2017/11/30

『欲望の資本主義』3  お勧めの1冊

『欲望の資本主義』3
第3章はスコット・スタンフォード。あのUberのイノベンションを手がけた人物でゴールドマン・サックスに勤めていたとか。彼はイノベイションの意味に注目したり、影響を気にしたりはしないそうだ。『全てはリターンのため』と言い切る。p156 先のスティグリッツ氏とは正反対だが、それはよく分かる。

ここで(ウーバーの影響で)イエローキャブの倒産が話題になる。スタンフォード氏はそれに対し『灰は灰に、塵は塵に』といい、当然のこととしてコメントする。p190

実に筋が通っている。ただし、筋は通っていることが正しいこととは言えない点は指摘しておこう。この本のタイトル通り、『欲望の資本主義』かもしれないのだ。

ただ彼がいうことには納得できる。駐車場の中に車があるが、ほぼ1日中駐車していて、1日精々5キロか、最大でも50キロしか走らない。自動運転ならはそのようなことはないという。それはそうだ。自動車が共有物になり運転手が不要ならば普通の人は所有する意味さえなくなるだろう。そして彼は「10年は今のシステムが続くだろうが、その後はわからない」という。これは驚くべきことだ。そうなるともはやタクシー運転手のことだけではない。自動車産業界そのものがシュリンクするということを意味する。

最後の章で、現代は需要不足と供給過剰の時代だという。それならば供給を指標にしたGDPは最早、時代に則した経済指標ではないかもしれないとの指摘はなかなか的を得たものかもしれない。p218
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2017/11/29

『欲望の資本主義』2  お勧めの1冊

『欲望の資本主義』2
2章のチェコの鬼才、セドラチェク氏は「経済成長至上主義」を厳しく批判する。成長しないのはその必要がないからだと。p097 これはよく判る。日本に必要なのは「成長戦略」ではあなく、「成熟戦略」だという榊原英資氏と通じるものがある。また私が「小さな村の物語、イタリア編」に惹きつけられることも関連しているだろう。
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セドラチェク氏は経済成長でなく、他の分野で成長すればよいと主張する。すなわち、芸術、精神面だと。p105 個人的には、環境や保健衛生面もあると思う。

ここで同氏は重要なことを述べている、それは現代の世界経済における価格の決定が普通の経済学の教科書で説明されているような需要と供給の間で決められるのではなく、決定権は豊かな国によって決定されるという点だ。それを現実のコーヒー豆の価格で証明する。p109

セドラチェク氏は「利子」はカネをタイムトラベルさせているようなものだと例える。p110 実は全く同じことを中世ヨーロッパでも述べていた。おそらくそこから同氏はヒントを得たのだろう。中世において「時間」は神の領域だった。それゆえ、その神の領域に手を突っ込むような「利子」が禁止された。

さらにゼロ金利やましては、マイナス金利は麻薬みたいなもので手を出すべきではないとも。p114  持続可能なやり方でもないとも。p118 ここら辺はスティグリッツ氏とは意見が異なる。彼は消費税導入をすべきではないとのべ、財政再建を先送りすることを勧める。

面白いのはセドラチェク氏がチェコ出身らしく、資本主義は外からインストールされたものだという点だ p073 資本主義を当然のものとして考える者からすればまた別の視点がでてくるのは当然だろう。

人生でお金が一番多い時代は50〜60代なのに、一番必要とするのは20〜30代。それゆえ金を借りて、つまりタイムトラベルさせるという例えは分かりやすい。p120 それで金融機関はリスクモデルを慎重に構築する。ところが、最近はそれを止めてしまいった。サブプライムローンはその典型だろう。曰く、

『エアーバッグは完璧、衝突しない限りは』 笑話だが、笑えない現実がある。p121

彼はクルーグマンの意見に反対する。クルーグマンはいう、

『金利を低くして債務を増やせば、景気がよくなり、債務が返済しやすくなる』ここから中央を取り除くと。『債務を増やせば、債務が返済しやすくなる』これは危険な言説だと。p121

以前彼、クルーグマンの本を読んだ時も、『感想としてはマトモなことを書かれているという「当然のこと」を感じた次第。リスクの判断が他の経済学者や評論家との違いとみた』と感想を書き込んでいる。
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リスクをどのように捉えるかで、クルーグマン派になるか、セドラチェク派になるかが分かれるのだろうか?
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2017/11/28

『欲望の資本主義』  お勧めの1冊

『欲望の資本主義』
東洋経済新報社、2017年初版。

実に分かりやすい本で、先日読んだジョゼフ・スティグリッツ氏の『The great divide』などのエッセンスがインタビューを通じて巧みに語られている。文字通り、おすすめの1冊。少し重複するかもしれないが、2、3要点をまとめると。

