■本日も、漁業環境動態調査の聞き取りに、京大大学院のTさんとともに出かけました。本日は、この調査を企画された滋賀県庁水政課環境政策室のY室長も同行されました。
■出発時、残念ですが曇り空。琵琶湖大橋を越えたあたり、守山市今浜町にある菜の花畑でちょっと撮影。インターネットでは「約1万2千本の早咲きの菜の花が約4000uの土地一面に広がり対岸の比良山系とのコントラストが大変美しい。」との説明がありました。しかし、本日は曇りで西の比良山系も雲でおおわれています。残念ですね〜。
http://www.biwako-visitors.jp/search/flower_nws_4361_22.html
■午後2時から、長命寺にある近江八幡漁協で、組合長をはじめとする4名の皆さんにお話しを伺いました。そのうちのお一人、Hさんには、以前、琵琶湖博物館に勤務していたときに、たいへんお世話になりました。Hさんは、琵琶湖の伝統的な竹製の陥穽漁具タツベを使って、近江八幡市の西の湖(内湖)を中心とした水系で漁業をされてきました。もう70年近くも漁業をされています。博物館に勤務していた当時、Hさんの船にのせていただき、タツベ漁の実際を拝見させていただきました。約10年前のことになります。Hさんは、あいかわらずお元気でした。
■Hさんが製作されたタツベです。正面のところから、魚(特に、ニゴロブナ)が入ります。クチとよばれています。このクチの張りをどの程度にするのか、強すぎても弱すぎても魚は入りません。また、同じタツベといっても、このタツベは少し高さがあります。ここにもHさんの工夫があるようです。
■今日の聞き取り調査でも、やはり琵琶湖総合開発による湖岸堤や道路の建設が、陸と湖を分断してしまったこと、その問題が指摘されました。かつては、長命寺の南のほうは、津田や佐波江のあたりには、幅50mもあるヨシ帯がづっと続いたといいます。湖岸堤や道路の建設は、結果として魚の産卵場所でもある豊かなヨシ帯を衰退させるとになったそうです。
■琵琶湖総合開発とともに問題視されたことは、圃場整備事業後の水田からの排水、農薬や化学肥料が水質や生態や魚類に及ぼす問題です。ここでは書ききれませんが、その他にも実に様々な問題点を指摘していただきました。
■県行政も、各セクションごとに対応はおこなっているようです。しかし、縦割り行政の枠組みのままで対応しても、おそらく効果はあまりでないのではないかと思います。各セクションが横に連携しながら、この地域の問題に対する総合政策を立案していく必要があるように思うのです。今回の聞き取り調査からは、特に、その必要性を感じました。
■もうひとつは、「現場の智恵に学ぶ」ことにもっと取り組むべきなのではないかということです。西の湖を中心とした水系の微妙な問題については、やはり現場の漁師さんの主張にもっと耳を傾ける必要があります。現状がどうなっているのか、漁師さんの智恵を評価し、それを様々な施策や事業のなかにきちんと活かしていかなければならないのではないでしょうか。漁協の皆さんからは、2時間半ほどお話しを伺いました。そして、こんどは西の湖の実情を一緒に視察させていただこくとをお約束してお別れしました(Hさん、近いうちにまたお話しを伺いにまいりますからね)。
■すっかり夕方になりました。夕日が沈みます。大津の戻ります。
■湖周道路を走りながら、左手に漁船が見えました。琵琶湖マイアミ浜近くのヨシ帯にひっそり浮かぶ、伝統的な木造船です。捨てられたものでしょうか。
■比良山系に日本海からやってきた雲がひっかかっていますね。琵琶湖の冬というと、私の心のなかではこのような景観がうかびます。うまく撮影できてませんけど(^^;)。