2017/8/31

『フランスの中世社会』4  お勧めの1冊

水曜のBSプライムニュースで北朝鮮のミサイルについて、元自衛隊海将、幸田洋二氏の解説があった。非常に判りやすく納得できた。先の技術的な疑問も解消した。

最後に、同氏は「核と北米まで届くミサイルの組み合わせ」をアメリカは許すかと問い、覚悟が必要だと述べられた。



『フランスの中世社会』4
そろそろ限界かな?と思った矢先、出てきた次の章が「王の権威と源泉」で、ここで日本の天皇制と比較する形で西欧における王の存在が語られる。こうして我々、日本人と密接に関わるテーマになれば当然また興味が出てくる。曰く、

『王が王として君臨するためには、どの社会においてもその時代に固有の権威付けが必要であった』として、日本の「万世一系」の天皇制イデオロギーは世界史的には必ずしも普遍的なものではない。その例に古代ローマ帝国および、その継承国家であるビザンツ帝国においても世襲制は不可欠ではないとする。確かにその通りで五賢帝をみてもそれぞれに事情があったとしても(実子に恵まれなかった)世襲ではなかった。またそれ以外の皇帝には植民地の軍司令官出身も確かいたはずだ。p120それに対し、フランスとドイツでは実態は世襲制だと著者は言う。教科書では「選挙制」とするが、実態は<王位を得るにふさわしい家系から最も適格な人物を選び出す行為」だったという。p121

これはToddの分類する家族構造と何らかの関係があるかもしれない。古代ローマの地中海世界では大部分が平等主義核家族で一部、イタリア北部とピレネー、ランドッック近辺がそれぞれ外婚制共同体家族と権威主義家族に分類されている。つまり、大部分の(植民地以外の)地中海ローマ世界は平等主義核家族で、血縁を重んじる権威主義家族制度ではなかったということ。
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次に、儀式としての「聖油」の説明が面白い。伝説的には旧約聖書のサムエル記、上、X-1にイスラエルの王、サウルの頭に油を注いだというのが初出らしい。その後、歴史上ではトレドで西ゴートのワムバ王に(AD672)、カロリングのピピン三世(AD751,754)と続き、これがカロリングの伝統として東西フランク王国で継承されるとする。p135 最初のトレドで西ゴート王への聖油のきっかけとなったのが、あのセビーリアのマニアックな聖書研究神学者イシドルス(イシドース)らしい(笑)、いかにも彼らしい。
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なお現在に伝わる聖油の方法は油にはオリーブオイルを使い、それに芳香性の樹脂を金属製の針で混ぜ合わせこれを王の場合は頭部(額)に受けている。図13にその様子が描かれていて非常にわかりやすい。受ける王は片方の肩を脱ぎ、跪いて両手を合わせ、大司教が細い棒(針?)のようなもので王の額に油を十字に塗布している。こうした画像というのは本当に参考になる。
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2017/8/30

『フランスの中世社会』3  お勧めの1冊

今朝、身支度を整えている時、J-アラートが鳴った、6時2分と記憶する。ニュースによれば、発射は5時58分。6時6分には日本列島を越えて、12分の着水まで14分しかない。また今回は「衛星打ち上げ」としての事前通告はなく、「日本海上空で3つに分離した可能性がある」とも。

まず、打ち上げから着水まで14分、一般人は何もできないと云っていい。事前予告がないのはもう人工衛星と誤魔化す必要がないということか? それとも日米韓の対応能力を調べる目的か? それより一番気になるのは、やはり弾頭?が3つに分かれたこと。
https://www.nikkei.com/article/DGXLASFK29H0X_Z20C17A8000000/
愚かな譲歩をしているうちに、北朝鮮の戦略核能力は進歩したという気がする。
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軍拡競争で国力を損ないソ連は崩壊した。「同じことが北朝鮮にも起こるはず」と期待するのは楽観的過ぎるか?

