JRは神戸の街を長い高架線で横切っていきますが、その高架鉄道の下を刳(く)り抜くようにして、ウナギの寝床みたいな商店街がうねうねと続いています。
戦後の闇市時代に猛烈なにぎわいを見せた特異な商店街で、もうそんな時代ではありませんが、それでも神話時代の痕跡をまだ端ばしに残しているような空気があって、これが魅力でもあるのです。
その高架下の一角で現代美術の展覧会が5月25日(日)まで開かれています。
「地力.U―ARTイマジネーションin KOBE モトコー2008」です。
神戸で制作を続けている美術家の宮崎みよしさんが企画して、たくさんの作家が参加しています。
一昨年は都心の倉庫を利用して第一回展をしましたが、その場所(土地)が隠し持っている潜在的な力を美術のワザで呼び覚まそうという試みといっていいでしょう。
いつもどデかい作品でみなを驚かす國府理さんは、飛行機のプロペラや車のボディや鉄材を組み合わせたインスタレーション「ROBO Whale」(ロボット・クジラ)を出しています。
ソン・ジュンナンさんは、女の顔を花にした草花(造花)を、まるで苗代で育てるイネのように、二階の暗がりにぎっしりと植えました。
高浦邦彦さんは「ちくわ製造中」と題して、発光する樹脂のちくわを林立させ、それらがユラユラとうごめくさまは、イソギンチャクの触手のように美しく、かつ不気味です。
高架下という独特の環境が、作家たちの想像力をどんなに強く揺すったか、それがよくわかる展観です。
神話時代の商店街のエネルギーが底に生きているのでしょう。
会場はJR元町駅または阪神元町駅下車。西口を出て、元町高架通商店街(通称モトコー)に入って、西へ徒歩5分。山側。電話078.366.0536(リ・フォープ)
(注)関連記事をSplitterechoのWeb版にも掲示しました。お立ち寄りください。=5月24日

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