2005/3/31
職場に転がっていた無料の新聞「metro」に面白いことが書いてあった。スウェーデンの若者の間で頬にキスの挨拶をする(同性異性にかかわらず)のがちょっとした流行りになっているという。確かに街中で「あらー久しぶり!!」と女性同士が両頬にチュッとやっているのを見て「えっスウェーデン人が?」と思った経験がある。
スウェーデンでは会えば握手か抱擁するのがふつうで、頬にキスというのは「ヨーロッパの習慣」だったのだが(いまだに「自分たちはヨーロッパ人ではない」と思っている人は少ないけれど存在する。)、スウェーデンもだんだんヨーロッパ化してきたらしい。
と言っても、ロシア人やイラン人もよくキスで挨拶をしているから、単にヨーロッパ化といっていいのかどうかわからない。

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2005/3/29
日曜日から夏時間になり、午後の日差しはますます明るくぽかぽかと暖かくなってきた。とは言え家から一歩出ると日陰は5度ぐらいだったりするので着る物には気をつけなければならない。
きのう、連休最後の日に家にお客を迎えてお茶を飲んでいたとき、空から金属質のラッパのような音が響いてきた。大陸から渡ってきた鶴の声だ。
「来たっ!!」と窓に向かって一同ダッシュ。30羽近い群れが隊列を組んで北を指して飛んでゆくのが見えた。一応カメラに収めたのが下の写真。
鶴たちは毎年ドイツのほうからやってきてスウェーデン北部にある湖に向かい、そこでデートをし結婚して子育てをし、秋に子供を連れてまた南に向かう。この辺に降りて子育てをしようかと思う鶴はいないらしく、私は毎年はるか上を通過して行く彼らを地上から眺めるのみだ。
ともあれ、鶴がやってきたというのはまぎれもなく春だ。


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2005/3/28
ポスク(復活祭)の連休も今日で終わり、明日からはまた普通の毎日に戻る。
先週、新聞社が子供にインタビューしたポスクに関する記事が載っていた。
記者「ポスクの時たのしいのはどんなこと?」
子供1「卵に色をぬること!」
子供2「イースターエッグを探すこと。」
子供3「ウサギとか卵をかざること。」
子供4「魔女の格好をしてキャンディをもらいに行くこと!」
子供5「うーんと、サンタクロースが来ること。」
子供5はどうもクリスマスが来ると思いこんでいたらしい。
ポスクの主役は何と言っても卵だろう。中身を抜いた卵の殻に色を塗って飾ったり、卵型の容器にキャンディが詰まっているのを家で探して遊んだりする。
街中の木にまで巨大な卵がぶらさがっている。

それから、女の子達はドイツの山に飛んでいったとされる魔女に扮する。おてもやんのようにべったり頬紅を塗った上に黒い斑点をつけ、頭巾をかぶって近所を訪問して、卵に見たてたゼリービーンズみたいなものを配り、かわりにおこづかいやお菓子をもらう。
かつてこの習慣を知らなかった私は5年前のポスクにちび魔女の訪問を受け、ゼリービーンズを貰うだけ貰って何もあげずに「ありがとう。バイバーイ」と追い返してしまったという苦い思い出がある…
いずれにしてもあまりキリスト教と関係のない日々だった。

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2005/3/27
今日は復活祭(Påsk)。スウェーデンではクリスマスにも復活祭にも夏至祭にも同じような料理が出される。それはにしんの酢漬け、ゆで卵、肉団子、小さいソーセージなどで、あまりハレの日らしいゴージャスな感じはしない。
にしんの酢漬けは瓶づめやお店の惣菜コーナーで色々な種類のものを買うことができるが、できあいのものは日本人の私にはちょっと甘みが強すぎるので今年は自分で漬けてみた。
まず濃い酢、砂糖、水を煮てさましたものにおろしたにしんを丸一日漬ける。次の日にスパイス(胡椒やオールスパイスなど)、玉ねぎ、ディル、月桂樹の葉などを加えて漬け直したのが一般的なもので、そのほかに卵黄と酢と油に好みのハーブやからし、にんにくその他を入れて漬けるマヨネーズっぽいタイプのものもある。一応一番よくある玉ねぎ入りのものと、うちの田舎で育ったタラゴンのタラゴン酢を使ったマヨネーズ風のものを作る。
もうちょっと塩をきかせてもよかったかな…保存容器は大昔にソウルで買ったキムチ用。


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2005/3/26
本日の気温(野外、ただし日向)…15度。
やっとここにも春がやってきた。
わが家のクロッカスも大喜び。