第一章はスティグリッツ氏へのインタビュー記事。同氏は冒頭「アダムスミスは間違っていた」と断言する。p033 見えざる手など存在しないと。彼は資本主義が本格的に動きだす前のことしか知らなかった、それは勝者がルールを勝手に変えるようになったからだというようだ。

阪大の安田氏は21世紀のイノベイションにシェアリングビジネスを挙げる。それに対しスティグリッツ氏はUberやAirbnbが短期的に法をかいくぐっていると断言する。すなわちタクシーやホテルには現状では様々な規制があるがそれを脱法していると。p058 これは重要な指摘だ、そういう視点でこれまで見て来なかった、これは今後の課題。
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2017/11/27

『貧困と闘う知』4  お勧めの1冊

『貧困と闘う知』4
この本の元となったものは、国際機関が出資する様々なプログラム、教育、マイクロファイナンス、汚職防止のプログラムが適切に運用されているかどうかの評価報告書である。そしてそこで使われている手法は「訳者解説」で述べられている「ランダム化比較実験=RCT」。p186 これは実に参考になる手法。我々はしばしばあるプログラムを行うにしても、それと同時に評価システムや比較試験で本当に効果があるかどうかを検証するということをやらない。特に効果があるはずだと、自明のことのように思われるプログラムではなおさらだ。そとことがこの報告書ではそのような自明のようなことでも実は効果が出ない場合があることが沢山あることを示す。こうした評価は常に重要だなと今更ながら思う。

「ガバナンスと汚職」の章では「汚職」を数値化することは難しい。しかしこのプログラムではそれをRCTによりそれを行い、数値化を成功させている。例としては警察へ偽の通報者を装うことで「訴え」がどのくらい受け入れられたかとか(インドのある地域では1/3が記録されていない)、トラック輸送の際に軍と警察がそれだけ賄賂を要求したか(インドネシアのアチェ州では全費用の13%)を数値化したプログラムだ。p145

そのほかに資金を2つの情報源から付き合わせ「消えた資金」を計算することなどである。例としてインドネシアのある国際支援事業では資金の1/4が途中で奪われている。p146

このようなことが実際に行われていることに驚いた。そしてこの最後に著者は「汚職はあらゆるルールを無力化し、社会全体の利益を破壊するから根本的に有害である」とした上で、政治学者ハンチントンがその側面を無視していることを厳しく批判している。著者によれば彼、ハンチントンは以下のように述べているらしい。

『(汚職は)あらゆるものを麻痺させる官僚制度の歯車の潤滑油… 経済成長については、硬直し極めて集権化している高潔な行政機構を有する社会よりも、硬直し極めて集権化している不正直な行政機構を有する社会の方が、ましである』と述べたという。p152

わざわざ、著者がハンチントンのこの記述を取り上げ批判している理由は不明だが、私も彼、ハンチントンの理論は雑く歴史認識はレベルが低いと感じ、不快感も持った。多分、著者のエステル氏も同様に感じたからだろう。
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2017/11/26

古書展 & 「大学の使命」についての覚え書き  試行,指向,志向、思考

土曜、いつもより早めに職場を切り上げ、天神に繰り出す。目的は福ビル9階で丸善により催されている古書展覧会。主に洋書で16世紀の書物が多い。もちろんとても手に入る品物ではないが(安いものでも数十万円、それなりのものは数百万円!)興味深々。特に、フロイスやイエズス会の日本についての報告書の実物を拝めたのはよかった。ともに手のひらサイズの小さなもので意外だった。厚さは2〜3センチ。

その他、解体新書の元本である洋書は非常に高価なものだった。ベンツの高級機種が買える値段した。おそらく当時も今同様、とても高価なものだったに違いない。

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<大学の使命>
これから先、10年後に無くなってしまう職業は今ある職業の半分くらいにのぼるという予測がある。それは工場などの現場だけでなく医学の分野でもだ。外科支援ロボット、ダビンチがさらに進化すれば外科医すらもロボットに取って代わられるかもしれない。
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今でも米国の「Uber」や中国の「滴滴」などの配車サービスが日本に導入されれば、タクシー運転手は職を奪われることになる。いま規制によって抑えているが、とても止められるものではない。それが先日のニュースになった、『訪日中国人向け「白タク」横行』という現実だ。
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今、大学では「アウトカム教育」が流行になっている。「何を教えたか」ではなく、学生が「何が理解できるようになったか」、「何ができるようになったか」が問われている。しかしそのアウトカムに向かい学び、教えていることは10年先にはもう無用となる技能、知識かもしれないのだ。この点について大学は沈黙を守っている。

本来の大学の使命は、学生に「論理的思考」を鍛え、はば広い視野と知識を授け、さらにそれらを自ら集められる技能の「鍛錬の場」を提供することだろう。そうすることで第二のジョブズを生み出すこと。
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しかし何が未来に必要とされるかは、誰にも判らない。それは彼、ジョブズがカリグラフィーのアートクラスをとっていた時に、それが将来役に立つかどうか、皆目見当もつかなかったのと同様だ。
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2017/11/25

