2018/1/31

『沙門空海唐の国にて鬼と宴す』  お勧めの1冊

<どちらに説得力があるか>
昨日のニュースで「空き容量がないから再生可能エネルギーの送電はできない」という言い訳が実は嘘らしいという話を聞いた。それぞれに言い分があるようだが、実際はどうなのだろう?
https://solarjournal.jp/sj-market/21247/

電力会社ならびに政府の理屈: 1回線分の容量である「50%」という利用率が、平常時に電気を流すことができる最大の容量。残りの50%は緊急時として残さないといけない。従って稼働している、していないに関わらず、原発が発電する電力はベース電源として「運用容量」に組み込まれている。
http://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/akiyouryou.html

同様にアゴラの池田氏は朝日の解説がこの点を理解していないと断言する。
http://agora-web.jp/archives/2030802.html


一方の問題だとする側からの理屈: 京大の再生可能エネルギー経済学特任教授の安田氏によれば平均利用率は19.4%で、最大で東京電力の27%、うち「空容量ゼロ」とされた路線の平均利用率は36.6%だとか。また、「空き容量ゼロ」とされた基幹送電線は全国に139路線あったが、実際の平均利用率は23%。
https://www.asahi.com/articles/ASL1S4GMYL1SULZU00B.html
http://blog.livedoor.jp/columnistseiji/archives/51738695.html


それぞれに理屈があるが、どうだろう? どちらに説得力があるか。よく考えてみよう。

ポイントは『稼働している、していないに関わらず、優先的に原発が発電する電力は「運用容量」として最初からに組み込まれている」という点にありそうだが、ここらは是非海外の例を知りたいところ。



『沙門空海唐の国にて鬼と宴す』
夢枕漠著、徳間書店、2004年初版。
高校の時の漢文で憶えさせられた柳宗元の「江雪」の詩が出てくる。2巻p110 漢文は嫌いだったが、懐かしい!

千山鳥飛絶
万径人蹤滅
孤舟蓑笠翁
独釣寒江雪

千山鳥飛ぶこと絶え
万径人蹤滅す
孤舟蓑笠の翁
独り釣る寒江の雪

空海が入唐した時(AD804)、総戸数は240万戸まで減っていたとのこと。これは25年前のAD780年、両税制を施行した時は410万戸あったというから、大変な衰退といえる。p126  とは云え、これは両税制ゆえの衰退ではないようだ。それまでの均田法は耕作放棄や荘園制ですでに実情にあわなくなったことからの現実対応だといえる。また銭納となったため貨幣経済が進むことになる。
1

2018/1/30

リスクは確率と危険性の関数 & 『前方後円墳の出現と日本国家の起源』2  お勧めの1冊

先日の白根山の噴火は3,000年ぶりで、観察の対象にもなっておらず、前兆もなかったとのこと。
http://www.hazardlab.jp/know/topics/detail/2/3/23533.html

これが自然災害に対する現在の科学の限界。噴火の確率は極めて低いかもしれないが、天変地異は人の力ではどうしようもない巨大災害を引き起こす。リスクが確率と危険性の関数ならば確率が低くてもリスクは高いとしないといけない。

こんな自然災害列島に原発をたくさん作ってもいいのですか? という問いかけは当然出てくるはずだが?

追加
リスクと言えば、恐怖指数が突然上昇した。何が起こったの?
https://jp.investing.com/indices/volatility-s-p-500



『前方後円墳の出現と日本国家の起源』2
古代日本において都市の定義には2つあるらしい。1つは環濠集落をもって都市とするもの。もう1つは一次産業就労者の欠如をもって都市とするもの。前者によれば吉野ヶ里が入るし、後者だと飛鳥京となる。p53

環濠集落として中国では湖南省の城頭山遺跡、p57
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/3644/trackback
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/3347/trackback

