2017/7/31

『泰山』3  お勧めの1冊

このところ、『海賊と商人の地中海』という本を読んでいる。これは「気分転換」に読み始めたものだが、実際に読みだすととても気分転換にはならない、またしても頭がパンパンになるような内容のもの。しかも著者には現代の海洋をめぐる問題意識があることが段々わかってきた。あからさまではないが、冒頭の「日本語版によせて」の部分にそれが現れている。著者は以下のように述べる、

『近世の国際海事法の発展の中に、地中海という舞台も付け加えることを試みたのです』iv

また本文中にも、『1603年にポルトガルのカラック商船サンタ・カタリナ号がシンガポール沖でオランダの司令官ヤコブ・ヘームスケルクの船に襲撃された事件をきっかけとして、フーゴ・グロティウスが有名な「自由海洋論」を書き』p092

この本が現代の南シナ海をめぐる米軍の「航行の自由作戦」とも無関係ではないと感じるところがある。もともと歴史学というのは現代と無関係ではないわけで、過去を学んでいるようで実は現代を意識している、この二重性というのが難しいところ。


『泰山』3
泰山の歴史的変遷を著者はこの本の最後にまとめて以下のように記す。

始めは一地方のみに影響を及ぼす存在であった… 後漢の初め頃、新たな役割が加わる。それが人の生死を記録する「気難しい役人」となった。しかしこの時点では寿命の選定を行うだけで「道徳上の問題は預かり知らぬことであった。しかし続いて、仏教の影響を受けて泰山の神は恐るべき裁判官に変貌する。善行や悪行を加えたり、削ったりする役目が加わった。さらに泰山の娘への信仰が加わり子宝や健康を人々は祈った。こうして最後に男神に女神が加わることで泰山の信仰はその発展をおえたのである。p112〜114

以上、この本は第一章で泰山の信仰を、そして第三章で民俗を述べてその歴史的変遷を述べているが中間の第二章では、ここで触れなかったが泰山の252に上る多くの史跡の解説がある。幾つかは単に名称を記載するだけの簡単なものも多いが冒頭の地図にその一が記載されていて、ちょっとしたガイドブックとなっている。多くの清末時代のモノクロ写真と詳細な史跡の地図がこの本を貴重な記録としている。それらの史跡は翻訳者によれば清末から辛亥革命時代の混乱、そしてそれにトドメをさすように決定的な被害をもたらした文革により多くのものが永遠に失われたようである。

ただ1つ残念だったのは、その手書きの地図がとても縮小されて印刷され、何しろ、1ページに252もの史跡が載せられているので見るのはとても大変だったこと。

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今の時代なら訳者のHPとかに図版を載せるとかできないものだろうか? 1世紀以上前の本だし、著作権も切れているだろうし、、、
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2017/7/30

『泰山』2  お勧めの1冊

本当にあの記者はダメだな。

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日曜の『新報道2001』で稲田さんに「暖かい目で」などと馬鹿げたことを口走る。 北が着々核攻撃力をつけているまさにこの時に?

防衛大臣の任に当たるものに「暖かい」だと!? 

バカじゃないか!! 
 

だんだん腹が立ってきた! そんなに安部さんに遠慮する「何か理由があるのか?」と疑ってしまうが、いずれ分かるだろう。
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<日経web版を読む>
中国AI、米に肉薄の記事。

深層学習の論文数で米国を抜いて1位、AIの特許数では2位で8,000件を超え、伸び率はずば抜けている。またデータ数で圧倒的に優位なことはデープラーニングにも有利。
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO19311090X20C17A7000000/

*AIの特許数は、中国が5年前の3,000件(2005~09年)から8,000件(2010~2014年)と伸びているのに対し、日本は4位(2,000件程度)でほとんど5年前から数において伸びていない。

この記事の中に、モバイル決済のアリペイや配車アプリ、滴滴出行が、新しい顧客の身元を顔認識ソフトで認識していることが書かれていた。

そう、誰でも知らない人を車に乗せたくないし、信用のない人はこうしたシェアリングから排除されるわけだ。
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ぬるま湯の中で「日本は凄い」とか言って自己満足の世界に浸っているうちに、日本は後進国になりつつあるのかもしれない。


