■前回の続きのエントリーです。鹿児島旅行の初日、鹿児島中央駅についたあと、
指宿枕崎線に乗り換えて指宿に向かいました。指宿についてからは、皆さんよくご存知の「
砂蒸し風呂」を経験しました。まあ、今回は「奮発」しましたので、美味しいお料理もいただきました。しかし、そんことをこのブログで書く必要はありませんよね。
■今回のエントリーのテーマはモイドンです。じつは、鹿児島・指宿に宿泊すると決まったときから、決めていたことがありました。それは、鹿児島県(そして一部、宮崎県の南部)を中心に南九州で見られる巨木=「モイドン」に御参りすることでした。漢字では、「森殿」と書くようです(西郷殿をサイゴウドンと言うのと同じですね)。では、なぜ「モイドン」に関心をもったのか…少し説明しておく必要がありますね。
■私は、巨木が好きです。「すごいな〜」とその存在や生命力に圧倒されることが好きなんです。そのような単純な理由に加えて、講義で使ったことがあるビデオ「小さな森のまつり 若狭の聖域」(『「NHK ふるさとの伝承/中部 」』)に、このモイドンが登場していたので、鹿児島に行った際には、ぜひ御参りをしたいとずっと思っていたのです。このビデオ自体は、若狭(福井県大飯群大飯町)の「ニソの杜(森)」と呼ばれる神聖なる聖地を紹介したものでした。「ニソの杜」は、タモの老木が中心にあり、その周囲にはツバキやシイが茂っています。タモの老木は、この地域の家々の先祖の祖霊の依り代でもあります。このビデオのなかでは、ニソの杜と比較対象するという形で、この鹿児島のモイドンが少し紹介されてたのでした。「モイドン」は、森の神様です。巨木を依り代とする怖ろしい神様なのです。
■トップの写真は、鹿児島県指宿市上西園にある「モイドン」です。「上西園のモイドンなど民俗神」として、指宿市により有形民俗文化財指定を受けています。写真をご覧ください。小さな祭壇が設けられていることがわかるでしょうか。通常、神社のような宗教施設が設置され、そこに神様が降臨されてくるわけですが、「モイドン」の場合には、巨木自体が神社の役割を果たしているのです。そういう意味では、現在の神社のように形式に神が祀られる以前の姿をとどめている…といってもよいかと思います(それは、若狭のニソの杜も同様です)。