何を今頃!2 & 『貧困と闘う知』3  お勧めの1冊

『訪日中国人向け「白タク」横行 摘発なぜ難しい 』という記事が日経電子版に出ていた。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO23844530T21C17A1CC1000/

素人でも気がつくこうした潮流を国土交通省や関係機関がいまになるまで気がつかない点にこそ問題がある。いまやグローバル化は否応無しで進んでいる。私がスマートフォンをガラ携から換えた最大の理由がこれだった。何を今頃になって!
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『貧困と闘う知』3
ここでマイクロファイナンスについて初めて聞くようなことが沢山書かれている。マイクロファイナンスの代表例はあの2006年にノーベル平和賞を受けた経済学者ムハマド・ユヌス氏が創設したグラミン銀行だが、これらは高利貸しよりは低いがそれでも金利は高い。それは大勢に少しの金を貸し出すことから仕方のない面がある。p116
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この成功の秘訣は女性に貸して、毎週少しずつ連帯責任で返済をすることにあるとされるが、こうした組織は実に色々な実験をしていて、その結果(返済率)から見れば、連帯責任は本質的な成功の鍵ではなかったとされる。つまり連帯責任のグループの一部が個人責任のグループに変更しても返済率に差がなかったという結果があるそうだ。p121 しかし著者は顔見知りが毎週会うことには効果があるかもしれないと述べてもいる。それはメンバーがお互いに離れている場合やグループが均質でない場合は返済失敗率が高いからだという。p123 またそれ以外の条件、女性に貸し付ける点についても必ずしも成功の秘訣というわけではなさそうだ。p125 そしてこのマイクロファイナンスも伝統的な原理で動いていて他の金融システムと同じリスクを抱えているとも。p126

ただ、この仕組みが信用市場から切り離された(貧しい)人たちに可能性を与えた点こそが評価すべき点なのかもしれない。p131
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2017/11/24

何を今頃! & 『貧困と闘う知』2  お勧めの1冊

アメリカが北朝鮮を「テロ支援国家」に再指定すると発表したとの報道。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171121-00000056-mai-soci

「今頃になって」というのが正直なところ。あの米国史上、稀にみる愚かな政権であった「トホホのブッシュ」が行った譲歩を「ようやく今頃になって!」 という気持ちの方が大きい。この点についてはトランプの方がブッシュより賢い。
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それでも北朝鮮と国交を持つ国は100ヵ国以上に上る、断絶している国の方が少数派、これら国交を持つ国と北との貿易を如何に抑え込むか、これは容易ではない。


『貧困と闘う知』2
現代インドのパラドックスに驚いた。曰く、

『1983年、住民の65%が栄養状態の悪い状態だったが、20年間にわたる経済成長を経た2004-5年において、この層の割合は低下するどころか76%に達していた』とか。p61 なぜこのようなことが起こったのか? 

健康についても教育と同じような現象が見られた。すなわち、「同じものをより多く」という介入は普通役に立たない。それよりも望ましいと判断された行動を社会保証手当の支払の条件とする。ということ。p90

貧しい社会におけるマイクロファイナンスでは、市場が一見して競争的に見える場合でも、貸し手と借り手の関係は事実上独占状態になり、貸し手は一旦顧客になった者を縛り付けて搾取できるようになることを明らかにした研究を著者はここで紹介する。銀行は貸付金の管理に資源を投入しないといけないが、借り手の借り入れるお金が少ない分、これらの費用を金利で賄おうとすると、その分金利は高く設定されなければならない。同じ借り手だと、その管理費は初回以降小さくなるし、その分金利も小さくなる可能性がある。借り手も貸し手を変えようとしても(別の金融機関で融資を断れた借り手かもしれないと)怪しまれるので乗り換えは難しい。p106

こうしたメカニズムで貧しい社会でのマイクロファイナンスは年利が200%にも達する桁外れの高利貸しが可能になる。

一方、豊かな社会では司法システム、警察、信用センターの存在で顧客の過去の返済情報を伝達すうることで「情報の非対称性」の問題を食い止めることができる。そしてこうした信用市場の分析がジョセフ・スティグリッツ仕事を通して現代の開発経済学の試金石になったと著者はいう。p106

マイクロファイナンスの例:
104ドル借りて、52週かけて週ごとに2ドルを返済し金利として40セントを払うと。その表示金利は20%だが、借り入れたカネを直ちに(翌週から)返済しているので「すでに返済したお金に対する利息を払い続けている」ことになる。

つまり最終的な支払は104ドル+0.4 ドルx 52週 =124.8ドルだが、51週目ではすでに102ドル返済し、残金は2ドル(104-102)だが、その返済に0.4ドル払っていることになる。なるほど、言われてみればその通りだ。
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2017/11/23