『泰山』2
泰山は東嶽、東を司る。後漢の頃から死者の魂が泰山に戻るという信仰が広まる。著者が見た当時の泰山にはさらに75の小祠があったが、それは今ないらしい。この小祠には地獄の裁判が描かれていたが著者によればこれは7〜8世紀に仏教が道教に及ぼした影響によるとか。p17 さらに当時、民衆を引きつけていたものに、女神たちがある。夜明けの空の女神とその脇を眼病の女神、それに子宝の女神の三体だ。p29

まさに西欧におけるマリア信仰と同様な信仰形態がここでも散見される。 
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泰山は泰安府の北と書かれている。p10 以前Google mapで調べた時もそうだったので先の本の記載は間違いであることが確認出来た。また社首も高里もここで確認でき。高里=篙里=死霊の国(墓地)もその泰山の麓で城壁に囲まれていることが確認できた。p13、p62 やはり、あの本は色々問題のあるように感じたが、正確さの上でも当てにならぬ本だったのかもしれない。
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泰山が人の死を司ることを記した最古の文献は前漢末に認められるらしい。p96 そして「泰山に行く」とは婉曲的に「死ぬ」ことを意味するとか。p97

沢山の清末の建物や石碑の写真が載せてあるが、それらには大抵人物(中国人)を横に配置して撮されているおそらく尺度の代わりだと思われる。その中でも図36には髭を生やした明らかに西洋人が認められる。これが著者なのか、同行したロシア人、ヴァシリー・アリェクセイェフなのかもしれない。p77

<データーベースとして>
「礼記」に泰山の麓で虎に人が食われる逸話が載っているらしい。もしこれが事実ならば、かつてこの地には虎が生息してことになる。p41
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2017/7/29

『泰山』  お勧めの1冊

『泰山』
アシアーナ叢書001。シャヴァンヌ著、勉誠出版。2001年初版。

また、『ブロックチェーン革命』を読むうちに頭がパンパンになったので、しばらく休憩?の為に全く異なる分野の本を読み始める。それがこの本「泰山」である。フランス人による同時代の泰山研究の書。原著は1910年にパリで刊行されたという。p159 

著者は1907年にフランス文部省、金石文芸アカデミー、国立極東学院から援助を受け調査旅行を行い、拓本や、転写、さらに1,800点にもおよぶ写真を採取し、その一部はこの本の中にも多数載せられている。p163

この本の訳者によればその後、1941年に日本人研究者が泰山を訪れた時には多くのものが清朝末及び日中戦争の混乱により失われたという。p160 もちろんその後の、文化大革命はさらに最後のトドメをさしたに違いない。その意味でも掲載されている写真を観るだけでも興味深いものがある。

冒頭、泰山信仰を物語るものとして、明代、景帝が残した言葉を挙げている。

『諸々の災害が起きたのが、私の過失によるならば、その責任を否みはしません。しかし災いを転じて福となすことは、泰山の神よ、それはあなたさまがなされることです…』p14 

ここに民間信仰としての本髄が現れていると思う。古来中国では神と皇帝は共に天命を受けた存在と考えられていた。最高の存在である天帝はあまりにも高き存在であり、人間が直接語りかけることは憚られた。そこでより身近な存在である神(泰山の神)に皇帝は天帝へのとりなしを依頼したということだろう。著者によればこうした「とりなし」の存在としての様々な神は中国の他の聖山にも共通するものだという。p16

不思議なことに著者はこれについてそれ以上ここで言及していないが、全く同じ構造がカソリックにも、特に「聖人信仰」に認められる。著者がフランス人であればなおさらのこと、その点については意識していたはずだ
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時として西欧中世では、過激な行動さえ観察された。聖人の「とりなし」がうまくいかないと人々は聖者を『聖人を辱める儀式』として聖人をひどい目にさえ遭わせた
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また同じ構造は、イスラームの聖人信仰にも認められる。
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2017/7/28

『ブロックチェーン革命』4  お勧めの1冊

示しあわせたように、稲田氏と蓮舫氏の辞任。自民も民進も次の選挙では勝てないと判断した途端、これまで不満を抑えていた反主流派からの突き上げが起こった故か?