湖北省の石家河遺跡、浙江省の良渚遺跡などが入る。いずれも長江流域で稲作地帯。p58
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/3646/trackback
都市の中でも条坊が最初に生まれたのは漢の長安城でも、後漢の洛陽城でもなく、確認されているところでは北魏の洛陽城らしい。ただし、曹操の鄴城に一部、里坊が確認され、これは最古のものとなる可能性があるとも。日本では藤原京が最初の条坊をもつとか。p62 ここらをまとめた図として図2−5が解りやすい。p64

<銅鏡についての意外な事実>
当時の中国では一般的な器物で、市場で売買されていた。鏡の授受を通じて政治的な権力を確認したり、鏡がシンボルの役割を果たすのは日本だけの現象だとか。p123

ここまで全体の1/3ほど読み上げたがだんだん興味が薄れてきた。理由ははっきりしている。あくまで講壇から聴衆に向い、高説を語るスタイル。私の好みはデーターを共有しながら著者の結論の筋道をたどることができるようなスタイル、そろそろ限界。
1

2018/1/29

『前方後円墳の出現と日本国家の起源』  お勧めの1冊

いま、2月に公開される日中合作映画『KU-KAI、妖猫伝』の原作である、夢枕漠の『沙門空海唐の国にて鬼と宴す』とガルブレイスの『不平等』を同時並行で読んでいる。前者は小説なのでどんどん流し読みできすでに最終巻目(全4巻)に入ったが、後者はまだ2割程度、70ページ程度しか読めてない。

並行で読んでいるわけはいつものことだが、『不平等』のような本を読みこなすのは結構、骨が折れる。集中力が切れそうになった時に気分転換で本を換えてみるという次第。小説ではあまり得るものはないが、「楽しめる」という点でよしとしよう(こんなことを書くと怒られそうだが)。


『前方後円墳の出現と日本国家の起源』
副題:発見・検証日本の古代III 古代史シンポジウム編集委員会編、KADOKAWA 2016年初版。
ここでもはっきりと、

『継体は前代の王統と無関係の地方の出自であり… 王朝交替を意味するとして注目されて』p27

継体26代のあと安閑27代、宣化28代、欽明29代となるが、この頃はそもそもまだ王統が一系的に決まっておらず、そのことは宋史にある讃、珍と済、興、武が異なる系統の血縁集団の出であることが知られていた。p28 欽明29代後に至って初めて王位継承が整備されたとか。p31

推古期は古代国家の成立として見られがちだが著者によれば、そうではなく氏族的性質が強かったという。p33 しかし、唐の膨張による東アジアの激動がこの時代の「倭国」に強力な支配基礎をもつ国家への歩みを急き立てたという。p37 つまり大化の改新のようなことも王権内部の紛争ではなく東アジア情勢のもとに起こったという。p37

百済から様々な制度を導入したことが、最近の考古学的発見で明らかになったようだ。例えば2008年に韓国の扶余(ブヨ)の遺跡から発見されたAD618年の木簡に書かれたものが日本の律令制の内容と共通していたこととか。p40
1

2018/1/28


西部邁氏の「死」に対する受け止め方で自分とは異なる方のサイトに自分の意見を書き込んだ。そこで、その方は

『違いを違いとして受け止めながら言い分を聴いてみることが出来れば』
『西部邁の民主主義に対するペシミズム』 を指摘されていた。
http://toujikyaku.cocolog-nifty.com/blog/2018/01/post-aedc.html#comments

その時気がついた。私が西部邁氏に対して反感を持ったのは、まさにこの「対話の欠如」と「民主主義に対する態度」だったと。

かつて「対話の欠如」について、以下のように私は述べている。

『Jargonを多用し知性を見せびらかして、人を煙に巻くが聞くに堪えない論理を振りかざす人、他人を「ものを考えない人」という傲慢さ』 
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/4477/trackback



