最近なんとなく牛のことが気になっていたところに、またこんなできごとが。
イナカについて作業を始めたところ、相棒が「あっ仔牛だ!」と一つ向こうの牧草地を指さす。オーガニック農家のTさんの牛だ。あの大きさは生後半日も経っていないだろう。前も書いたようにこのあたりは乳牛の農家なので仔牛が母牛といっしょにいるのを見る機会はあまりない。
近くに寄って写真を一枚。かわいい〜
ところが…その後しばらくしてはっと気が付いたら、母牛が仔牛を連れずに遠くに去って行くのが見えた。相棒はこれはまずい、と言う。
相棒と二人でお隣のもと牛飼い夫婦のところに行ってこの話をすると、おじいさんもおばあさんも「それは絶対におかしい」と言う。
「母牛は仔牛にミルクを飲ませていた?」と逆に聞かれて、考えてみると私たちが見ていた間は仔牛はミルクを飲んでいなかった。
「生まれてすぐミルクを飲ませなければ駄目なんだ」「初めてのミルクに仔牛に必要な栄養が入っているから、それを飲まないで放って置いたら弱ってしまう。」と二人は言う。しかし、初めてのお産で仔牛にミルクをやる術がわからない母牛というのが時々いて、人間が間に入って仔牛におっぱいを含ませてやることが時々あるのだそうだ。
この二人の牧場(オーガニックではない)は小ぢんまりとしていて目が届くところに牛がいたのでお産がある時は様子を見に行くのが普通だったそうだが、Tさんの農場はとても大きく、乳牛が400頭もいるので目が届かないのかもしれない。おばあさんがTさんに電話をするもつながらなかったが、結局その時既に仔牛が死んでいたことがあとでわかった。
朝見た時は元気だったのに…もし仔牛がミルクを飲んでいたら助かっていたんだろうか…もしそうだったらTさんがもし見に来ていれば助かっていたのでは…?
この国は情報公開が思わぬところでも進んでいるため、このTさんがオーガニック農場経営のためにEUからの補助金をいくら受けているか、みんなが知っている。かなりの額である。彼はやり手で周囲の農地を買い入れて規模を拡大し、乳牛農家は輸入に押されて甲斐がないと一般的に言われている中、彼のところは経営がうまくいっているように見える。家にはプールもあるそうだ。
でも…何だか気分がモヤモヤする。もしかして「すべてを自然にまかせて人間は介入しない」という方針などを持っているのかもしれないが、単に目が届かなかっただけだったとしたら…Tさんのところについて「オーガニック農家だから」といいイメージを持っていたのだけれど、それとこれとはあまり関係がないことに気づかされた。残念ながら…

1