それにしても、リスクオフで円高になるという不思議な国。マスコミは円は比較的安全な通貨なのでこうした危機的事態では買われるというが、そうだろうか? 日本で大被害が出れば、アメリカの国債を売って円を戻す(円高指向)というシナリオ故ではないか? そう考えれば理解可能。尤も、素人では考えが及ばないほどの高度な理論があるのかもしれないが、、、




『フランスの中世社会』3
『フランスの中世社会』をここまで何とか読み進めてきたが、だんだん読む気力が萎えてきた。教科書を大講義室で読まされるような調子で、勉強にはなったが知的好奇心を触発されるということはなかった。

理由ははっきりしている。なぜそのような結論になったのかについては全く触れられないからだ。結論だけを語られても面白くない。この本はもともと講義ノートをもとにまとめられたということなので講義もこんな調子なのだろうか? いや、そんなはずはないだろう。授業ではきつと、色々学生を引きつけるような工夫をしておられると思う。そうでなければ、直接自分の身に関係がないような西欧中世史にインセンティブを持ち、勉強するとは思えないから。

我が身に振り返って、どれだけ自分の講義が面白いかと自問すれば自信はない。しかし、それなりに努力はしているつもりだ。できるだけ身近な例をあげて原理や法則を解説している。例えば沸点上昇や凝固点降下の説明にはパスタの茹で方や路面凍結防止法を述べながら説明しているし、放射性セシウムや放射性ストレンチウムの生体に対する危険性の理由を挙げながら周期表を説明している。そうしないと、学習へのインセンティブが得られないと考えているからだ。
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話をもとに戻すと、西欧中世史というのはそれでなくても我々の日常からは程遠い、そこに学生の興味を引き付けるには、よほど現代との兼ね合いで解説するか、あるいは思い切って学生自身が研究者のような立場で生の史料から入って、西欧中世の世界に中に入っていけるような舞台作りが必要な気がする。そしてそのような例として「修道院と農民」という本を思い出す。あの中で「十分の一税」に差し出された穀物の量が当時の農民にとってどれだけの負担になったのかを実際計算してみたり、
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あるいは、サン・マルタン・デ・プリ修道院の土地台帳から、当時の人口や家族数を推察してみたりすることができた。その求めた数字が別の史料からも裏付けられたときには、ちょっと興奮したが、そうした工夫が必要な気がする。
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そうしないと大学の歴史の授業は世間離れのお話に終始し、身につかないような気がするが、、、

素人の傲慢な意見ですお見逃しくだされ、、、
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2017/8/29

『フランスの中世社会』2  お勧めの1冊

昨日南仏の中世的な氏名のつけ方は「姓」は支配拠点を示し。フルク・ド・マルセイユではマルセイユのフーケとなるとした。 [de+地名]。  
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今、ウイグル族についての本を読んでいるが、その名前を見てみると苗字(family name)がなく、自分の名前の後ろに父親の名前をつける。 だから現在中国政府によってテロ集団とされる『世界ウイグル会議』の秘書長がドルクン・エイサなのは彼が「エイサの子、ドルクン」だからだということになる。

これはウイグル族が内婚制共同体社会(父系制非縦型)故だろう。内婚制だからわざわざ苗字(family name)をつける必要はなく、直接誰の子であるかを問題にする。だからだと考えられる。
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ちなみに南仏は権威主義家族に分類されるので家門(family name)が後ろにくる。
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以上、素人の当てずっぽうです、「そうではないよ」という意見があれば教えてくだされ。



『フランスの中世社会』2
今、フランスの王権の拡張期について読んでいる。12世紀よりその兆候が見られるが顕著になったのは13世紀初頭、イギリス王が領有していた西部、西北部の奪還。有名な例があのジョン欠地王からの没収(1202年)。 そしてそれはノルマンディー(1204年)、アンジュー、ポアトウ(1205年)、ブルターニュー(1206年)と続き。決定的にした「ブーヴィーヌの戦い」でのジョン欠地王に対する勝利。(1214年) p82