そして、「民主主義に対する態度」については、

「民主主義なる価値観を選んだ者は、そのリスクを背負っていくしかない」
「百年たっても人間は愚かであるかもしれない …それでも駄目なら、なお千年待つのだ…」
と語る、ユリアヌスの言葉に何十年たっても共感を感じるからだろう。
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/4809/trackback
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/21/trackback
1

2018/1/28

『唐から見た遣唐使』2  お勧めの1冊

先日『安倍仲麻呂はAD770、73歳で長安で死去し、一方空海が派遣されたのはAD804で唐の地を踏んだことになる。其れゆえ、2月公開のKU–KAI(中国名『妖猫伝』)は虚構ということが判る』など書いたが。
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/5213/trackback

ちゃんと夢枕漠著の『沙門空海唐の国にて鬼と宴す』を読むと、安倍仲麻呂が唐に渡ったのは「88年前である」 と書いてある。p149  つまり、空海と安倍仲麻呂はこん本の中では出会うことはないことがわかる。 間違い訂正。


<原発コスト>
発電コストについては各電源の発電コスト比較と一覧の図1が役に立つ。これをみると2014年と2030年のモデルプランに注目したい。2030年段階では太陽光発電が劇的に低下してほぼ原子力と同じまでになっている。例えば産業用ではkwh当たり、45円から15円に、家庭用では40円からこれも15円に。一方原発は10円〜で変わらず。最後の(〜)が曲者であることは意外に知られていない。
http://standard-project.net/energy/statistics/cost.html

大体、原発のコストに高レベルの放射性廃棄物の処理費には電力1kWhあたり0.04円しか計上していないが、最終処分場のめども立っていない状況では、費用を試算すること自体が不可能。
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1504/28/news036_2.html

それに最近では、この最終処分を当初の「永久保存=永久封じ込め」から「未来に再処理=取り出し可能形」にするという話もある。つまり処理方法が決まっていないならばなおさらのこと。これらが(〜)の意味するところ。 原子反応は化学反応と違い物理的現象。化学変化してもエネルギーは変らない。

逆に言えば元素転換をさせない限りエネルギーの放出は物理的計算通り数千万年、核種によっては数億年にわたって管理しなければならないということ。 人類の歴史をはるかに超える期間、人類が管理できるとの楽観性はどこからくるのか!! 

廃棄物処理のロジックは科学的にも破綻しているとするのが私の結論。



『唐から見た遣唐使』2
遣唐使の構成員は造船都匠や船匠といった大工メンバーが必ず随行していたとか、中国に着岸した後、現地で待機し、船の修理に勤しんだはずだと。p230

「博多の名前」の由来として、飛騨内匠という人物が唐に渡ろうとして木製の鳶を作り、これに乗って筑前を横切った時、彼を恨むものが矢を放ち木鳶の片羽にあたり、その羽の落ちたところを羽形(はかた)と呼んだ。これが博多になったとのいう話が『広益俗説弁』(AD1715頃)にあるとか。p228

著者によれば遣唐使の生還率は60%だとのこと。p244 この数字がどのように計算されたのかは不明だが、さもありなんと思う。大体、唐王朝が許可した人員(費用は唐王朝が負担しので)よりも派遣人数ははるかに多く、一部が遭難することは計算の上だったのだから。
0

2018/1/27

「死」についての覚書  試行,指向,志向、思考

西部邁氏の死について色々議論がなされている。過去logを検索すると彼を「Jargonを多用し、知性を見せびらかして、人を煙に巻く」として批判している。
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/4477/trackback

そして今回の彼の「自死」にも共通するものを感じた。故人を直接批判するのは避けたいので代わりに1つのエピソードを書き記す。

ある僧が語った言葉に

『人は野垂れ死を忌むべきものとするが、逆に自分の「死」に意味を持たせようとすること自体が傲慢である』 

正確にどのように述べられたかは記憶が定かではないが、意味するところは共感できる。
1

2018/1/27

物は考えよう & 『唐から見た遣唐使』  お勧めの1冊

<物は考えよう>
所得代替率という言葉を知る。これは現役世代の「手取り収入」の何%を65歳段階で年金として受け取れるかを示す指標。
http://www.mhlw.go.jp/nenkinkenshou/verification/index.html

