やっと新盆が終わった。人の応対はけっこう疲れる。昨日、畑仕事をしてから高速に乗り、夕方、南アルプス林道バス発着所、仙流荘先の戸台駐車場に車を入れた。お盆明けで、そんなに人は居ないだろうと思っていたが、満車に近い盛況だった。
朝4時半、次々と入ってくる車の音で目が覚めた。起きだして、支度をし、登山届を出して、パスを待つ。一台目に乗りきれず、後発便が出るようだ。バスは、定刻より、15分早く出発した。

●バス発着所●
天気はよく、仙丈ヶ岳が現れ、中央アルプスも見えた。鋸岳が眼前に現れると、右奥に駒ケ岳も姿を見せる様になる。山々を眺めながらバスに揺られていくと、やがて、終点の北沢峠である。空気が冷たくて、気持ちがいい。

●北沢峠●
すぐに歩きだす。林道を仙水峠へと向かっていくと、右下にテント場が現れ、間もなく、北沢長衛小屋の前に出た。小屋の前を進むと、沢に掛かる赤い橋があり、渡ると道標が立ち、左は仙水峠で、真っすぐは(栗沢山)と書かれていた。

●小屋の先の橋を渡る●
シラビソの樹林の中に道は続いている。所々にテープも付けられていた。樹林の中の登りがしばらく続く。

●樹林の中の登り●
黙々と登って行くと、やがて、左側に双児山が並んで見えてきた。ここで小休止とした。けっこう傾斜がきつく、かなりの汗をかいた。

●小休止●
更に傾斜が増してきて、一歩一歩足を上げていく。時々、樹林の切れ間から甲斐駒ヶ岳が見えるようになってきた。

●登りから見た、甲斐駒ヶ岳●
更に急な斜面を登って行くと、樹林から抜け、景色がよくなってきた。振り返れば、仙丈ヶ岳が大きな山体を空に浮かべていた。アイゼンを岩に引っかけ、転んで怪我をした時の事が、懐かしく思い出される。

●栗沢山への登りから振り返った、仙丈ヶ岳●
右手には、金字塔を見せて、北岳の雄姿が見えている。素晴らしい風景に足がついつい止まってしまう。

●北岳●
樹林が無くなり、岩の上の歩きになってきた。(栗沢山)山頂はもうすぐである。人が居るようだ。小屋に泊まった人であろう。

●岩を乗り越えていく●
間もなく、360度の展望台、『栗沢山』山頂だった。息を飲む様な大展望に大きな感動を覚える。双児山から駒津峰、そして、白砂を身に纏った甲斐駒ヶ岳、鋸岳も姿を見せる。圧巻である。

●栗沢山から甲斐駒が岳●
意外と早く着いたので、しばらく山頂で、眺望を楽しんだ。目指すアサヨ峰の左奥には、鳳凰三山が見えている。オベリスクもはっきりと眺められた。

●アサヨ峰と鳳凰三山(左奥)●
アサヨ峰まではたいした時間もかからずに行けるだろうと思ったが、大きな岩だらけの尾根で、そう簡単では無かった。岩ばかりで、スイスイとは歩けなかった。細い岩尾根になったり、岩の登りもあったりと、なかなか変化にとんでいた。それでも展望の尾根歩き、とっても気分がいい。

●岩歩きが続く●
岩場にトウヤクリンドウを見つけた。よく見ると、あちこちに咲いているが、終わりかけが多かった。ミヤマダイコンソウも多く見られたが、やはり、咲き終わりが多かった。

●ミヤマダイコンソウ●
細い岩場になり、左からへつって行く。そして、岩場の登り、ちょっと、緊張する。

●細くなった岩場を通過●
岩場から振り返ると、ガスが上がってきて、甲斐駒ヶ岳を包み始めていた。この景色もなかなかいい。白いスカーフを巻いた貴婦人の様である。

●岩場から振り返った、ガスに巻かれた甲斐駒ヶ岳●
アサヨ峰山頂が見えてきた。誰も居なそうである。やはり、ここまではあまり、来ないようである。バスをおりた人たちは、皆、人気どころへと行った様である。

●アサヨ峰と鳳凰山(左)●
ひと登りで、大きな岩のある『アサヨ峰』山頂に着いた。ここも又、360度の大展望だった。三角点を撫でてから、大眺望を飽きずに眺めた。鳳凰三山の右手に富士山も顔を見せている。北岳が更に大きく眺められた。鳳凰三山は三回歩いているが、やはり一度目のヤナギランに囲まれてテントを張った時のことが印象に強く残っている。北岳は女房と登ったが、日の出を見て、女房が珍しく感動して、声を出したことが以外だったので、その時の印象が、山歩きよりも思いだされて、自身、苦笑する。そんな事を思い出しながら、岩に腰をおろして、山々を眺めまわした。
ガスが上がってきたので、重い腰を上げ、栗沢山に戻ると、ガスは消え、再び、360度の展望になった。時間はたっぷりある。岩に寝転び、太陽を浴びながら、しばらくトカゲになった。ううっー、気持ちいい。

●アサヨ峰山頂にて●

●北岳・アサヨ峰から●

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