それにしても、当時はドウバー海峡を隔ててイングランドとフランス西海岸がイギリス王家の支配を受けていたことは古代の日本を考えさせる上でも参考になる。
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さらにフランスの領土拡張は続く。1209年の異端カタリ派へのアルビジョア十字軍は1229年にツールーズ伯からローヌ以西を、1239年にランドックなどを、そして1258年に国境をアラゴン王との間でピレネーとした。p83 以前読んだ本でも、この十字軍による南仏の蹂躙が契機となってカペー朝が南部をその支配下に取り込み、フランス全土を支配する契機になったとあった。 それは法王インノケンティウス3世が、十字軍にこの地の「切り取り勝手」を明示ことによる。もともと「ランドック」という言葉の意味もオック語、あるいはさらに細かくオクシタン語の舌を持つ地方だったとか。しかしこれを契機として南仏はフランスに組み込まれる。
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こうした物理的領土の入手とともに制度的王権の維持方法が確立したことも重要だとか。それが、アパナージュ制。すなわち王が領土を兄弟に一時的に賦与するという制度。これで血縁制に基づく相続慣用を用いることで領土が回収可能=王領地の不可分制維持になったという。p84
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2017/8/28

『フランスの中世社会』  お勧めの1冊

『フランスの中世社会』
副題:王と貴族たちの軌跡、渡辺節夫著、吉川弘文館、2006年初版。

しばらく頭の中がパンパンになるような本を読み続けると時に疲れて先に進めなくなる。そんな時、ちょっと趣向を替えてみると気分転換になってまた本が読めるようになる。と言って別にこの本が気楽に読めるというわけではない、それなりに難しく沢山の知らないことばかりの本だが、それでもこうして趣向を替えてみるというのは効果的であることを経験的に知っている。

さて、この本の冒頭に著者が云うには、

『今日でもヨーロッパの一体性の根底にキリスト教的一体性が強く意識されている…』p9

とある。これは本当にそうだと感じる。先日ベルギー人と上海浦東空港近くのホテルのレストランでたまたま席が隣になり、しばらく酒を飲みながら長いこと話したが、その中で彼が強調していたこともこれだった。彼がベルギー国内のイスラム教徒に対し悪意がないことを強調しつつも、そこに問題の根幹を見ているような語りだった。ちなみに彼自身は若く全く信仰深いという感じではなかったのだが…、
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貴族と領主の階層構造について、著者は貴族の三層構造を描く。すなわち、諸侯―城主―領主。

「諸侯」はその祖先がカロリング朝で地方官あるいはポストカロリング期に軍司令官(公、伯、辺境伯)となり王権の弱体化で公的支配権を私物化した階層。

「城主」は村落共同体の集合体を把握し、そのうちの一部を直接支配し、その所領を分与されたのが「領主」。「領主」は城主に上昇できなかった階層と考えることができるようだ。p32

「騎士」はもともと身分の低い軍事的な従者の意味だったが、レコンキスタや十字軍、さらにはドイツ東方植民運動の過程で軍事力による異教徒制圧の過程で社会的地位の上昇をはかり貴族概念に近接することになったということらしい。p34

ここであのソールズベリーのヨハネスが書いた(ここでは英語読みでジョン)『ポリクラティクス』で騎士の社会的上昇を象徴する様式について引用されている。
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こうした貴族層の階層的一体化の仕組みを、横糸として「血縁=姻戚関係」と縦糸として「レーン制」をあげる。p36 レーン制とは個人間の双務的契約関係で「誠実な君主ありて、誠実な家君あり」という仕組み。これは日本の「君、君たらずとも、臣、臣たらざるべからず」とは対照的。p37

しかもこのレーン制は同一人物が複数の封主を持つという仕組みだが、この制度的矛盾は優先制により緩和されているとも。p38

<豆知識>
家門の成立は「姓」が示しているらしい。そしてこの「姓」は通常一族の支配拠点を示す。つまり[de+地名]。p39 フルク・ド・マルセイユや
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シモン・ド・モンフォール(Simon de Montfort)もそれに違いない。
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2017/8/28

