2020/10/5

『貧乏人の経済学』7  お勧めの1冊

<衝撃のニュース>
トランプ氏がコロナに感染したとのニュース。ここ48時間が山だとも。彼は嫌いだが、ここは1日も早く回復し元気になってもらいたい。彼はアメリカの大統領であるだけでなく、世界最大の国のリーダーなのだから。



<『日曜討論』を聞きながら感じたこと>
ソフトパワーにおけるアメリカの失墜(と中国の躍進)。
(1)コロナ対応の失敗(中国と対照的)
(2) 人種差別の激化(古く新しい問題)
(3)自国第一主義(国際協調からの離脱)
(4)民主主義力の低下(大統領選の劣化)



『貧乏人の経済学』7
出生率の時系列的減少は診療所の増加(=家族計画支援事業を行う=避妊具や避妊薬提供)とは直接影響しない。p156 サプライサイド(―点)デマンドサイド(+点)つまり、いくら機会を提供してもそれでは事は進まないということ。

妊娠の選択はコストの大半を背負う女性がどれだけ発言力を持っているかで決まるという結果があるらしい。つまり女性の仕事や離婚の自由など。p162 

こうした結果はToddの女性の「識字率」が「出生率」を決定するという結論と矛盾しない点に注目したい。またこれは貧しい人々が子供を保険として(将来親を助ける)いることにも言及し、その例として中国を挙げている。「一人っ子政策」があったこの国で高齢者の半分以上が子供と同居していると。p166 また「一人っ子政策」前後で貯蓄率が10%と高くなり、特に第一子が女の子であった家庭にこの貯蓄率の上昇が大きいとも。ここらは納得できる点。p167

第2部の「制度」では、様々な制度についての冗長な記載が続き、少し退屈。ただこの中でアメリカのクレジット会社の金利が悪名高い(年率20%)ことを指摘しているが、貧困国での貸金業の金利はそれ以上に高いとも。p213

<マイクロファイナンス>
ここで貧しい人々が何故、高い金利の借金をするのかの説明がある。それは返済不履行のリスクが高いことと、小口であるから手数料が高くかかるのでその分金利は増すから。そこで考案されたのがマイクロファイナンス。

成功の鍵はお互い知り合いのグループに対して融資を行うという点=共同責任制。p221 また意外なことに、返済方法の柔軟性を排除し返済を簡単に確認できる形にしたこと。つまり伝統的な金貸しだと返済方法が多様でそれに対応しないといけないので全体的コストがかかる。p222

つまり、1)連帯責任と2)グループで纏めて利息を払うので全体的コスト削減が図られたということらしい。1)についてもお互いが知り合いなので村の社会的ネットワークを使い悪質な借り手に圧力がかけられるということらしい。さらに付け加えると、3)融資担当者は成果主義=顧客数と返済率で給料が決まる。こうしてみるとグラミン銀行が貧しい人たちへの融資でノーベル平和賞を受賞したという表面向けの理解とは異なり、綺麗事だけではない現実的な手法を使ったものであることがわかる。

<マイクロファイナンスの限界>
マイクロファイナンスの年利は60%で、これはクレジット会社による289〜800%より格段に低い。p223 それでも本質的弱みを持つと著者はいう。それは連帯責任制で他人のことをとやかく口出ししたくない人は参加せず地元の高利貸しに借りるし、参加者は知らない人を入れたくない。p231 

また必ず週の返済の完済を強制する為に時間のかかる、あるいは中規模の投資には向かない。また返済を強要して自殺者が出たりすると政治問題化し組織自身の存続が危うくなる。つまり「返済しなくてよい」という誤ったシグナルを一旦だしてしまうと。自体は負のスパイラルにはいる。事実そのような例があったようだ。p225 

なお、連帯責任制の効用については「顔を合わす」というのが重要だとの結果がでている。毎週でなく毎月になると社会的結びつきが十分形成されず債務不履行の比率が高まる。p233

結論としてマイクロファイナンスの仕組み自身に限界があり、次の事業への足掛かりがなかなかそれ自身では提供できない。中規模投資への、銀行投資への橋渡しが重要だと著者らは考えているようだ。p241




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