2006/3/4

『原理主義とは何か』  お勧めの1冊

本の題名は別(現在不明)。多数の著者による本の一部でこの章の著者はあの E・トッド。 彼は前者の中でイスラーム原理主義を「近代性への過渡期のイデオロギー」とし、その近代性を測る指標に各国の出産率を用いる。彼は歴史家として、世界史を進展させる真の要因は識字率と受胎調整であるとし、そこからイスラーム原理主義の真の意味は人口学的移行期の危機であると論破する。

『大衆識字化と受胎調節はともに、テレビのニュースで伝えられる世界の動きとは異なって、実に心強い世界の歴史の姿を描き出してくれる』p58 とも述べる。

その他(人種間の)混淆婚率とか本従兄弟間における婚姻率、乳児死亡率、あるいは貧富各層における所得の推移、殺人率・自殺率等々。およそこれまで歴史学ではあまり見なかった数字をもとに大胆に切り込んでいく。 

彼のこれらの大胆な解釈や予言は2つの単純なパラメーター。即ち、識字率と出生率で世界の情勢を説明可能であるとの確信からくるのでしょう。確かに非常に面白いし、現在の世界情勢を縦横無尽に切り込む手法は流石アナール学派を生んだフランスの史学の伝統でしょう。このような考えには当然厳しい批判があることでしょうが、注目すべき人物だと思った次第。

その他面白かった点では、『内部的普遍主義の後退』の章で、アメリカの心性システムが三人種制になってきているとし、白人、黒人、に加えヒスパニック(ラティーノ)を新たに挙げている(アジア系等は白人の中に含まれる) 彼はその根拠として出産率に加え、混淆婚率(異人種間結婚)を取り上げる。特に注目するのは若い世代での低下。55歳以上12.6%、35〜54歳 19%、25〜34歳 17.2%、15〜24歳 15.5%、社会学者にとって未知数だと前置きしながらもアメリカでのラティーノが別の集団を構成すると結論している。

これは私にとって、とても意外な結果。何故なら私の印象ではラティーノはもうすぐメジャーに仲間入りすると思っていたから。 ところがこの結論は彼独自のものではない、あの『文明の衝突』の著者、ハンチントンの新作『分断されるアメリカ』でも同じようなことが述べられている様子。ハンチントンとトッド、全く正反対の考え方を持つ2人がこの件については同意見なのは注目に値する。
0



トラックバックURL

トラックバック一覧とは、この記事にリンクしている関連ページの一覧です。あなたの記事をここに掲載したいときは、「記事を投稿してこのページにお知らせする」ボタンを押して記事を投稿するか(AutoPageを持っている方のみ)、記事の投稿のときに上のトラックバックURLを送信して投稿してください。
→トラックバックのより詳しい説明へ



teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