2017/11/27

『貧困と闘う知』4  お勧めの1冊

『貧困と闘う知』4
この本の元となったものは、国際機関が出資する様々なプログラム、教育、マイクロファイナンス、汚職防止のプログラムが適切に運用されているかどうかの評価報告書である。そしてそこで使われている手法は「訳者解説」で述べられている「ランダム化比較実験=RCT」。p186 これは実に参考になる手法。我々はしばしばあるプログラムを行うにしても、それと同時に評価システムや比較試験で本当に効果があるかどうかを検証するということをやらない。特に効果があるはずだと、自明のことのように思われるプログラムではなおさらだ。そとことがこの報告書ではそのような自明のようなことでも実は効果が出ない場合があることが沢山あることを示す。こうした評価は常に重要だなと今更ながら思う。

「ガバナンスと汚職」の章では「汚職」を数値化することは難しい。しかしこのプログラムではそれをRCTによりそれを行い、数値化を成功させている。例としては警察へ偽の通報者を装うことで「訴え」がどのくらい受け入れられたかとか(インドのある地域では1/3が記録されていない)、トラック輸送の際に軍と警察がそれだけ賄賂を要求したか(インドネシアのアチェ州では全費用の13%)を数値化したプログラムだ。p145

そのほかに資金を2つの情報源から付き合わせ「消えた資金」を計算することなどである。例としてインドネシアのある国際支援事業では資金の1/4が途中で奪われている。p146

このようなことが実際に行われていることに驚いた。そしてこの最後に著者は「汚職はあらゆるルールを無力化し、社会全体の利益を破壊するから根本的に有害である」とした上で、政治学者ハンチントンがその側面を無視していることを厳しく批判している。著者によれば彼、ハンチントンは以下のように述べているらしい。

『(汚職は)あらゆるものを麻痺させる官僚制度の歯車の潤滑油… 経済成長については、硬直し極めて集権化している高潔な行政機構を有する社会よりも、硬直し極めて集権化している不正直な行政機構を有する社会の方が、ましである』と述べたという。p152

わざわざ、著者がハンチントンのこの記述を取り上げ批判している理由は不明だが、私も彼、ハンチントンの理論は雑く歴史認識はレベルが低いと感じ、不快感も持った。多分、著者のエステル氏も同様に感じたからだろう。
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