最近水泳の話題がありまして、ノブの中学部のころの水泳を思い起こしました。
そのころは、終末の土曜日になると水泳好きのノブを連れて、毎週温水プール通いをしていました。
そのころのノブはプールの中で奇声を上げてバシャバシャ暴れるので、監視員さんの注意の的でした。
監視員さんからは、「そこの君、みなさんの迷惑になるので静かに泳ぐように。」と何度も注意を受けました。
そんなことにはめげず、毎週私はノブを連れてプール通いをしていました。
私は、当初「はいはい。」といって軽く受け流していました。
何度か注意されたあと、「ルールを守れないのなら、プールから出なさい。」といわれました。
私はまだまだ青かったのでしょう。10年以上前のことですから。
ノブをプールから出し、プールサイドのいすに座らせて、「ここで休憩していなさい。」と言った後、監視員さんのところへ向かいました。
監視員さんは、顔をこわばらせて身構えています。
私は、ノブのしょうがいのこと。プールが大好きなこと。うれしくてバシャバシャしていること。持ち上げて投げ落とされてたのしんでいること。
私が責任をもって周りのみなさまにお詫びをしながらノブをおよがせること。
じっくりと強い口調で説明させて頂きました。
監視員さんは、「そうでしたか。普通に見えるので悪ふざけがすぎると思い注意しました。事情はわかりました。」と言われました。
その間、ノブはじっと座って私と監視員さんの様子を見ていました。
私はノブのところに戻り、「プールで泳ぐことができます。プールに入ります。」と伝えました。
ノブは嬉しそうにプールに戻り「せいのーでー。」といいます。この言葉は自分を持ち上げて投げ入れてほしいという要求です。
「よーし。行くぞ。」と私はノブを持ち上げプールに投げ込みました。
ノブは少し潜っていたのですが、浮かび上がったかと思うと、いまだかって見たこともないすばらしいバタフライで泳ぎ始めました。それもスピードにのって速いのです。私はそのノブのバタフライを始めてこの時みました。
そしてそれは、この1回きりでその後は見たことがありません。空前絶後とはこの瞬間のことをいうのでしょう。
私が監視員さんに立ち向い説明したことに対し、ノブがプレゼントをくれたのだと思います。
いまもそのすばらしいバタフライをありありと思い起こすことができます。
監視員さんとは、「こんにちは。今日も元気に泳がせていただきます。」と私もノブを挨拶を交わせるあいだがらになりました。
たまに、きらっと光る姿をみせて私にプレゼントをくれる。そのノブと今日も楽しく付き合っています。
10年前を思い起こし、ちょっと書きたくなったので書きました。

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