オランダの航空会社KLMが創設100年を記念して発表した"Fly Responsibly"という意見広告が話題になっている。航空会社が「私たちは持続可能な未来のために貢献します」と言っているのを聞いたことはあるし、
カーボンオフセットの導入をしているところも多くなってきたが、この動画では「飛行機に乗らなくてもいいのではありませんか?」と堂々と問いかけている。これには驚いた。
世界が動くのはものすごく速い。思えば去年の前半インスタグラムやブログ の投稿の中に「これが私のzero waste travel」と 飛行機のトレイテーブルに K社の水筒とコーヒーの入ったKマグとステンレスのお弁当箱を並べた写真をアップしている人がたくさんいた。当時は飛行機での旅が気候変動に対してどれだけの影響を与えるのかということを意識することなく、プラスチックごみを排した自分のフライトの様子をSNSに披露することができたのかもしれないが、今このような投稿をする人はほとんどいないし、かつて投稿した写真を削除してしまった人が多くて探すことができなかった。
「環境を守らなければ」「気候変動を憂う」といいながら飛行機に乗っていることをソーシャルメディアに晒すのはみっともないと思う人が増えてきたからだろう。たった一年でこの変化が起こったのだ。
去年のスウェーデンの「新語大賞」のようなものの一つは "flygskam" -そのまま英語にすると"flying shame" つまり飛行機で移動することに対して感じる罪悪感、恥の感覚のことーだった。「飛び恥」という日本語訳もあるらしい。
なんとなくこの「恥だから」というのはひっかかる。そういうのではなくて気候変動をなんとかするために飛行機の旅をやめるーという選択のほうがいいと思うが…
「タイに(飛行機で)来てるなんて人にばれたら大変」だから投稿はしない(十年前はみんなをうらやましがらせるために投稿したんだけどー)、というマンガ。
飛行機での旅を控えようといっても、ヨーロッパじゅうに格安の便があり、家族向けのチャーター便パッケージツアーも豊富で、旅行といえば飛行機というのは当たり前になっている。そして電車やバスはといえば交通網があまり発達しておらず、高くて時間がかかる。いくら地球に悪いとわかっていても、便利で快適な飛行機の旅をあきらめる人がどれだけいるものだろうか…??
…と思っていたところ、今年の初めに「スウェーデンからの飛行機の利用者数が減少」「その理由は気候変動への影響」という報道をテレビで見た。二年続けて夏は国内や電車での旅が人気を集めたという。マジで飛びたくないという人が増えてきたのだ。
"flygskam"はもはやただの流行語ではない。

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