2017/11/14

『世界に分裂と対立を撒き散らす経済の罠』15  お勧めの1冊

遠藤誉先生がトランプ氏の中国訪問に関して、先週Yahooに出された記事の最後に、『日本が気をつけるべきは「人材育成」』とされているのに同感だ。
https://news.yahoo.co.jp/byline/endohomare/20171110-00077977/

ただし、「キッシンジャーは極端な親中であるとともに、反日」という遠藤氏の意見には同意しない。キッシンジャー氏は単に中国が19世紀前半まで世界第一の経済大国であり、かつ2000年以上の文化大国であるという事実を冷静に見極めているだけのこと、別に親中でも反日でもないだろう。


今回のトランプ訪中を単にビジネスマンの行動からだけ捉えるのは危険だ。何より「人的関係」こそ、長期に渡る戦略として捉えなければならない。第二のニクソンショックが起こったら… 第一のものとは比較にならないだろうとむかし述べたが。その時の、清華大学を訪問した時の、危機感がまた甦った。
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『世界に分裂と対立を撒き散らす経済の罠』15
著者は何度も米国における問題は中間層の没落だとする。そしてその例にラストベルトをあげる。まさに今度のトランプ大統領の出現もそれが背景にあるだろう。そして国富は上位1%に集まられた。2010年段階で所得成長分の93%を上位1%が獲得し、中間層の所得は1996年水準を下回った。下位80%については所得の110%分を消費しているとか。p434、p442

いつも私が経済学に感じていることを著者は正直に認めている。すなわち、

『経済学では自然科学のように、管理された環境下で仮説を実証することは難しい』p443

ということだ。

ここで実に意外なことが、書かれていたが、よくよく考えると納得がいく。それは生産性の向上はそれが適正な条件下でなされなければ害の方が大きいということだ。そしてその典型例に1929年の大恐慌をあげる。すなわち、当時は労働者の2割が農場で働いていた、そうしなければ必要量の食料が生産できなかったからだ。ところがそこに生産性の劇的向上、農業革命が起こった。機械化が進み、種子や肥料、農業技術が改善された。現在ではわずか2%の労働人口でそれまでの食料を生産できるようになった。p445

そうすると何が起こるか? まず農業から大量の失業者が生まれる。さらに過剰の農業労働者を急には首を切るわけにはいかないので過剰生産が起こる、つまり食料価格の低下が起こりますます農業従事者の収入を低下させる。収入の低下は需要の低下を引き起こし結果としてデフレを起こす。

この状況は現代に似ている。ただし現代は製造業で起こっている。さらに現代ではグローバル化が拍車をかける。米国では60年前に労働人口の3割以上が製造業に吸収していたが、今では1割だとか。またグローバル化で数百万人に雇用が海外にアウトソーシングされた。p447

では製造業からどこに雇用は向かうべきか? サービス業だろうが、サービス業の年収は日本の場合年間100万円近く低くなる。つまり現状では製造業での生産性向上で年収が日本では100万低下する集団を生じることになる。
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否、仕事があるだけでむしろましとすべきかもしれない。誰しも簡単に製造業からサービス業に転職はできないのだから。日本のように失業率が非常に低い国でもそうした職種転向は容易ではない。

ここで米国に特有なことが書かれていた。それは犯罪者が多い米国では囚人1人あたりのコストがハーバードの学費よりも高いということだ。p459 
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