい。それと一緒に出た話で、最近AIが名人に連勝した話も。 昔、チェスでAIが勝利した時、将棋はもっと複雑なのでコンピュターが人間に勝つのはまだまだ先だと聞いたことがあるが、案外あっさりとコンピュターが人間に勝った。コメンテーターの名人棋士の話では、コンピュターは「恐怖心」がないので、定石とされるような勝ちパターンや守りに入ることなく果敢に「攻める」らしい。そして、それで勝てるというデーターが積み重ねるとそれを学習していくらしい。今ではそれが人にフィードバックされて人のさしかた自体現在変わりつつあるとも。AIに人が学ぶということらしい。成る程と納得した。


『海を渡った人類の遥かな歴史』
ブライアン・フェイガン著、河出書房新社。2013年初版。冒頭著者の個人的航海歴が語られる。歴史物語への重要な序曲となる。デンマークの海で目印になるものは教会の尖塔だったことが、古代の船乗りの物語に重なる。p28 古代のスカンジナビア人が羅針盤もなくアイスランドを目指し航海にでるなど現代人にとっては驚くべきことだが、彼らは5月になれば、東風が数週間もの間吹き、そしてその後にはまた西風が数週間吹き続けその風にのり故郷に戻ることを知っていたことが述べられる。p33 そして、

『未知の世界に乗り出すことは、慣れ親しんできた昔ながらの技能の論理的延長であった』

ことを著者は主張する。p35

最終氷河期には海面水位が今よりも90メートル低かったのでオーストラリアとニューギニアは陸続きであっただけでなく、大陸とバリ島、ジャワ島まで陸続きで、p46 東南アジアにいた漁労民による意図的な海の旅が始まったとする。p43

ここでニューギニアの東北海域、ビスマルク諸島を舞台として2万年前から黒曜石を交易に使っていたという驚くべき事実が語られる。これにはSPring 8のような分析機器が使われたようだ。p64 その航海者たちはまだ農耕を知らなかったが、
http://www.spring8.or.jp/ja/

さらにその後、大航海の主役が登場する。BC1600年頃、タロイモやヤムイモ、p66 そして鶏や犬、豚を携えた農耕民がラピタ人と今日呼ばれる人たちだ。p69 一説には台湾から広がったオーストロネシア語族と呼ばれる人たちだある。このことについてはダイヤモンド氏の本の中でも記載があった。ダイヤモンド氏の『銃・病原菌・鉄』によれば彼らはBC3500年位前に台湾から東に広がり、AD500 年頃には、イースター島まで広まったとされる。
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/3255/trackback
1



teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