前回、所得で計算すると年金額が1/4にしかならないとしたが、月々の手取り(ボーナス含まず)で計算すると50%程度、標準の60%より低いがこんなものなのだろう。平均より低いのは未払い時代がある為でこれは自業自得。こうしてみると定年を迎え周りから、「これからは悠々自適ですね」だとか云われるがとんでもない、これが日本の年金生活者の実態だ。
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/5201/trackback


…大変だとも思うが、それはこれまでの生活の延長で考えるから。別の人生のスタートだと思えば、「何とでもなる」という妙な自信もある。



『唐から見た遣唐使』
「副題:混血児たちの大唐帝国」王勇著、講談社選書メチェ125、2005年初版。

当時の唐の都、長安の人口は100万、外国人は数万〜十数万とも。 p6 とてつもない国際都市。著者は当然、混血児は多かっただろうという。ただし唐の法律では唐人の妻子を故国に連れ帰ることは原則できなかったとも。(例外はもちろんいる)

この中で著者は還俗僧の弁正、円載。遣唐使でありながら唐女と結婚した藤原清河、藤原貞敏。それに加え史実には独身となっている安倍仲麻呂も唐人の妻を娶ったであろうと様々な状況証拠をあげて論じる。p44 著者は、仲麻呂を玄宗皇帝に引き合わせたのは先の還俗僧の弁正ではないかと推察している。p75 

著者はこれら留学僧が様々な理由で還俗し、円載にいたっては「破壊僧」とまで円珍に誹られるが、それぞれの個人的理由とともに背景にある唐王朝の社会変動も考えなければならないという。それはそうだろう。p128

円載については佐伯有清著の『悲劇の遣唐僧:円載の数奇な生涯』 に詳しい。
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/3438/trackback
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/3440/trackback

唐の宮廷音楽には「倭国の国楽」というものがあることが「唐書・音楽志」に記載あれているが、これはその前の「隋書・音楽志」から引き継がれたものらしい。p60 また文献中に日本舞女の献上があるらしくここから女性の舞女も唐にきたようだ。p62
0

2018/1/26

『中日文化交流史話』  お勧めの1冊

ここで述べられるような「先制攻撃」がいくらトランプ政権でもすんなり受け入れられるとは思えないが、このままでは対米強硬派の戦略核保有国が存在することになる。それを黙って指をくわえてみるのか?
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180110-00052040-jbpressz-int&p=1

むかしイスラエルはイラクでやったよね。
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/5204/trackback


<家計簿>
数日前から家計簿をつけ始めた。人生初めてのこと。理由は先日、年金が思いの外少なく、現在の所得の1/4以下であることが判明したから。 
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/5201/trackback

これで貯蓄や退職金に手をつけず、年金だけで生活するとするなら(これまで、そのつもりだったが…)。これは大変なことだと気がついた。それでとりあえず現時点で1ヶ月どれだけのお金を使っているのかを把握しておく必要性を感じた。これまで、考えたこともなかったので、随分いい加減な生活をしてきたものだ。 実際につけてみると意外と色々出費していることが判る。退職すればまた生活が代わるので出費の度合いも変わるだろうが、現時点での状況も知る必要がある。



『中日文化交流史話』
王晓秋著、日本エディタースクール出版部、2000年初版。
遣隋使は4回(AD600〜614)

遣唐使は3つに分類する。
1)AD630〜669 船は1〜2隻で朝鮮沿海路を進み、構成員は100〜200人
2)AD702〜752 船は4隻、南東路で500人
3)AD759〜894 衰退期で航路は大洋路 p28

