20日の午後に家を出て、秩父を通り、雁坂トンネルを潜り、牧丘の道の駅に車を入れた。食堂で飯を食べようと入ったら、終わっていた。近くのコンビニで弁当を買って食べ、寝袋に潜り込んだ。
ぐっすりと眠れた。目を覚ますと七時を過ぎていた。コンビニで食料を買い込んで、春日居に向かう。(夕狩沢古戦場跡)の標識を見て右折、細い林道に入っていく。右に登山道の標識を見て、少し走った左側のスペースに車を止めた。
支度をして歩いていくと、間もなく林道は終わり、右側にススキに隠れて登山口の標識があった。左下に幾つも堰堤が現れた。落ち葉の下の石に気をつけながら進んでいくと、道標が立ち、右へと曲がる。気分良く裸木の中を登っていく。空気は冷たいが、すぐに汗が出始めた。
岩が次第に現れ、やがて、岩崖になった。左側から巻いていく。岩には、残置ハーケンが幾つか見られた。町並みと山々の広がりが眺められ、足が止まる。岩尾根上に出、ゴロゴロした大きな岩の間を登っていくと、(山梨百名山)の標柱の立つ『兜山』山頂である。
ベンチがあり、しばらく休みをとったが、かいた汗が冷え、冷たい風に追い立てられるように腰を上げた。地図が無いので、あても無く、先へと歩いてみた。確か、この先に(棚山)があった筈である。
落ち葉の積もった尾根をしばらく歩いていくと、岩峰になり、そこから急な下りになった。しばらく歩くと、道標があり、左・岩堂峠、と書いてある。聞いたことのある名だったが、はっきり分からず、迷っていると、古い木片に、(棚山→)と書かれてあるのを見つけた。
こうなると、行くしかない。踏み跡も無い、雑木の中へと歩いていく。テープが頼りである。落ち葉を踏みしめながらしばらく歩いていく。右手に(棚山)らしきピークが見えている。もうすぐであると思ったのが、甘かった。谷を隔てて向こう側なので、幾ら歩いても、近くならない。段々と右後ろになり、遠ざかっていく。ええっ、こんな筈では、そんなことを思いながら、歩いていくと、やっとのことで、ピークへと続く尾根分岐に出た。
途中、標識は一つしか無かった。ここで長い休みをとる。頭の中で考えていた時間の倍掛かっていた。寒くなったので、フリースを着、ネックウォーマーをつけて、歩きだす。ここの尾根道は、明るくて、気分良かった。『棚山』山頂はなかなか眺めが良く、山梨百名山に指定されないのが、不思議なくらいである。
下りは(フルーツパーク)への標識に従って、進んでいく。フルーツパークが度の辺りかよく分からないが、下の道に出ればいいと思った。しかし、兜山からドンドン離れて行く。まずいな、と思いながらも下りるしかない。
途中から、標識が無くなった。やがて道路に出て、ホッとした。見覚えのある、朝、走った道である。兜山と棚山を見ながら、フルーツラインを歩いていく。富士山が薄らと山型を見せていた。
車に戻り、大蔵経寺に走る。駐車場が無い。寺の駐車場は禁止の立て札があり、近くに有料のパーキングがあったが、アホくさいので、積翆寺温泉に向かい、『要害山』に登った。(岩堂峠)への道標があり、時間的にどうかなと思ったが、行ってみることにした。途中、何度も走った。その結果、深草観音の上の(岩堂峠)に予定よりも少し早く着いた。しかし、残念なことに、大蔵経寺山への標識は無かった。
何とか、陽の落ちる前に車に戻れた。年甲斐も無く、山道を走ったので、足がガクガクしている。そして、車を昨夜泊った牧丘の道の駅へと走らせた。

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