おととい感染症で開いた傷からは、予想以上に浸出液が出てきました。人工骨には抗生物質を馴染ませたものを使ってもらったのですが、やはり私の身体は正直で、人工物は排除しようと頑張っているみたいです。
今後の経過次第ではあるけれど、今週末の退院は延期になりそうです。でも19日のコンサートには外出許可をもらって出演予定です。主治医からもOKをいただいています。
さて、同じ病棟の患者さんに、がんと闘病して16年になるという男性がいます。話を伺うと色々な体験をされていて、数ヶ月前には、危篤状態が3週間続いたとか。
でも、今、顔を見ると、そんなことがあったとは想像できないぐらい顔は色艶もよく、目に力があって、男らしい感じ。
話を聞いていると、考え方がとてもシンプルでかっこいいな、と思いました。『前向き』とはちょっと違う。
美しいものは、一見複雑なようでシンプル。逆にシンプルに見えて、実は複雑。ポイントは『シンプル』ということかな?
私の目標としては、作品の内容をできるだけ引き出す努力をして、それをシンプル(研ぎ澄まされた状態)に歌い、あとは聴き手であるお客さんの心で育んでもらえるような演奏をしたいな、と考えています。
つまり、シンプルとは、『簡素な』ということではなく、『研ぎ澄まされた』ということなんだと思います。同じ病棟のあの男性がかっこよく感じるのも、様々な経験を踏まえてシンプルな考え方になったのでしょう。
すべてがシンプルな考えであればいいというのではなく、そういう部分も必要なのではないかな?と、入院生活のヒントにしたいと思っています。