2006/3/2

享受し、またそれに苦しむ  お勧めの1冊

『スペインとイスラム;あるヨーロッパ中世』サンチェス・アルボルノス著、八千代出版。著者は歴史学者として、政治家として多難なスペイン内戦期(1936-39)に2度の亡命を経験した人物。書かれたのは1928-30年にかけてで、今から70年以上前。

意外にも、最後の『中世とアメリカの事業』が一番読んで面白い。著者はレコンキスタからアメリカの植民地政策が同じ「心性」のもとに行なわれた歴史的事業、そしてスペインにとってその後の歴史を決定する「悲劇」の事業だと考えている。これは他の多くのスペイン史、ラテン・アメリカ史の研究者に共通する認識。

現代の視点からみると色々批判の矢面に立ちそうな内容であるが、歴史学とは常に現代を見る鏡であるということを示し、その意味で価値のある本。 下記の一文がそれに対して紹介する文に最適かもしれない。

『…私の作品も、将来修正を余儀なくされることだろう。すべての歴史の専門書は、その修正を享受し、またそれに苦しむものである。 歴史が永遠の生成と死ー新たな生を与える死ーの学問である以上、それに似せて、それにかたどられて生まれた実りも、同様の輪郭を持っているのである…』p103-4
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