紅葉も見ごろになりました。朝夕は本当に冷えます。風邪も流行っているようで、予防のためには外出時はマスクが手放なせません。
今晩はフランス歌曲の演奏会。おかげ様でお客様もたくさんいらして下さるようです。楽しんでいただけるよう、本番までしっかり調整しようと思います。
思えば、フランス歌曲との出会いは20代後半、特に興味を持ち出したのは、須江さんのパリ留学時代の友人のテノールが、デュパルクの「旅への誘い」を歌っているのを聴いてからです。それから、どん欲にただただフランス歌曲を聴きまくりました。そして、辿り着いたのが、プーランクでした。録音はプーランクのピアノで、ベルナックが歌っているものでした。鳥肌が立つと言うよりは、とにかく楽しい!・・・そんな印象でした。
そして、俗っぽいっと言われるかもしれませんが、『愛の小径』は何度歌っても特別な感情に包まれます。これまでは、芸大出身らしい発声で、演歌みたいにならないように歌ってきました。
でも、この作品に限っては、私のこれまでの恋愛経験を、人生経験を盛り込んだっていいんじゃないかって思うようになりました。人生のすべてが過去のものとなるのであれば、この思い出も消え去ってしまうのであろうか?でも、あなたに愛され、熱い手のぬくもりを感じたあの日のこと、他のどんな愛よりも強く心に刻み込んでおきたい・・・。
架空の映画の1シーンとしてではなく、「私自身」のこととして歌ってみたい。ちょっと恥ずかしいけれど・・。
あ、「愛の小径」はアンコールで歌うんだった。でも、私のお客さんは、もう、定番になってきたのでご存知ですね。でも、プログラムの作品は感情移入みたいな主観性に偏った演奏はしません。(感情移入して歌うのは、お酒を呑んでカラオケで歌うときだけでしょ!)今晩も、作曲家が記した音楽と、詩人が心の思いを言葉に綴った詩の世界を、須江さんのピアノに、私が感じたイメージを声に乗せて表現したいと思います。
どうぞ、あたたかく見守っていて下さい。