昼には雨が降ると言うことを承知で、西上州に向かった。道路地図を開くたび、気になっていた城峰山の北側にある(神山)に登る積りである。神山は、神流湖の上に大きな山体を見せる山である。群馬の山と思い違いするが、神泉村矢納にあり、埼玉の山になる。
城峰公園を過ぎ、鳥居の脇の駐車場に車を止めた。鳥居の脇には、【郷社城峰神社】と書かれた看板が立ち、(天禄2年・971年、日本武尊東夷征伐の折、山頂に大山砥命を祀ったのが始まりと伝えられている。・・・・・・)と書かれていた。
カサを被り、鳥居を潜って、参道を歩き始める。(神山登山の目安)と書かれた案内板があり、登り、40分から50分程度とあり、(山頂で、思いを大きな声で叫んでみませんか!!)と書かれていた。
杉の大木の中を歩いていくと、間もなく、右手に石段があり、上り詰めると、神社の境内に出た。更に石段を登り、神社に賽銭をあげ、鐘を鳴らして、手を合わせた。石段下の右側に、神山への登道入口の標識があり、鬱蒼とした杉木立の中を歩いていく。
道をジグザグに登っていくと、間もなく、尾根の末端に出、北側に西上州の山並みが現れ、眼下には、濃い緑色の水面を見せて、神流湖が見下ろせた。雨の中ではあるが、なかなか眺めのいい尾根である。
左側は、杉と桧の混淆林であるが、右手は、葉を落とした楢の木が多く、気分良く、道を登っていく。道には、殆ど、落ち葉が無く、歩くには楽である。雨はそれほど強くはならないが、カサをささないと、けっこう濡れた。
やがて、作業道に出、少し歩いて、道標通りに、右手の尾根に上がっていく。間もなく、神社から800mの標識があり、右側の高みに上がってみると、三角点があり、傍らに、『神山』と書かれた山名プレートが置いてあった。あまり、展望は良くない。
先に歩いて、(矢納城峰神社奥の院)に手を合わせ、木の柵に沿って、ウッドチップの敷かれた道を進んでいく。木々に遮られない展望地になった。眼下に下久保ダムがあり、山々を写した神流湖が、緑の湖面を見せている。その上方には、雨降山や東西御荷鉾山、その奥に見えるのは、赤久縄山であろうか、西上州の山並みが、雨に煙りながらも、黒い山端を波打たせていた。
それぞれに思いで深い山々である。雪の雨降山では、家に帰ってから、熱を出し、仕事を2〜3日、休んだ記憶がある。赤久縄山では、寒さに震えながら、煮たラーメンをフーフー言いながら食べたことを思い出す。
そんなことを思い出しながら、奥の院前まで戻り、切り株に腰を下ろして、杉の梢に目をやった。花粉症なのに、何時もの事であると言っても、杉のある山に入る自分に、呆れるばかりである。鼻水をすすりながら、しばらく、杉木立を眺めていた。
帰り道、鬼石に住む、100名山を達成している山友である、ハナさんの所に寄って、しばらく、談笑してから、帰った。相手の事を思いやる心をたっぷりと持つハナさん、そして、女傑の風貌は、今も、衰えていなかった。
今日は、女房の誕生日である。そして、【山の香】の発刊日である。夜、子供や孫たちに、お祝いをしてもらった。実に、嬉しいことである。

●郷社城峰神社●

●気持ちのいい尾根●

●尾根より、神流湖を見下ろす●

●作業道脇に立つ、道標●

●神山山頂●

●矢納城峰神社奥の院●

●神流湖と西上州の山並み●

●城峰公園からの神山●

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