安倍仲麻呂は唐朝の戸籍を取って科挙の進士になり、p39  AD770、73歳で長安で死去する。 p49  一方、空海が派遣されたのはAD804で、p62 空海は仲麻呂の死後に唐の地を踏んだことになる。其れゆえ、2月公開のKU–KAI(中国名『妖猫伝』)は虚構ということが判る。
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/5182/trackback

鑑真の最初の試みは違法により頓挫したらしい。p53 以下5回にわたり失敗、最後は帰国する遣唐使の船に乗船し日本の地を踏むことができた。p56

訂正:
ちゃんと夢枕漠著の『沙門空海唐の国にて鬼と宴す』を読むと本の中で安倍仲麻呂が唐についたのは「88年前である」 と書いてある。2巻のp149  つまり、空海と安倍仲麻呂は出会うことはないことがわかる。 間違い訂正。
1

2018/1/25


<別の視点から>
朝通勤中の車のラジオで「クローン猿誕生」のニュースを聞く。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180125-00000004-asahi-soci

早速Cellのホームページで確認。要約だけは誰でも以下のサイトで読めるはず。
http://www.cell.com/cell/abstract/S0092-8674(18)30057-6

要約を眺めただけが、とりたててのことが「発見」されたわけではない。大昔のクローン羊、ドリーの時の衝撃はない。今では牛や馬は勿論、確か犬猫もロストペットのクローン再生がビジネスになっているような汎用技術。

もちろん幾つか技術的な知見(脱メチル化やヒストンの脱アセチル化がポイントであること)はあるが、いずれも大したものではない。それでも霊長類ということでCellに載ったのだろう。ちなみにCellには何度か投稿したことがあるが、一度もacceptされたことはない。Impact factorは30を超える超有名誌。他にはNatureの38とScienceの33しかない。
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/3474/trackback
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/3466/trackback

要約:Generation of genetically uniform non-human primates may help to establish animal models for primate biology and biomedical research. In this study, we have successfully cloned cynomolgus monkeys (Macaca fascicularis) by somatic cell nuclear transfer (SCNT). We found that injection of H3K9me3 demethylase Kdm4dmRNA and treatment with histone deacetylase inhibitor trichostatin A at one-cell stage following SCNT greatly improved blastocyst development and pregnancy rate of transplanted SCNT embryos in surrogate monkeys. For SCNT using fetal monkey fibroblasts, 6 pregnancies were confirmed in 21 surrogates and yielded 2 healthy babies. For SCNT using adult monkey cumulus cells, 22 pregnancies were confirmed in 42 surrogates and yielded 2 babies that were short-lived. In both cases, genetic analyses confirmed that the nuclear DNA and mitochondria DNA of the monkey offspring originated from the nucleus donor cell and the oocyte donor monkey, respectively. Thus, cloning macaque monkeys by SCNT is feasible using fetal fibroblasts.

さて、これが倫理的に許される実験なのかどうかでニュースで議論が沸騰していたが、冷静にみてヒトで行われたわけではないので個人的には問題ないと思う。勿論、霊長類だからその先に <ヒトへの応用> が見えるわけで、それでの議論と考えたほうがよい。それでもどうだろう? 日本ではやはりストップがかかる事案かもしれない。


<本題>
ところでこうした議論の中には、この実験が中国でなされたことで色々中国故?の批判がなされていたが、それは少し色眼鏡過ぎないか? 中国でもこうした実験をする場合は実験動物委員会のみならず、倫理委員会に申請してその許可を受けないと実験そのものの許可が出ないはずだ。特にこの研究所は (CAS key Laboratory of Primate Neurobiology, Chinese Academy of Science, Shanghai)は国家的組織なので当然だ。
http://english.cas.cn
これについては共同研究者がこうした問題を毎回クリアーさせていることを知っているので断言できる。

過去、そのような規制がなかった時期があり。非人間的実験や非倫理的実験がなされた歴史がある。中には歴史的な倫理観の変化があり、すべて批判できるものばかしではないが、それらの反省からそうした規制が中国を含む多くの国で設けられた。 

