山歩きは、取り付きや登り口を見つけるのがけっこう大変である。登り口が見つかれば、もう8割がた登った様なものである。取り付きが見つからず、悔しい思いで、登らずに帰った事も過去にあった。有名所の登山口は別である。
今日は、何とかスムーズに、登山口に着くことが出来た、と思っていた。東北道に乗り、久喜白岡ジャンクションから圏央道に入り、白岡菖蒲インターで下りる。しかし、ここから桶川北本インターまでの下道がけっこう長い。あきる野インターでおり、高尾街道をしばらく走り、高尾駅前を東に進み、左に家並みの中の細い道を進んでいくと、〈小仏関跡〉に着いた。ここで、地図を見て、更に進んで行く。間もなく、中央高速下、KDDIの電波塔の立つ近くに梅林があり、その脇の駐車スペースに車を止めた。
道標も立っているので、間違いないだろうと思ったが、歩き始めて、違っていることに気がついた。中央道を潜り、山と道路の間を歩いていく。しかし、何時になっても道は山へと上がっていかない。高速に沿った道路を進み、トンネルの出口の上を通って反対側に出て、初めて、山への道となった。
木々の中の斜面の上りは気持ちがいい。時々生暖かい風が吹き抜けて行った。右下、圏央道の上に立つ〈唐沢山〉に取り付く筈だったのだが、やはり、取り付きが違っていた。何度も地形図を見たが、分からない。間もなく、道標のたつ分岐に登り着いた。丁字路になっていて、右、高尾駅方面となっていた。汗が滴り落ちる。暑いので、フリースを脱いでザックに入れる。
お茶を飲み、一息入れてから、左の尾根へと登って行く。緩やかな尾根は、次第に急な斜面になり、登山道の両側には笹が現れた。昔痛めた右膝が最近痛むようになって来た。庇いながらゆっくりと歩を進めていくと、やがて、笹の広がる小広いピークに着いた。山名標識は何処にも無かったが、地形図と照らし合わせ、ここが『熊笹山』と分かった。
以外と早く着いた。一呼吸してから、檜の根の出た斜面を下っていく。左手に影信山が見えている。振り返れば、高尾山も見える。平らな尾根道を気持ちよく歩いていくと、ロープのついた急な斜面になり、ゆっくりと登って行く。やがて、ベンチとテーブルのある『富士見台』山頂に着いた。ここは、二度目の訪問である。以前、八王子城跡から影信山へと歩いた時に通ったピークである。
影信山の左奥に富士山が立っている。しかし、時間がもう二時を回っているので、雲が纏い付いてはっきりと見ることは出来なかった。ベンチに座り、コーヒーを入れ、お稲荷さんを口に運ぶ。楽しい時間である。風も無く、静かで、木漏れ日を背に浴びながらの食事である。気分の悪い訳が無い。
買い物を言いつけられているので、もう少しと言う気持ちを振り切って、歩き出す。道標の立つ丁字路まで戻り、高尾駅方面へと歩いていく。トンネルの上を過ぎ、右へと方向を変え、少し下り、上り返すと、小ピークに着いた。GPSで確認、ここが『唐沢山』山頂だった。展望は木々に囲まれて無かった。
左の斜面を下っていく。コルからアオキの立ち並ぶ中の道を上がって行く。二つのコブを過ぎると、お地蔵様が見えてきた。『地蔵峰』である。四体ある地蔵様に賽銭を上げ、手を合わせてから、唐沢山まで戻り、ここで地形図を見て考える。南へと尾根が走り、途中から西へと細い尾根が下っている。これを行くことにして、落ち葉に滑りながら、下り始める。やがて、高速が見え、堰堤が現れた。左に進むと、すぐに行きに歩いた道に出た。うまいこといった。ここだけが、崖になっていなかった。さて、買い物に行かなくては。

●中央高速下の駐車地●

●八王子ジャンクションと遊歩道●

●高速に沿ったコース●

●やっと、山に入って行く●

●唐沢山●

●木々の中の登り●

●熊笹山〈左奥〉が見えてきた●

●笹が出てきた●

●熊笹山山頂にて●

●明るい尾根道●

●影信山●

●富士見台山頂にて●

●高尾駅方面へ●

●唐沢山山頂●

●アオキの中の踏み跡●

●地蔵峰山頂●

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