巨龍の横に住む者と、巨龍の爪に押さえられている者  試行,指向,志向、思考

<巨龍の横に住む者と、巨龍の爪に押さえられている者>
遠藤氏は常日頃、信頼できる評論家の1人としていつも参考にしているし、リスペクトもしている。しかし時に「それは違うのではないか? 個人的トラウマから来ているのではないか?」と思わせるような論調もある。
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今回もその1つ。
https://news.yahoo.co.jp/byline/endohomare/20171114-00078107/



天安門事件後、最初に中国と経済協力を進めその後の中国の経済成長のスタートを助けたのは確かに日本だろう。しかしそれは何も中国を「支援する」という意図で行ったわけではない。日本の国益を第一に考えてのことだ。 あれで日本は一時、

『The first comer takes all(ただし、その諺の後にはbut it never lasts. が続く)』

状態になった。そしてその優位はしばらく、否、今でも続いている。
           
遠藤氏が言うように、習近平氏の「笑顔」に油断してはいけないが、それは何もこれに限ったことではない。ただ1つ、遠藤氏の意見に深く同意する点があるとするなら、それは江沢民に対する怒りだろう。
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そう言えば、江沢民を「君臨するテロリスト」と表現した人もいましたね(笑)
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日本は中国という巨龍の横に住む者として、腹を括っていなければならない。しかし幸いなことに、距離の置ける国でもある。その利点を活かそう。
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それに比べ巨龍の爪に尻尾を抑えられているお隣の反日国家には「お気の毒」というしかない。否、お気の毒と言える「余裕を持とう」ではないか。
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2017/11/22

『貧困と闘う知』  お勧めの1冊

<年末調整の完全電子化>
「年末調整」を、2020年をめどにインターネットだけで行えるようにするとのニュース。
http://www.yomiuri.co.jp/economy/20171121-OYT1T50019.html?from=ytop_main2

先日話題にしたが、保険会社の証明書も電子化されて初めて意味があるというもの。当然の動き。
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『貧困と闘う知』
エステル・デュフロ著、みすず書房、2017年初版。
GDPに代わる指標として、アマルティア・センは「Capability」を提唱する。すなわち、平均余命、就学年数、個人所得の3点である。p10 それを比較すれば日本は世界最高のスコアに達するだろう。

開発途上国における教育について著者は『皆が学校に通うべき』だとの認識は<幻想>だという。何故なら、途上国では教育機関における職員の欠勤やサボタージュが頻繁に起こっていて世界銀行の2004年度の年次報告は <社会サービスは貧者を裏切った> という表現でこの現状を批判している。p12

新しい教育の試みはそれの効果が自明だと思われるようなことでもキチンと評価されなければならないとする。何故なら、もしその試みが失敗であることが後で判った場合、提供された努力の信頼が丸ごと失墜する危険があるからだという。p14 実に同感だ、

職場でも様々な「改革・改善」と呼ばれる試みが次々に導入され学生も教員も疲弊しつつあるが、結果がでない。そうなるとこれまでの努力そのものに否定的な意見がでてくる。

著者はその典型例として「同じものを増やす」という失敗例を著者は示している。ハーバード大学のマイケル・クレーマーは新しい教師を増やしたり、教科書を無料配布するというようなことが期待を裏切る結果であったことを膨大なデーターから示している。p35 こうした事例は職場での試み、すなわち模試の数を増やしたり、補習授業を増やしたりすることが成功を導くとは限らないことを暗示している。検証が必要であることは当然だ。
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2017/11/21

『呉越春秋』3   お勧めの1冊

『呉越春秋』3
西施を呉の夫差に送る提案もこの『呉越春秋』によれば、范蠡の提案ではなく、文種による。p251 ただ范蠡は連れて行っただけ。因みに美女は2人で西施と鄭旦(ていたん)p252
https://baike.baidu.com/item/郑旦/3704

前にも書きついだように、夫差が最初に持ち出した言葉、

『狡兎が死ぬと ---- 煮て食われる』 

の言葉を范蠡はのちに呉の滅亡後に文種に対して発している。p298 おそらくこの言葉は当時、呉越で広く使われていた言葉なのだろう。p298 ただし、夫差発だとすると物語が面白くないので范蠡のものとしたほうがピッタリだというのはある。

以上、古典『呉越春秋』を読むことができたのは望外のこと。昔の人は漢文の素養があるので、知識人は原著を読めたのだろうが、我々現代日本人はとても無理。となると日本語訳がないとこうした古典には接することができない。しかし諺や教養の形で呉越の争いのことは見聞きしているので知ったつもりでいるが、今回思わぬ収穫があったというのが正直なところ。諺などは正確に古典の内容を伝えていないことが多いことを確認できた。
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