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2005/3/25
今週は復活祭休暇で小学校から高校まで(大学も一部)休みで、勤め人も有給休暇をとったりするので月曜日からバスが空いていた。
復活祭(スウェーデン語でポスクpåsk)関連のカレンダーは暦の関係で毎年変わる。今年は今日3月25日が聖金曜日(Långfredag)になり、偶然「ワッフルの日 våffeldagen」と重なった。「ワッフルの日」の起源は人に聞くとみんな違うことをいうので定かではないが大天使ガブリエルの受胎告知と関係があるという説(聖母マリアを指すVår fruがなまってワッフルになった、という苦しい説明)が新聞に載っていたからそれが正しいのかもしれない。ともあれ、ワッフルを食べる日とされている。
スウェーデンのワッフルはイーストは使わず、粉、卵、牛乳、溶かしバターを混ぜて焼くだけの簡単なもので、それにジャムと生クリームをつけて食べる。生地に砂糖は入っていないからサワークリームとスモークサーモンという組み合わせもできる、と新聞にレシピが載っていたので「こういうのもやってみようか」と相方に見せてみたところ邪道であると却下される。
スウェーデンのHusqvarna社製のワッフルアイロン。古いので焼くのにやや時間がかかる。


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2005/3/22
余ったひき肉でCevapciciを作る。
Cevapciciというのはハンバーグのタネに辛目のパプリカ粉他をくわえたものを細長い肉団子にしたような旧ユーゴの料理で、屋台ではそれをピタパンのようなパンに玉ねぎなどといっしょに包まれたものがよく売られている。ピリッとしておいしい。ジョナサン・キャロルという人のホラー(ファンタジー?)小説にもビールのつまみとして何回か登場していた覚えがある。たぶん彼は旧ユーゴに行った事があるのだろう。
私がスウェーデンに来て移民のためのスウェーデン語コースに通っていた頃(99年)学生の3分の1ぐらいがバルカン半島出身で、とくにコソヴォやアルバニア、ボスニアからやってきた人が多かった。ベオグラードの空爆が始まった頃はみんな廊下で話しこんでいてスウェーデン語の授業どころではない状況だというのがはたから見ていてもよくわかった。
といってもバルカン半島からスウェーデンへの移民の歴史はもっと古い。チトー大統領が生きていた時代から出稼ぎ労働者としてスウェーデンにやってきて、そのまま居着いた人達が第一世代である。
そういうわけで、私はスウェーデンにいながらスロベニア人の肉屋でサラミやソーセージのたぐいを買い、ボスニア人の屋台でCevapciciにありつくという生活をしている。


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2005/3/20
10年前の今ごろ、私は端境期で言わばタイムカードを押すだけのために○ークヒルズにあるオフィスに通っていた。朝、いつも時間通りに来るバスがなかなか来ないのでおかしいなと思っていたら突然ものすごい勢いで救急車が何台も通りすぎていった。
「これはきっと交通事故だな」と思い、バスを降りてなにやら国会議事堂の方向がわさわさしているのを見ても「あっちのほうで事故があったのか」と解釈していた。それ以上のことが起こりうるという意識というか覚悟のようなものはまるでなかったのだ。もし今あれだけの数の救急車が突進するのを見たら、すぐ「テロ事件?」と思っただろう。
上の話とはまったく関係のないのどかな春の花Vintergäck(Eranthis hyemalis キバナセツブンソウ)。おとなりの花壇では黄色いクロッカスがみごとだが日当たりが今一つの我が家ではスノードロップとこの花だけが開いておりその他はまだつぼみ。


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2005/3/19
相棒と町はずれにある工具センターに行ったついでにヨットハーバーに行く。そこで自分のエンジンつきヨットの修理作業をしているHさんに会えるかもしれないと思ったのだ。
去年スウェーデンに来たばかりの日本人の友達に「Hさんは趣味でヨットを持っている」という話をしたら、「まあ、石原裕次郎みたい!」という言葉がかえってきて大笑いした。(注 彼女は三十歳)確かに日本ではそういうお金持ちの道楽風のイメージがあるかもしれないが、こちらでは金持ちは勿論それにふさわしい船を、そうでない人もそれなりの船を所有することができる。(Hさんは後者に属する。)
バルト海は凍ってしまうので毎年秋が終わると船主たちは船を陸に引き上げて春がくるのを待つ。だいたい5月頃から舟遊びの季節が始まるので、今はそれにむけて船のペンキを塗ったり問題のある個所を直したりする時期だ。並んでいるヨット置き場には作業をする人の姿がちらほら見えた。
残念ながらHさんには会えなかったのでちょっと散歩をして帰る。


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2005/3/17
おととい仕事場のコピー機がこわれた。「えーコピーするものどっさりあるのに」とみんなでぶつぶつ言いながらサービス会社に電話をすると、「時間ができたら行きます」みたいなそっけない返事。
きのうも一日壊れたままで、だれも来ない。私の上司がまた会社に電話を入れ、(この国ではサービスをする方ではなくて困っているほうが電話をしなければならないという常識がある。)「じゃ明日行きます」という返事をとりつける。
そして今日。朝コピー室をのぞいてみたらサービス会社のおじさんが機械を分解しているのが見え、「ああよかった。」と安心する。
おじさんが去った三十分後に書類を持ってコピー室に行くと、同僚がコピー機の前でぼうぜんと立ちすくんでいた。見ると「問題発生 サービス会社に電話せよ」という表示が出ていた。
あのおじさんは、もしかして機械を分解して組み立てなおしただけで帰ったのだろうか。

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