『日本経済の明日を読む2014』7  お勧めの1冊

トメちゃんが旅立ったらしい。飼い主さんにお別れを言える十分な時間があったのでよかったというべきかな?
http://blog.goo.ne.jp/kuru0214/e/5ba910602a82193593e0ab6919eb161b


日曜午後地元の図書館に行く。図書館の太陽光発電パネルのデーターが出ている。久しぶりの晴天で発電量はまずまずのようだ。本日3時までの発電量は合計44kWh、石油代替量にして10.8リットルの表示。 

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平均的家庭の1日の電気使用量が20kWhらしいので、ざっくり計算すると図書館の太陽光発電で平均的家庭の2軒分くらいの電気が賄える? その程度かと思うか、そんなにもか、と思うか人それぞれだろう。
https://www.tainavi-switch.com/contents/1255/



『日本経済の明日を読む2014』7
農業問題で現在、農地は市町村の農業委員会が管理する農地基本台帳で把握されているだけで、統合ベースに入力されているわけではないらしい、知らなかった。2017年段階でどうかは分からないが、農業の、あるいは農地の活性化にはまず統合ベースでの一括管理がスタートラインでしょう。p159

米価は生産調整(減反)と個別所得保証制度で二重に消費者と納税者の負担、いや犠牲のもとに日本の米作は維持されている。これは早晩解決しないといけない点だが、既得権益の保護でかなかな出来ていない p160 これこそ岩盤規制の典型ではないか。岩盤規制を壊すとして獣医学部新設が話題になっているが、それ以上にやるべきことはたくさんあるのでは?

原発について: 個人的には安全のある程度確認された原発は再稼働すべきとの考えだが、それでも40年の期限で廃炉にすべきだと考える。40年もたてば経済効率だって悪くなる。それ以上の寿命の延長はそれこそゾンビ原発を維持するようなもの。

私は地産地消の補助エネルギー資源として太陽光以外に、地下熱(地熱ではない)に注目している。地下50メートルも掘れば何処でも←これが最重要 地下熱は夏冬を通し一定で20℃程度。ヒートポンプでこれを夏の冷房、冬の暖房の補助エネルギーにできると期待されているが、その後、この分野はどうなったのだろう? まだ何か技術的な問題が残っているのだろうか? 
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またメタンハイドレートはどうなった? 技術的困難があるというが、シェールガス、シェールオイルだって昔は技術的に不可能とされていたもの、もしこれが採掘できるようになれば日本は世界一のエネルギー大国になれる。



雇用について: ここでも現在3人に1人が非正規、しかも不本意型非正規の半数は男性で、4割が世帯主とのこと。これからAIの発達でますます中途半端な仕事はITにとって代わられる。雇用の二極化が進むとされる。p161

以上6回にわたり、この本の内容をまとめてきた。2013年末の出版であり、すでに結果が出ているもの、判断が出ているものが多く、例えば消費者物価の2%上昇は未達成。消費税の10%上昇は延長決定など。そもそも、この著者らが基本アベノミクスに提言をする側からのものである以上、アベノミクスに対しては何処までも肯定的に捉えている。
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2017/8/27

『日本経済の明日を読む2014』6  お勧めの1冊

『日本経済の明日を読む2014』6
構造改革の必要性が叫ばれている。個人的にもこれが決め手だと思う。ただし著者らも指摘しているように現代は急速に変化する時代、将来の成長分野を予想することさえ難しい。否、現実的には不可能だ。それならば政府のとるべき政策は高度成長時代のような特定の産業の振興ではなく、変化に柔軟に対応できる衰退企業の整理・淘汰とベンチャーの容易な設立のプラットホームの構築だとするのには大賛成だ。p111

