
2月21日、高知大学付属病院の倉本秋院長(高知大学医療担当理事)との医師不足問題での懇談を医労連、自治労連とで行いました。約1時間に渡りざっくばらんに意見交換を行いました。
倉本院長は、大学に医師が残るような施策として「AO入試では5年前から20人の枠を設け、3年前からは30人の枠に拡大している。全員が県内出身者ではないが、効果はこれから出てくると思う。来年度から従来のAO枠とは別に、10人の地元枠を設ける」、「へきち診療所と連携した地域医療の体験の取り組みを早くからやっている」、「初期研修でも県と連携してへき地の国保病院での研修を取り入れている」、「また、研修医には年間360万円を保障するなど研修に打ち込めるような努力を行っている」と取り組みを紹介。また、「医学部に進む人数は人口割で大体決まってくる。人口80万の高知では50人程度か」との見解を示し、地元出身者が劇的に増えることは望めないが、地元出身者が地元の大学を出て地域医療に貢献するということに努めて行きたいと述べました。
今の医師不足の原因については、「医師の処遇の改善が重要。待遇が悪いこともあり開業して、ビル診療に流れていく。しかし、診療時間内だけのビル診療は地域医療とは言えないのではないか。処遇をよくしようと思えば、地域医療には診療報酬を10%割り増しするとかすれば解決できる」。「女性医師の比率の増加があり、女性医師が働ける環境の整備が重要」と指摘。
臨床研修の義務化については、「大学法人の病院長会などは早期の見直しを主張しているし影響は確かにあるが、研修に対する満足項目は実施前後では国立大学法人の方が民間の研修病院と比べ満足項目が増えている」、と研修内容、環境の整備の重要性を指摘しました。
中小の自治体立病院への医師派遣については、「皆さんの団体と並べて名前を書き、国に出したいくらい」、「大学の方は、PETを買うにしろ建物を建てるにしろほとんどを診療収入でまかなわないといけない。毎年、運営費交付金は減らされる。自治体立病院のほうがむしろ恵まれているかもしれない」、「地域での医療連携とかもっと工夫ができるのではないか。ここ数年間を知恵と努力でしのがないといけない」と指摘しました。
県の医療対策協議会については、「県の医師確保の対策室もできる。今後どれくらい動けるかによるのではないか」と期待を表明しました。
参加者は、2月県議会での予算審議、その後の県の対策室の動きなどを見守りながら行政交渉を継続、また、病院に対しては地域医療を守るため、診療体制を再構築するために何をすべきかを鋭く問いかけ、問題提起もしていくことを確認しました。


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