質量分析を外注する。昔は共同研究だったものが、今では外注で済ます時代。

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今度で2回目。前回は偽物だったが、今回は如何?!

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『ブロックチェーン革命』4
ブロックチェーンは1)安価に、かつほぼ2)瞬時に取引が成立する。

1) 安価であればマイクロペイメントに最適。国際送金がほぼタダ。p160 これまでは銀行がセキュリティーを保つ為に多額のコストと人員をかけていたのがなくなる。インターネット決済や電子マネーはクレジットカードシステムの上に構築されているので送金手数料引き下げ(4%)には限界がある。p161

2) 瞬時であればカウンターパリティーリスクがなくなる。すなわち決済が終了する前に相手方が倒産して契約不履行になることがない。契約成立にかかる時間はBitcoinで10分、ライトニングネットならほぼミリ秒。p165

<データーベースとして>
Fintechへの投資はアメリカの0.5%、イギリスの10%、中国の3%、インドの4%。p152



<最後に感想を1事>
イタリアの財政は日本と同様破綻寸前だが、人々の生活はそれを感じさせない。それはなぜか? テレビの中だけの御伽噺と言われればそうかもしれないが、何かがあるようにいつも思う。もし秘密があるとするならば、それはGDPに計上されない「お金」あるいは「物資」が庶民の間で回っているからではないか? 里山的なシェアリングビジネスと自給生活にその鍵があるのでは? でなければ財政破綻国家でなぜ、人々は豊かに過ごしているように見えるのだろう? 
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そうしたことを考えるにつけ、先日話題にした「微信红包」はそのヒントになりそうな気がしている。
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2017/7/27

たかがペット、されど & 健康寿命vs平均寿命 &『ブロックチェーン革命』3  お勧めの1冊

<たかがペット、されど>
ちょっと胸が締め付けられるような、ペットとはいえ家族だからね。
http://blog.goo.ne.jp/kuru0214/1


<健康寿命vs平均寿命>
試験のため、いつもは使わない教室で試験監督を行う。時間待ちの間、学生がおき忘れたレジメを読む。中に寿命や加齢について書かれていた。曰く、

男性:健康寿命=71.19歳、平均寿命=80.79歳
女性:健康寿命=74.21歳、平均寿命=87.05歳 (厚生労働省、2016.7.27発表)

健康寿命とは“日常的に介護を必要としないで、自立した生活ができる生存期間のこと”だそうだ。

また介護が必要になる主な原因は要介護支援1〜5まで割合に増減があるが、介護度が上がるに従い、脳血管障害と認知症の割合が増え、要介護支援5ではこの2つでほぼ6割を占める。

なお介護度1では骨折・転倒が2割以上だが、介護度が上がるにつけ急減する。これは自由に自分で動けなくなるから当然だろうが、こうした骨折・転倒が悪循環を引き起こすことから健康悪化の「きっかけ」として注意しないといけないらしい。



…平均健康寿命から考えると、あと残り6年? 1日平均で階段6階、歩数7,365歩、ウォーキング4.5kmとiPhoneのアプリ、ヘルスケアーは記録している。我ながら仕事だけでそれなりに動いているなと感じているが、この生活が、数年後には無くなってしまうとは想像しにくい。しかしこれもちょっとした事故で骨折、転倒を起こすとありえるらしい。注意しなければ!

問題は健康寿命からの残りの10年だな!(女性はこれから見るに13年と少し長め) それと今の時代、定年は70歳でもOKだということ。



『ブロックチェーン革命』3
住信SBIネット銀行が2015年にブロックチェーンを使った振り込み、入金等の実証実験を行い成功したと報告したが、p93 このとき使われたのは6台のコンピューターでPeer to peerを構築しただけだと。p103 Bitcoinでは7000~10,000台が使われるのに対し以下にプライベイトとはいえ少ないというのが著者の見解。これだと全てのノード(コンピューター)が結託して不正をなす可能性がないとはいえない。標準的な環境ではノード数は15、「完全に分散化」では50社で200のノードとされるとか。p104