過去にはロボトミーや脳死判定を行わずに実施された臓器移植など問題があるとされた実験は沢山あるが、これらはいずれも中国で行われたわけではない。つまり「中国だから」というのは間違っている。それでもそれぞれの社会で倫理観、宗教観が異なるので違いは出てくる。特に中国は宗教色がない分、ややドライかもしれない。

さてここで、少し別の側面からこれを見て見たい。それは先に書いたようにこの論文に果たしてCellのような超有名誌に載せるだけの価値があるかという点。個人的にはそれはないと思う。ではなぜこの雑誌は載せたのか? それはこの論文が世界中の注目を集めるからだ。つまりアクセス数が稼げる。それでますますCellという雑誌はImpact factorが稼げるというわけ。ちなみにこの雑誌はアメリカのMITが発行している(訂正:よく読んだら、 今はElsevier と提携しているようだ)。
http://www.cell.com/about



こうした論文を世界の有名誌が「載せる価値なし」と判定して載せなければこのようなキワドイく、お金の掛かる実験*は今後されることはないだろう。 これを商業主義が原因というのはこれまた別の色眼鏡になるのだろうか?

*霊長類で実験をするというのは膨大なお金がかかる。
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/2173/trackback
1

2018/1/25

『上海』3  お勧めの1冊

今月になって3度目の米軍機のトラブルだとか。
http://www.sankei.com/politics/news/180124/plt1801240009-n1.html

これに対し、「管理体制ができていない」との批判だけが正面に出てくる状況は「ちょっと違うのではないか?」と思ってしまう。事故が最近特に多いのは「北朝鮮情勢関連の訓練が高まっていることの証左ではないか?」との反応が何故出てこないのか不思議だ。

「当事者能力がない」と知事は云うが、知事は国防の当事者ではないから言える言葉だと感じてしまう。 
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/5168/trackback


『上海』3
500ページ近いこの本も1/3近く読み進んでみたが、そろそろ限界かな?と感じ始めた。確かに読み易いのはインタビューを中心にしたもので流れていくし、時折挟まれた昔の写真も興味深々だが、それでも歴史書ではない。20世紀前半の上海の「背景にあるものが今ひとつ見えてこない」といえば酷だろうか? インタビューはすでに80代以上の老人(原著が出版されたのが1991年)ということもあろうが、その記憶は擦れ、どれほどの真実が詰まっているのか疑問に感じることもある。これはこの本がインタビュー記事を中心に書かれたものでそれ以外の文献資料が引用されないことも理由の1つ。

当時(1927年頃)上海の共同租界だけでも700軒近い売春宿があったとか、有名な医学誌ランセットの当時の論文にこの地で性病にかかった兵士の数の方がインフルエンザにかかった兵士の数より多かったとの報告があるとか。p113 慰安婦問題での日韓合意のその後についてニュースがこのところ騒がしいが、これが「現実」だというと叱られるだろうか? もちろん、現在の倫理では非難すべき事柄であることには間違いないが、歴史を抜きに正論を唱えても虚しいように感じる。

ここで上海の有名なマフィア、杜月笙(Du Yue Sheng)が登場する。
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/1731/trackback

意外なことに彼は同じ青帮(Qing Bang)の一員であった孫文と親交があったとか。p124 彼が蒋介石とつるんで悪行の限りを尽くしたという話しは聞いていたが孫文とも親交があったとは知らなんだ!

著者は云う、

『同じ思い出話しを長年繰り返しているうちに、周辺の出来事はすべて削り取られてしまったのである。磨き上げられた記憶は、事実よりも神話に近かった』p182

そうなのだ、話し手自身が「真実なのか、当人が作り上げた物語なのかも次第に曖昧になっていく」ことはよくある話し。そうした物語にいつまでも付き合うのはそろそろ時間の無駄だと感じ始めたところで、この本を閉じる時が来たことを確信した。
0



teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