今日は芸大時代の同期のアベくんの結婚式、披露宴に出席しました。お天気にも恵まれて、気持ちのよい挙式でした。
彼との出会いは、2年生の時、作曲科が歌曲の課題で審査があったのですが、その時、たまたま、彼の作品を歌うよう知人から依頼されて、引き受けたのが最初です。
その時の作品は、八木重吉の詩に曲が付けられていて、いかにも「芸大生」というような、無調で現代風でしたが、歌い手のことも考慮されている、親しみやすいものでした。それから、縁があって、次々とアベくんの作品の初演に関わりました。
彼は、今年で30歳ですが、出会った時から全然変わらず、今どきめずらしいぐらいの純粋さを漂わせています。類は友を呼ぶと言いますが、式に参加した彼の友人も、皆、心の優しい方々ばかり。(毒のかたまりのようは私とは大違い。)ご両親もお祖父様お祖母様も穏やかな感じ。いいDNAが受け継がれている…。
ちなみに私は、争いを好まず、和を大切にしているはずなのに、いきなりキレて周りをビビらせる父と、基本的には優しいみたいだが、末っ子特有のわがままと、言いたいことをはっきり言わずにネチネチと態度で示す母のDNAをしっかりと受け継いだ。
話がそれてしまいました…。今日の披露宴では、新郎新婦のお二人から、中島美嘉さんの歌った「雪の華」をリクエストされていたので、歌わせて頂きました。この曲を歌ったことがある人は分かると思いますが、とにかく難しい。11月5日のリサイタルが終わってからは、この曲ばかり練習してました。退院してから、どんなに体調が悪くても1日に1回は歌い、寝起きと就寝前にはベッドの中で暗譜練習をしました。
ピアノは同じく芸大同期の作曲科出身の新倉くんが弾いてくれました。彼とも7年ぶりの共演。先週、合わせで彼のお宅に伺ったのですが、ピアノの置いている部屋で、「アカンサス賞」の賞状を見つけてしまいました。この賞は、「芸大首席卒業」の証。(昔のレコード大賞受賞みたいな重みがある。)
色々な方の経歴に「アカンサス賞」という文字を見たことがあったけれど、賞状を見たの初めて。「新倉くん凄いね〜。凄いよ〜。凄いわ〜。凄い!」って連呼していたら、「まぁ、紙切れひとつですけどね。」サラリとひと言。やっぱり凄いひとは、実力や経歴をひけらかしたりしないもんなんだなと、感心してしまいました。確かに、超お金持ちのHくんも、その凄さをひけらかしたりしないもんな…。
今日は、「雪の華」の他にサプライズで、アベくんが学生時代に作曲した「Only you」という作品も演奏しました。喜んでもらえたようでした。作詞をしたアベくんの友人も式に参加していたので、皆でアベくんへのお祝いができたので、私にとっても、いい思い出になりました。
また、同じテーブルで、お隣の席には、芸大作曲科教授O高先生ご夫妻もいらっしゃり、緊張もひとしおでしたが、O高先生は偉ぶったりせず、温厚で、案外普通のひとだったことと、「雪の華」を拍子をとりながら、うなずいて聴いて下さったのも印象的でした。凄いひとというのは、やっぱりそういうものか…と納得。
今日はアベくんのおかげで色々な思い出ができました。そして、純粋な彼から、私の中の「純粋」を引き出してもらえたかのような気持ちになりました。
ありがとう。