なお、プライベイトの他にコンソーシアム形式もあり、これは複数企業によるP2Pへは許可制でPoWなしのシステムだとか。いずれにせよ著者によれば、プライベイト方式は単なる分散型データーベースと変わらず攻撃には強いし、コストも安いが「管理者不在で書き換え不可」という最重要な特性は犠牲にされるとか。p107

中央銀行がこのシステムを導入する可能性がある。事実イングランド、カナダ、オランダ、ロシア、中国で検討や実証実験が始まっているが、日本はまだ遅れている。p112 また証券業界でもNASDAQが2015年に実証実験を成功させたとか。p113

いつも思うがこうした面で日本は遅れている。膨大なコストをかけて、すでにある程度確実なシステムが構築され、それなりの信頼を得ている分野ではこうしたリスクを伴う新規分野に1歩を踏み出すことが難しいのだろう。有線電話からモバイルへの転換が、インフラがなかった中国やアフリカで急速に広がったのもそれが理由だと思う。ある意味よく理解できるが、残念なことだ。

今個人的に最も注目しているのは「微信红包」だ、これは2015年にテンセントがスタートしたP2P個人送金サービス。p134 日本は一切こうしたサービスはスタートしていない。これが可能になるとスモールビジネスがあちこちで可能になり課税対象から外れるところでGNPが生まれるのを嫌っているのだろうか? もしそうなら、いかにも中国政府が嫌いそうなことだが、なぜ許しているのだろう?? 何か間違って理解している可能性もあるが、、、??

分散投資の場合、同じ業種のパッケージの場合は個別のリスクには対応できても、市場条件の変動に起因するリスクには分散にならない。p139 高度成長期の日本では家計が資金過剰部門で、企業が不足部門だったので、銀行が預金を集め、それを企業に貸した。しかし現在では政府と家計が資金不足部門になり、企業が資金過剰部門というふうに逆転した。これに現在の金融構造は対応できていない。p142

UberやAirbnb(Air bed and breakfast)は利用者によるサービス評価とフィードバックがスマートフォンで効果的に行われる。それゆえ借り手と貸し手の結びつける機能として最高の場だった。p146
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2017/7/26

『ブロックチェーン革命』2  お勧めの1冊

<地震と火山>
たまに同窓会誌が送られてくる。目的は同窓会費の請求だが、30年以上前の「退学」なのに今でもこうして追いかけてくる。「退学」というのは体裁が悪いが、当時は博士課程終了後に学位がなければ「退学」。理学部では多くの学生がそうだった。

何の気なしに会報を読んでいたら、そこに地球物理の研究者の方が書かれた「内陸地震が起こりやすい場所は何処か?」という記事が目に付いた。それによれば、「電気を通しやすい地下構造の場所を避けて地震は発生するらしい」という事実があるそうだ*。電気を通しやすいというのは「高温の柔らかい」領域で阿蘇山や九重山の地下がそうだとのこと。

そこから、先の熊本地震の破壊力がこれらの火山の地下構造で部分的に弱められた印象があるとのこと。もし、この領域が無かったら熊本から大分まで一気に破壊するようなマグネチュード8クラスの巨大地震が起こっていたかもしれないとその方は述べられていた。

熊本出身の者としては大地震が起こったこと自体がショックだったが、その後、阿蘇山という活火山があることで、地震に起動されて大爆発が起こるなどという噂もかなり流れて心配した。ところがこの方の仮説に従えば阿蘇山の存在が大地震を抑えてくれたという逆の話になる。同じ地続きの中で起こった地震と噴火、相互に全く影響がないとは言えないだろうというのが常識的な感覚だが、それが悪い方なのか良い方なのかはまだわからないということだろう。

* 低温の硬い領域で「部分的に薄くなっている」場所で応力を支えきれなくなって地震が起こるとする考え方。



『ブロックチェーン革命』2
2013年秋にキプロスでBitcoinへの資本逃避が生じ、2014年の1月に人民元からのBitcoin逃避が大々的に始まり、この時点で中国政府は中国の銀行がBitcoinの取引に関与することを禁止しBitcoinは暴落した。さらにその直後の2月、日本で取引所であるマウントゴックスが破綻した。この一連の動きで少なくとも日本ではBitcoinの評価は地に落ちた。しかし著者はいう、