では、この面で日本はどのように世界に評価されているのかを知るのは参考になる。総合的なビジネス活動のし易さの点では、それほど悪くはなく24位(世界銀行)。 ただし個別に見ると。納税(127位)、事業設立(114位)建設許可(72位)らしい。p113 ではまずここから手をつけるのがよいというのは理解できる。著者らによれば納税は法人税率の高さなのでこれをEUやアジア並みの25%まで低めるのが肝要とのことだが、当然その分税収は減るのでその穴埋めが問題になる。ただし総合4位と好位置にある米国の法人税(40%)は日本よりも高いという現実もある。これについてはEUの例が参考になるかもしれない。EUは1995年から2004年にかけて法人税を32%から25%程度まで軽減したが法人税収入(3%)はそれほど対GDP比で変化していない。

これは課税ベースの拡大とセットで実行されたからで、是非日本も導入すべきであるし、事実これは進められていると理解している。赤字であれば法人税を払わずによいということが如何に愚かなことか、ゾンビ企業を生き残らせる愚かな政策だと思う。p124 ゾンビ企業と雖も社会インフラを使っているわけでそうした存続は社会に重荷を背負わせることになるからだ。

そのほか、著者らは所謂「岩盤規制」の撤廃を主張する。まさに同感だ、しかしここでもう一度考えてみよう、その岩盤規制の撤廃と加計学園の獣医学部創設とどのような整合性があるのか? これはどのような構造改革あるいは新規事業の支援になるのか、先に議論したように新たな2割増しの獣医師養成が逆に負担をかけることになるのではないか。獣医にはなったが職がない。否、そもそも現在の歯科医師養成のように大学卒業したが獣医師国家試験不合格者の量産にならないか、多分そうなるだろうが、それと構造改革との接点が全く理解できない。もちろん加計学園は1学年入学者160人から2,000万円の授業料(6年間)を取れればそれだけでフローで6年後には年間32億の収入になるわけですから、特定企業にとってはウハウハものでしょう(笑)。

エネルギーの章でまたしても誤魔化しの数字が出ていた。それは原子力による発電コストを8.9〜円/kWhとするものだ。ここで(〜)が曲者。以前も述べたように、この数字には高放射能廃棄物の処理コストが入っていない。経産省のHPですら、その保管には数万年かかるとされている。人類が一度も経験したことのない期間、安全に廃棄物を保管するのに必要なコストは誰も計算できない。 否、したくない、だから(〜)なのだ。8.9〜無限大 円/kWhの可能性も否定できない。p153 反論の方があれば歓迎だ。

TPPについては経済的な面と、日米関係を基盤とした安全保障上必要だとの議論が出されていたが、ご承知の通りその米国自身が離脱している。これに限らずそうした点での予見に弱い。p127

起業促進の章で著者らは、廃業率10%を掲げる。p133 しかし廃業率の上昇(現在4%程度)を目標に掲げるべきものだろうか? もとより始めるより維持することが大変。常に変身していかなければならない。起業率を上げるのは良しとして、廃業より変身をあげるべき。

思うに我々の分野でも昔ながらのがん研究ではもはや研究費が得られない時代になってきた。それをいち早く感じて老化研究を掲げたからこそ、今まで潤沢な資金が得られたと感じている者にとって廃業問題は他人事ではない。
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2017/8/27

blogの効用 & 『日本経済の明日を読む2014』5  お勧めの1冊

<blogの効用>
内田氏が

『ブログの方がエッセイを書く上ではアドバンテージが多い。字数が多いので、書きたいだけ書けるということが第一だけれど、それ以上に私にとってありがたいのは、新聞や雑誌の記事とか本からの引用とかの書誌情報を整えて書いておくと、あとで調べ物をするときにたいへん便利だということである。』 

と書かれていた。以前からそれに気がつきblogをしていた私としては「内田先生と同じことに気がついていた!」とほくそ笑む(笑)
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/644/trackback

