朝、目が覚めると、足が痛む。もう一ヶ月になるのに、これでは不安になる。2年前に腰痛で通っていた慶友整形外科病院へ行くことにした。結果は同じ、〈内側側副靭帯損傷〉だった。しかし、半月板の異状も無く、水も溜まっていないし、それほどひどくはない、随分と治って来ているようだ。痛む場所を使わないようにすれば、少しのウォーキングは大丈夫と言われた。
家に戻ってから、遅い食事にしょうと思ったが、ふと、医者の言葉を思い出し、出掛けることにした。すぐに東北道に乗り、日光有料道路から、イロハ坂を上がった。中禅寺湖の周りには、けっこう、観光客が居た。雲が多く、社山や半月山は頭を隠していた。竜頭の滝上のハイブリッドバス道入口近くの道路脇に車を止め、のんびりと歩き出す。

●ハイブリッドバス道ゲート●
今日は、亀さんの倍くらいの速さで歩いていく。辺りは、濃い緑の笹が広がり、シラカンバやズミ、ミズナラ、カラマツなどの木々が枝を広げ、とても気分がいい。この道は、新緑もいいが、秋が素晴らしく、好きである。昔は、マイカーで何度も通ったのだったが。

●気持ちのいい林道歩き●
木々を眺めながら歩いていくと、間もなく、〈しゃくなげ橋〉に着いた。橋から見る湯川の流れは、白い飛沫を上げ、音を立てて、忙しく流れていた。見ているだけで、癒される、水の流れである。

●湯川の流れ●
時間が遅いせいか、誰も歩いていない。笹の中に群生しているのは、ヤマドリゼンマイか、キバナツリフネがチョコチョコと顔を見せる。やがて、〈高山〉の入口になり、道が出来ているのに、驚いた。最初歩いた時は、標識も無く、入口もはっきりしなかった。笹の中に薄い踏み跡を追ったものだった。

●高山入口●
関心しながら更に歩いていく。切通しを過ぎると、ジョウシュウアズマギクが固まって咲いているのを見た。キオンやアキノキリンソウも可愛い黄色の花を見せ始めた。

●キオン●
小田代ヶ原が見えてきた。道路脇には、ホザキシモツケがピンクの残花を見せている。可愛い花である。

●ホザキシモツケ●
懐かしい〈湖上山〉が原の上に大きな山形を見せる。この山に立ったのは、もう何年前になるだろう。この山にも、道が出来たのだろうか。

●ゴマナと小田代ヶ原と湖上山●
雨の多い年、小田代ヶ原は美しい湖になる。その上の山と言う事で、湖上山と名が付けられたのではと、私なりに解釈をしている。少し歩くと、展望台である。ベンチに腰を下ろして、原の上に広がる山々を眺めた。

●小田代ヶ原●
雲が多く、三岳の他には、顔を見られなかった。ここからの眺めは好きで、山王帽子や太郎山、男体山などを眺めて、暗くなるまでいた事があった。貴婦人は、そんな風景の中に、真っ白な細身の体を立てていた。

●小田代ヶ原と貴婦人、そして、三岳●
いつ来ても、気持ちが清々しくなる小田代ヶ原である。ちょっと歩きすぎたかな、と思いながら、膝をさすった。強い痛みはなかったが、右足に少し疲れを感じた。静かで、とても気持ちがいい。爽やかな風が、音も無く吹いている。しばらく、この場所を離れることができなかった。あまりにも、居心地が良くて・・・・。

●小田代ヶ原をバックに●

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