『泥棒の基本法則=価値のないものを泥棒は盗まない』 と。p5 
著者によればBitcoinは現在動いている仮想通貨の中では最大だが2016年11/26時点で時価総額は1兆円程度。三菱自動車の規模と同じだ。しかし、Bitcoin(117億ドル)のブロックチェーンの弱点を克服し、機能拡張したシステムをもつEthereum(7億ドル)やRipple(2億ドル程度)という仮想通貨が後を追っているらしい。規模としてはまだまだ小さいが頭の片隅に入れておいた方が良さそうだ。ちなみにWikiで色々別個に調べてみたらRippleは中央管理型らしい。

先に見てきたようにBitcoinは価格変動が大きい、それゆえ投機に使われることが多いし、この価格変動を嫌う人はドルに変換保管する人もいる。iPhone7の基本ソフトiOS10ではiMessage内でのBitcoin決算が可能になるらしいが、今の時点での日本での利用は未定らしい。p76 いずれにせよ手持ちのiPhoneのOSはiOS10.2なので可能みたいだ(現在iOS10.3.2にupdate可能)
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2017/7/25

『ブロックチェーン革命』  お勧めの1冊

『ブロックチェーン革命』
野口悠紀雄著、日本経済新聞出版、2017年初版。出たばかりの本である、こうした本が図書館で借りられるのは、素晴らしいことだ。パラパラと「はじめに」のところを読んだだけで、重要性に気がついた、そして驚いた。それは今年はじめて自分自身経験し、ショックを受けたシェアリングエコノミーとフィッテックの融合というニューエコノミーからさらに格段に進化した革命が起こりつつあることが書かれてあったからだ。
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この新手のビジネスもこれまでの「集中型電子マネーシステム」の分化に過ぎない、本当の革命は「ブロックチェーン」と呼ばれる新たな分散型自律システムが社会を変革するという。集中型電子マネーシステムは中央に「信頼出来るコア」が必要だ。ところがこの集中型はコストがかかるだけでなく、その中央がターゲットになると一瞬に崩壊するリスクがある。ところが、分散型は同時に多数のノードが(ビッドコインの場合は1万台)同時にクラッシュしない限り崩れない。強固なシステムである。しかも1箇所に信頼を求めるのではなく、Trustless trust system=個人や組織を信頼しなくても取引ができるシステム」というもの。p21

そこで使われるのが「ハッシュ関数」という道具らしい。これは素因数分解で例えるとわかり易い。つまり「ある大きな数字を素因数分解した複数の素数を示されれば、元の数字は簡単に解る、

例: 31, 17, 5, 7,ならば → 31 x 17 x 5 x 7 = 18,445と簡単に計算し求められる。しかし逆だと、大きな数を逆に素因数分解するのは大変だ。このように、「ある方向に計算するのは簡単だが、逆方向に計算するのは著しく難しい関数を「一方向関数」というらしいがこれを使うらしい。p49

この作業を各コンピューターがマイニングし、正しい数字を見つけたコンピューターは報酬としてBitcoinを貰え、これを次のコンピューターに送りそれが公開される仕組みらしい。現実的に一方向の進行で事実的に書き換えができない仕組み。つまり、

「ほとんど不可能な不正行為に多大のコストをかけて挑戦するよりも、正当な手段でマイニングして報酬を貰った方が合理的というもの」

このシステムは、信頼に基づいて構築されたシステムではないが、不正をすると損になるシステムとうことらしい。p52

これはセキュリティー構築にかけるコストを劇的に軽減できる(1/4程度)金融以外でも、否、シェアリングビジネスなど小規模なビジネスで導入が可能になることらしい。p59
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2017/7/24

『日本はなぜ貧しい人が多いのか』10  お勧めの1冊


『ブロックチェーン革命』を読み上げ、気分をガラリと代えて、次なるテーマは「地中海史」にターゲットを絞る。時々そうしないと、それでなくても老化で理解力が低下しつつある脳がオーバーヒートしてしまう(涙)。