ちなみにツイッターやLINE,Facebookはやっていない。いや、正確に言えば止めた。時間の無駄を感じたから。blogに思考過程を記して、その情報元(URLなど)をきちんと書いておくと自分の思考を積み上げることができる。もちろん、知らない人からの突然の訪問も刺激を受けることもある。
http://blog.tatsuru.com/2017/08/26_1054.php


さて、もう1つ内田氏のこのblogで思ったのは、英会話教育の将来についての意見。私も授業で「大学6年間で英会話とインターネットを自由に使いこなしてください」と述べた。しかしそう言いながら、内心、「でも10年後にそれが役に立つかどうかは、本当は判らないのですが…」 と呟いた。 そう、6年後には無用になっているかもしれない技能かもしれないということだ。
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『日本経済の明日を読む2014』5
経済の好転のために著者は「政治の安定」をあげる。p64 それが今の安部政権支持の根底にあるのだろう。また、現在は「貿易立国」ではなく「投資立国」だという。事実、アベノミクスの円安誘導で国内回帰が起こったかを詳細に検討すると著者たちもそれはないと断定している。

海外に出ていた企業が海外拠点を畳んで国内回帰した例はなく、先端技術の海外流出を防ぐための国内工場の再評価であり、それはマクロ的にも資料で明瞭に示される。図3-6-5によれば円高で2001年から2006年にかけて日本への逆輸入量は増大したが、2007年以降の円安へ逆転しても、日本への逆輸入は変化せずフラットな状態のまま。海外拠点がそのまま円安状態でも継続して製造拠点となっている。p76

こうした事実は、すでに知れたことだが。p66 それならば尚更のこと、円安で日本経済が好転さるとの結論にならないはずだが??  どうも資料と結論に矛盾がある。それは(安部政権支持の)結論ありきでの論調だからだろう。 

日本のデフレの原因は大きく3つ説がある。1つは需要説。2つ目は供給説。そして最後に金融要因。1つは理解しやすい、人口減少。2は排除できる、なぜなら発展途上国からの輸入攻勢はなにも日本だけに起こっているわけではなから。3の金融説=貨幣数量説だが、これはマネタリーベースを2倍にしても解決しなかった結果からみれば、これも破綻したと現在の我々は結論できる。(この本はまだ2013年時点なので期待をかけているが)となれば1の需要説が一番妥当なところだろう。 この本ではまだ結論が出ていない段階なので「デフレ脱却の条件」として1から非製造業の生産性向上をあげる(製造業ではすでに達成済み)。3に対しても著者らは提言しているが、今となってみればそれは上手くいかないだろう。p92
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2017/8/26

既に起こった未来 & 『日本経済の明日を読む2014』4  お勧めの1冊

少し記事が盆休みの分、たまりすぎているので放出します。

<既に起こった未来>
シンガポールや中国ではEVがかなり走っている。実際、中国の町では電動バイクとともに、どこでも電動自動車が大量に走っている。確かに昔の中国の電動車は、見た目はチャチで日本人中国blogではいつもバカにした表現で揶揄されているが、本当に本質が見えていないとがっかりする。こうして中国は着々と電動自動車のデーターと実績を蓄積している。 実際性能もよくなり、小型では日本の軽と変わらない。20年には全世界で累計2000万台に増えるとの予想もある。
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https://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ08H5Z_Y7A600C1000000/

ところで日本の自動車関連就業人口は534万人、このうち製造・整備関連で153万人。自動車がEV化すると、部品点数は70%減少するので単純計算では100万人以上の人が職を失う計算になるが、それに対しての準備はどうなっているのだろう? 
http://www.newsyataimura.com/?p=6804

2013年段階でBMWはスマートフォンとの融合を前面に打ちした量産型の電気自動車(EV)を投入すると<北京>で発表したが、あれはその後どうなったのだろう? 
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電気自動車は劇的に自動車の構造を変え、モーター付きタイヤとバッテリーそれにweb接続(GPS+自動制御)の物になり限りなく自動運転に向かう。
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しかも車体は内燃機関がなくなり、駆動伝達装置がないので金属ではなく強化プラスチックの囲いだけで重量が激減する。当然、鉄の需要も劇的に減る。それに対しての準備はどうなっているのだろう? 
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『未来を予想しようとしても無駄である… 成すべき事は、既に起こった未来に取り組み、あるいは来るべき未来を発生させるべく働くことである』 

