ノブ父の頭には、1500mのことしかありません。
今年も、まずは下調べからです。
出場選手の名簿をチェックします。メンバーは、昨年とおなじです。
このところ常連の選手が出場しなくなり、だんだん寂しくなっています。
みんな均等に年を重ねているのです。
昨年と同じメンバーなら、作戦は簡単です。
速い選手はわかっていますから、その選手を指定してノブにその選手についていかせるのです。
そこまでは、問題ありません。
次に問題となるのは、ノブは「走れー。」という声援を受けると速く走り、声援が聞こえなくなると
サボってスピードダウンすることです。
といっても、私が400mのトラックをズーとついて声援を送るわけにもいきません。
そこで、今回は作業所の指導員さんにお願いして、トラックの半周に数人の声援者を配置してもらう
ことにしました。
残りの半周は、私がトラック内を移動しながら声援を送ります。
さて、1500mのスタートが迫ってきました。
今回の「〜について走る。」のターゲットは、紺色のショートパンツスタイルです。
「今日は紺について走る。」ノブに指示をあたえます。ノブも慣れたもので、すぐにターゲットを認識しました。
声援者も配置したので、今回も順調に行けば2位は確実です。

スタートしました。
「紺について走る。」私が大声で指示します。
ノブは全力で紺について行きます。
スタートでターゲットを見失うこともありますので、まずは成功のスタートです。
半周を見ましたが、声援者の掛け声も順調です。その後は半周回った所に先回りした私がトラック内を走りながら
声援を送ります。
予想どおり紺の選手は速く、ノブはだんだん離されていきます。昨年と同じ展開です。
そこに、昨年と同じライバル出現です。スピードがよく似ているので昨年の2位争いをしたランナーです。
1周回ったあとは、このライバルと抜きつ抜かれつの競争を繰り広げることになります。
2位を獲得するには、最後の1周までもつれ合った状態を保たせることが必要です。
最後の1周は、声援をかけ続けることでノブは速く走るからです。最後の100m勝負になるとノブの勝ちです。

さて、声援を送り続け最後の1周の鐘がなりました。
さらに大きな声援を浴びせ、ノブを後押しします。
最後の100mになった時点で、ノブはライバルに20mくらいの差をつけていました。
ノブ父の声援がとびます。
ノブはがぜんスピードを上げて、ゴールラインに飛び込みました。
汗はかいていますが、まだまだ余力を残したはしりです。途中でもう少し欲をだして速く走ったらいいのに
と思いますが、ノブはマイペース。声援がないとゆっくりはしります。
汗をかいて無理をするのは好きではないのでしょう。(その方が人間味がありますが。)

今年も2位を獲得しました。
ゴールして汗を流しているノブにねぎらいの声をかけました。
「今年もノブ父のこだわりマラソンに応えてくれてありがとう。」と。
2位に賞品を貰い、トラックを後にしました。
「今年も父に付き合ってくれてありがとう。」私は何度も何度もノブにお礼を言っていました。
あとで気づいたのですが、このレースの実況中継をしていたアナウンサーが「お父さんの大きな声援を受けて、
ノブさんはまもなくゴールです。」と放送していたようです。
ノブ父はメインスタンドの前で大声援を送っていたのですから、メチャ目立つはずです。
今後1年間は、声援が小さくなってもスピーディに走れるノブにすることが目標です。
今年も楽しませてくれて「ノブありがとう。」

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