さて本の題名は『海賊と商人の地中海』、内容は近中世史のギリシャ商人とマルタ騎士団(海賊)との法廷闘争史である。

15世紀末までにオスマントルコが東地中海の制海権を獲得し、正教徒であるギリシャ商人はそれまでのベネチア商人やジェノバ商人に代わりオスマン帝国の臣民としてこの海の交易を司った。それに対しマルタ騎士団の海賊騎士は「聖戦」の立場からギリシャ商船を略奪したが、ここにおいて深刻な矛盾が生じた。すなわち同じく「キリスト教徒であるギリシャ商船を略奪することが合法であるか如何か」である。p267 被害者であるギリシャ商人も黙ってはおらず、騎士団の本拠地マルタに乗り込み法廷闘争を広げたという(私にとって)思いもよらぬことをしていたという事実だ。宗教が絡むと法廷闘争など無理に違いないとの先入観があったので、そうした法廷が開かれること自体驚きだった。

以前、塩野七生氏がイスラーム教徒を海賊だと表現していたが、同じことをキリスト教徒もやってきたわけで「イスラーム教徒だけを取り上げるのは片手落ちというよりも偏見に満ちた言説というほかない」と述べていたが、まさにこの本の中にそのキリスト教徒が「聖戦」の名の下に海賊行為をやっていたことが法廷闘争の形で残されている。ま、女史の場合は歴史家ではなく小説家なので仕方のないことかもしれないが、、
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さて、これからどのような話が展開されるのか、楽しみだ。


『日本はなぜ貧しい人が多いのか』10
「物価決定のメカニズムをめぐる2説」は勉強になった。しかしそこから出る提言には必ずしも賛成できない。それをまず明らかにしたところで、以下に紹介したい。

貨幣数量説というのが1つ。もう1つの説は構造説。p218 これを解くのに著者は19世紀のデフレを参考にどちらがそれぞれの説に合致するかを議論する。表2で物価の変化率と、マネーベースの変化率、実質GNPの変化率を並べて、これを欧米5か国の、1850〜73年、1873〜96年、96〜1913年の3期に分けて説明出来るかどうかを比較する。p221 そうすると、例えば米国では1850〜73年では物価の変化率=1.6%の時、マネーベース=6%vs GNP=3.7%。1873〜96年では物価の変化率=-1.6%の時、マネーベース=2%vs GNP=4.5%というように、マネーベースがGNPより大きい時、物価が上昇し、逆にマネーベースがGNPより小さい時、物価が低下する結果となっている。同様な結果は5か国で3期(内イタリアの1850〜73年のデーターなし)5x 3 – 1 = 14ケースのうち12ケースで合う。イギリスの2期では逆になっているが、その理由については何も語っていない。

そうして考えると確かに貨幣数量説に合理性があると著者は主張する。ではなぜ、マネーはこの時期伸びなかったのか? それについて、当時は金本位制で勝手にマネーサプライを上昇できなかった背景があると著者はいう。p222 さらに著者はデフレが終わればインフレが起きるとの心配については「杞憂に過ぎない」なぜならそのようなことは起こっていないからという。

まず前半部分の解析は流石である。十分納得出来る説明だ。さて問題は後半部分のインフレの心配についてだが、これは現代と当時の世界経済の仕組みが同じならそのようなことが言えるかもしれないが、どうだろう? もう少し慎重の方がいいような気がする。

今は19世紀と異なり、世界の裏側で起こったことが瞬時に伝わり、世界中が密接に連関している時代。過去の経験が通用する時代ではないように感じる。大規模な変化が起こる歴史的瞬間には経験則は役に立たない場合が多い。
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11章で「所得の低い地方の公務員は高給(=公務員と民間の賃金差)」であることを実際の数字で示す。(ただし東京だけは傾向線から逸脱している)p273

その上で、それが何故、生じるかを議論する。著者の結論は公務員の相対的賃金が高ければ、人材がビジネスに集まらないという。その例に中国の科挙制度を挙げ、共産中国になっても官僚に優秀な人材が集まったため同じことが起こったが、改革開放以降、ビジネスや技術開発に人材が集まり発展を始めたという。成る程と感じる。p274
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2017/7/23

