私がよく朝市で野菜を買うこの広場にパトカーが常駐するようになった。
広場からちょっと入ったところ、私が量り売りのオリーブやバクラヴァを買ったり、朝市で買った野菜を下げてカフェに入ったりファラフェルを食べたりしているこの通りで先週の土曜日に15歳の移民の少年がピストルで射殺されるというショッキングな事件が起こったのだ。いっしょにいたもう一人の15歳の少年も撃たれて重傷を負っている。犯人は自転車で逃走したまま捕まっていないが、警察は強盗ではなく犯罪組織の抗争である可能性が高いと発表している。
彼が撃たれた場所の近くにろうそくと花が供えられていた。彼は学校では明るくて人気者だったという。
警察によると、殺された少年が麻薬がらみの犯罪組織に属していることは周知のことだったという。15歳の彼はやくざの使い走りとして使われていたということらしい。そして何らかの抗争に巻き込まれて殺されてしまった。
ここのところ、マルモでは射殺事件が立て続けに起こっており、いずれも犠牲者は犯罪組織と関係のある移民。加害者の方も移民である可能性が高い。いつの間にかマルモは移民のやくざが殺し合いをする危険な街になってしまった。このニュースを見て、移民嫌いの政党(今や国政レベルで野党で最大になりつつある)や、「
スウェーデンで昨日」発言で批判されたトランプ大統領とかが鬼の首をとったように「ほら見たことか」と言っている姿が目に浮かぶ。
昔だって移民のやくざがいなかったわけではない。しかし、昔(たとえば60-70年代)のような移民や難民としてスウェーデンに来た人にもすぐできるような仕事がどっさりあった時代と今とは違うと思う。今は「スウェーデンのまっとうなシステムに入るために努力したってうまくいかないんだから、犯罪組織に入るほうが手っ取り早い」という判断をする移民が増えてしまったということなのだろう。しかも、15歳の子供をひき入れて命の危険にさらすようなことを平気でするような組織に。
犠牲者が15歳だったことを重く見て、政府も警察も対策を検討中だが、まず年少者を犯罪組織に誘い込んだ者に対する罪を重くする法案を検討しているという。「これ以上子供を殺すな!」というメッセージが組織の人間にも届いてほしい。
ちょうど昨日来客があり、その人が市から難民の相談係のような仕事をしばらく請け負っていたという話を聞いた。彼女が今でも自分が担当した難民一人一人の名前と出身地も覚えていることに私はちょっと感動したが、彼女は「難民の数が多すぎ、それぞれの問題があまりに多岐にわたりすぎていて助けたくても間に合わなかった」「子供が犯罪組織にからめとられてしまうプロセスが手に取るように想像できる」と言った。これがこの国の現実だ…残念ながら。

0