2015年3月に書かれた『存在を消された車両』記事に関する後日談。
東日本鉄道との相互直通運転廃止後、動きがあった。
9000系10連2本と8000系10連2本(8007F及び8008F)が湘南藤沢工場に自力回送された。
到着後、8007Fと8008Fは編成解除、4両目と5両目につながれたダブルデッカー、そして6両目と9両目の中間付随車が外された。外された後の編成は、残りの車両で6両編成を組成して出場した。8000系2編成から外された中間付随車は東静車輌工業相模工業所建屋へ搬入され、何やら改造工事が開始されていた。
9000系10連2本に至っても到着後、1両目〜3両目と6両目〜10両目に分割され、中間付随車が抜き取られた。ここから先の編成を組み換え作業が根本的に違う。
9000系の4両目と5両目には、先述の8000系から外されたダブルデッカー、6両目〜10両目の車両もそのまま連結。もとをただせばダブルデッカーは、数年前の組み換え前は、各9000系10連の編成に組み込まれていたものであり、9000系の編成は組み換え前の状態に戻ったのであった。

9000系は組み換え後、簡単な検査後に出場。後に試運転を行い、運用に復帰している。
それから1週間後、同じように8000系10連2本が湘南藤沢工場に入場した。
この2編成は到着後に両端先頭車を外されると、入れ替わる形で違う形状の先頭車が連結された。

その先頭車は、長らく湘南藤沢工場内で保管されていた7000系ステンレス試作車の先頭車であった。組み換え対象となった8000系2本のうち中間電動車ユニットについては、元々7000系ステンレス試作車として製造されたもので、この先頭車と編成を組むのは久しぶりとなる。
7000系ステンレス試作車の先頭車は8000系に編入という形で車籍復活し、再び日の目を見ることとなった。その日のうちに出場して試運転を実施。異常も見られなかったことから運用復帰している。従来の8000系と違い非貫通であることから地下線への直通はできないが、元々ダブルデッカー連結の10両編成は自社線及び東静高速鉄道直通列車以外には充当されないために問題がないと判断されている。尚、外された旧先頭車については、背中合わせに連結されて工場構内に留置された。

一連の編成の組み換えの総仕上げは、着々と進んでいた。
8000系及び9000系2編成から外された中間付随車は2両1組の中間電動車ユニットへと改造され、組み換えによって外されていた8000系先頭車と6両編成を組成している。
旧8101Fの先頭車及び旧8007F・旧8008Fの中間車を電動車化したものを連結した8607F、旧8102Fの先頭車及び旧9101F・旧9102Fの中間車を電動車化したものを連結した8608Fの2編成が組成されている。旧9000系の中間付随車は電装時に8000系に編入となったが、8000系と9000系は車体構造などはほぼ同一であり、組んでも違和感はない。
この組成によって登場した6両編成は、総馬電鉄との相互直通運転開始に伴い、直通運転に対応できる編成を揃えるためのもので、併結相手の4両編成は新たに東静車輌工業沼津工場で新造された。組成後に試運転を実施した後は、一時的に単独で運転開始されていた。しかし、一般形車両を用いた直通列車の運転開始に伴い、6両+4両の運転も開始されている。
何度か行われた、8000系及び9000系の編成組み替えはカオスを極めたが、ひとまず決着が図られている。現状、この時に製造された8000系4連4本が、現地点で京神急行電鉄8000系で最初で最後の、東静車輌工業で製造された事例となる模様。東静車輌工業の関係者曰く『東静高速鉄道11000形の姉妹車両であり、カラー以外はほぼ同一。製造面で苦労はなかった』とのこと。
現在、東静高速鉄道では愛姫シティーライン直通列車用の12000形車両の製造を打ち切り(元々愛姫シティーラインAL-5形と同一設計であったが、同社が都名電鉄に吸収されてしまったために、現場ではあまり人気がよろしくない12000よりは、12000以外の既存形式の4連を導入した方がいいという考えがある)、追加増備を予定している11000形8連と並行して、短縮した4連の導入を検討している。

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