『日本はなぜ貧しい人が多いのか』9  お勧めの1冊

昨日のblogで、不動産は異常に生産性が高い業種だと述べた。今読んでいる『ブロックチェーン革命』という野口氏の著書で、まさにこの点についてブロックチェーンが使われることで、こうした高付加価値(私に言わせれば岩盤規制で守られている業種だが)の仕事をする人がブロックチェーンで代替され(中抜き現象が起こり)彼らを失業させるディスラプター(破壊的革新者)になるだろうという。p279 

それはそうだろう、個人的には大歓迎だ。


『日本はなぜ貧しい人が多いのか』9
「人口移動の停滞が成長屈折をもたらした」の章で実質GDPと人口移動数を対前年度比で比較した図をみると、両者は実によく連動している。そして70年代以降「国土の均衡ある発展」政策で公共事業が地方に投下され、人々が効率の高い産業(賃金の高い業種)を求めて都市に移動するのではなく、効率の低い産業の元でも暮らせるようになったことが成長率低下の原因であるとの結論を出している論文を紹介する。これについて著者は「真実の探求はまだ始まったばかりだが」と言いつつも肯定的な余韻を残している。p214 

しかし私としては、これは「原因」と「結果」の関係にあるのか、逆に「結果」の「原因」なのか。 そもそも、平行現象に過ぎないのかすらも分からないと考える。しかしこの理論が正しければ、中国の経済成長の原因に農村部から都市部への人口の移動が経済成長を支えてたということになる。所謂、ルイスポイントとも関連する。

関志雄氏によれば中国は2011年頃にルイス・ポイントに達したとされる。それならば、それ以降中国の成長に陰りが出るのは当然ということになる。これについては多くの人が述べている。問題はそれが全てを説明できるか?という点だ。
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ただこうした人口論は現在の経済動向だけでなく、歴史上の大きな転換期も説明できるものとしてこれまでToddなども指摘していた。(私の理解という点で)以前との違いは人口の「移動」という因子を考えに入れていなかった点である。すなわち、同じ人口でも「移動」できれば経済成長できるし、出来なければ成長はないということになる。さらに極端なことを言えば人口減少でも人々が生産性の高い産業に移動できれば経済は成長できるというものである。そしてそれを可能にできるかどうかは「生涯教育」にかかっていて、その基盤として人々が「アクティブラーニング=能動的学習」ができるかどうかにある。
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アクティブ・ラーニングは簡単ではない。学生ですら大変であることは痛感しているが、さらに中年や老人になっても新たな技能を身につけなければならないということだ。特に今は十年後にいま自分のやっている仕事が無くなる可能性が高い時代、これができるかどうかが国の命運を決めるだろう。
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2017/7/22

『日本はなぜ貧しい人が多いのか』8  お勧めの1冊

金曜の朝、杭州市内ですごい事故が起こったみたいだ。
http://url.cn/4CEWLDQ

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<シェアリング・エコノミーが岩盤規制を壊す?>
前日のblogで、

『見かけ上生産性の高い業種の中には余剰労働力が簡単に参入できない障壁があるわけで、電気、ガスなどの公共事業の代金が高く設定させているのと同じようなこと。これをどうにかする知恵が必要かもしれない』 と述べた。

これに対し、電気については障壁の低減が進みつつある。すなわち、それが「発送電分離と電力自由化」。 

さて、不動産についてはどうだろう? この見かけの生産性の高さは障壁の高さに他ならないと考える、これこそ岩盤規制なのだ。そして、このところ機会あるごとに述べてきたシェアリング・エコノミーがこの障壁を壊すかもしれない。日本の場合、住宅の13.5%が空き家云われるほど住宅は過剰にある。
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これがP2P(Peer to Peer = person to person)で必要に応じ、持ち主と転居希望者の間で、不動産会社抜きでやりとりできれば参入の障壁は劇的に低下する。いわば、個人の立場で不動産業に入っていける。 車の持ち主が個人の立場で一瞬、タクシー業もできるのに似てないか? 

通常、AirBBや中国版AirBBの小猪短租は短期賃貸を想定しているようだが、
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長期も勿論可能になるはず。ただし規制をかける可能性が現状ではある。これって岩盤規制ではないか? 短期も長期も近隣住民とのトラブルはかわらない。むしろ長期だと住民間のコミュニケーションもその分厚くなるはずなので、問題が起こる頻度もむしろ少ないかもしれない。



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