         ドラッカー365の金言より。




『日本経済の明日を読む2014』4
不動産については人口減少と生産拠点の海外移転で低下は避けられないというのが一般的だとしつつも、アベノミクスで不動産市場は急速に活発化しているという。p49 ところが、その舌の乾かぬ間に図3-3-9ではオフィス賃貸料と生産性は1996年から2013年まで生産性については綺麗な下降線となっていることから、この『嘘?』がすぐバレる。賃貸料については2009年をピークとして短い「ミニバブル」が生じているが、これも2011年から元の下降線に戻る。p53 なにより重要なのは賃貸料そのものではなく、オフィス生産性である。2003年と100として1996年の112 から、10年後の2013年には85以下まで低下している、これが全て。不動産市場活発化が実態を伴っていないことがわかる。こうしたことは数字を丹念にみれば分かることなのによほど読者をバカにしていると見える。

国内市場が縮小するのは歴史的プロセスなので仕方がない。であれば国外に打って出るか、小さく纏まるかの択一の問題。個人的には世界に打って出るしかないと考えるが、周囲を見渡すとそうした活力に乏しいのは若者の海外留学希望者の低下がなにより表している。そしてそれを引き起こしたのが日本社会そのものの排他性にある。

経済はグローバル化したが精神性が島国根性なままだろう。海外で活躍した若者を受け入れる社会になれなかった。それならば海外に出るのは「損」と考えるのは当然。海外留学組に就職浪人で40歳になっても定職が見つからず私立大学の助教職に応募する博士がいかに多いか、驚くほどである。これもすべて、文科省の大学院定員倍増化の犠牲者である。定員を2倍にし、(しない大学は金を減らされた)一方でポストは縮小すればそうした人が大量に出るという「算数」がなぜ高級官僚にできなかったのかとても不思議だ。結果として優秀な人は大学に残ろうとしない、一方で大学院の定員を埋めるため学力に目をつぶり大学院に進学させた。結果は素人でも予想できる。怒りがこみあげてくる。

我々は良い時代に生まれて幸運だった。良い仕事=研究をすれば道は必ず開けると素朴に信頼して海外に飛び立っていけた世代。その時代は大学院の定員の半分も埋まっていなかった。現状の3割程度の院生しかいなかった。よほどの変わり者でなければ院に進学しなかった時代。
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2017/8/26

所得の逆分配 & 『日本経済の明日を読む2014』3  お勧めの1冊

<所得の逆分配>
『大学無償化は所得の逆分配」である』 とする池田 信夫氏の意見に同意する。
『借金も返せないような大学に行くのは間違っている』 まさにその通り。
http://agora-web.jp/archives/2027931.html

こうした意見にきちんと数字を示して反論している例が少ない。目の前の「かわいそうな例」を挙げてそれがすべてのような議論は逆に日本の格差社会を助長する
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『日本経済の明日を読む2014』3
所得について生産と連動する所定外給与(残業代等)は増加傾向だが、所定内給与は減少が続きていると書いてあるが数字を示さない。p33 一方で、円高で物価が上昇基調なのはデフレ脱却でよいとするも、先の所得と組み合わせると「実質賃金は低下している」というのが論理的帰着点ではないか? それまで数字を挙げて議論していたのが急に数字がここで出なくなるのが不信感を募らせる。所詮、アベノミクスに肯定的な著者らに公平な評価を望むのが無理というもの。

世界遺産登録が外国人観光客の増加を引き起こすかについてのコラムには興味のあるデーターが出されていた。1つは石見銀山の例では登録前後の3年間はほぼ倍増したが、その後元の数に戻っている。世界遺産登録の主な目的がそこにあるとするなら、よほど抜本的改革をしない限り目的は達成できないことを示している。世界経済フォーラムの旅行観光競争力指数によれば、日本は顧客志向の点で第一位だそうだが、外国人客に対する地域住民の態度評価は見劣りがするとのこと(なぜここでは順位を出さない?! よい数字は出すが、悪い数字は出さない傾向があり、それがこの本に対する私の評価を貶めているこ!!)いずれにせよここに日本人の排他性が垣間見られる。p38
それは特にアジアからの観光客に対する態度で判る。日本人はこれまで異質な文化と接触する機会が少なかった、異なる価値観や習慣を持つ人々と接する学習をしない限り根本的な解決策はない。

日銀の質的・量的緩和(異次元金融緩和)について、冒頭この目標が2年程度で(2013年11月より)消費者物価上昇率を2%にすると挙げている。つまり2017年段階でもその目標は達成できていないことから、これは失敗だったことが判る。それはともかくとして、中央銀行主導で(量)としてはマネタリーベースを2倍にし、(質)としては、買い入れる国債の平均残存年数を2倍にするということらしい。しかしこれまで中央銀行によるこうした取り組みには限界があることは昔から言われていたとこの著者らも認めている。p41 つまりその予測は当たったということだ。図3-3-2にチャート図が示されているが、あくまで思惑の図に過ぎなかったということ。

アベノミクスにより確かに円安になり、株価も上昇した。それを明らかに図3-3-3で示す。そしてそれに伴い個人消費も堅調に推移しているというが、証拠=数字は示さない。なにより著者自身、これが海外投資家によるものであることを述べている。つまり、外国に儲けさせただけ? p43
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2017/8/25

コメントをいただいたので、もう一度考えを整理してみた  試行,指向,志向、思考

円相場は20%前後を行ったり来たりするのは普通だとするなら、2012年頃の1ドル80円台の時の大騒ぎは何だったのでしょう? 
http://1ドル円.com/2012/

当時『何度も言うが諸悪の根源は円高』という評論家がいましたが、
https://style.nikkei.com/article/DGXNMSFK1103Q_R10C12A5000000?channel=DF280120166593&style=1
ところがこの時期、日本の実質輸出は(大震災の影響を除外すれば)減ったのではなく増えた』ことを野口氏は指摘されていました。 
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/4918/trackback

個人的にはこれでかなり儲かった「計算」にはなりましたが、、、、それとこれとは別。
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/3838/trackback

いずれにせよ、国難時(2011.3.11)に円高になる不思議な国、日本。



建設、不動産はバブルを思わせる状態だということは、余ったお金が主に国内不動産にまわり、国内外の設備投資やM&Aには使われていないのでは? 述べられていたようにマイナス金利政策でマネーを過剰にばら撒いても行きつく先が国内不動産投資では何にもならない(買うなら海外不動産?)。この人口減少時代、不動産は海外から移民が大量に入らない限りいずれ値崩れするはず。そこは独裁政権できっちりグリップしてコントロールしているどこかの国の不動産事情とは異なる。、、この10年来この国の「バルブ崩壊」を叫び続けている評論家は山のようにいますが。
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/3604/trackback

おっと、脱線。



利益の再投資、再配分が行われてないのが問題だという指摘はその通りだと思います。今や日本の所得再配分後のジニ係数は米国0.40 (2013) と肩を並べる0.38 (2014)
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/4997/trackback

人手不足が深刻なのは当然で、生産人口の低下のせい。2050年まで確実に下がり続ける。
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/3316/trackback
それでも、募集は非正規、アルバイトばかりだから低所得層を増やすだけでジニ係数は米国並み、ただし日本的な低所得層が厚いタイプだとか。
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/4784/trackback

株のことはよく判りませんが円安で株の時価総額は上がっているので、富裕層にはいいでしょう。レクサス、ベンツがあふれているも、そうした人たちがいるからでしょうが、買えるのは一般人ではない。 
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