低山で少し暑いかなと思ったが、先月登り残した奥秩父小鹿野町にある〈戸蓋山〉へと向かう。日向大谷への道に入り、高突山に登った時の宝円寺を過ぎてから、速度を落とし、ゆっくりと走っていく。薄川に掛かる六区橋を過ぎた所で、川沿いの駐車スペースに車をとめた。
やはり、車外に出ると凄い暑さである。登山靴に履き替え、地形図を見て、少し戻り、〈竹平バス停〉から左上への道を上がって行く。間もなく、〈上薄生活改善センター〉の広い空き地に出た。更に左側の道を上がって行く。ビニールハウスの前で農作業をしていた男性に登路を尋ねると、標識は無いよと言いながら、詳しく教えてくれた。
草地を歩いて、突き当りを右へと歩いていく。はっきりとした道が続いている。東側からの道と出合った所に祠が祀られていた。手を合わせてから、深く掘られた道に沿って登って行く。急な斜面に汗が噴出してくる。右下に道を見ながら尾根上を進んでいくと、やがて、細くなった尾根上で、道と一緒になった。
細い尾根が少し続き、広い斜面の登りになると、道は落ち葉の中に消えてしまった。黙々と足を上げていくと、やっと、稜線鞍部に着いた。テープ類も殆ど無いが、複雑な尾根では無いので、気持ちは軽い。10分ほど、木々の中で風を受けながら、汗を冷やした。
地形図を見ると、三角点峰はここから登り上げたピークの様である。はっきりした踏み跡が現れ、ゆっくりと斜面に靴を置いていく。白いビニールの紐を見つけた。後にも先にもこの一本だけだった。登り着いたピークは平らな小広い場所で、薄汚れた三角点が埋まっていた。三角点を撫でてから、先へと下っていく。
途中、丸い真っ赤な茸を見つけた。広い尾根になり、周りの風景を頭に入れようと、時々立ち止まった。送電線鉄塔の下に出ると、陽が当たり、暑くなった。山並みをチラッと眺めただけで、先へと歩いていく。やはり、樹林の中の方がまだ涼しい。鉄塔巡視路が続いている。細い尾根になり、進んでいくと、巡視路は山腹を右へと曲がっている。ここで、一休止して、地形図を見る。
10分休んでから、巡視路と分かれ、真っ直ぐに斜面を登って行く。急な登りに岩場が二箇所あったが、木に捕まりながら登って、山頂端に出た。平に歩いて行き、小さな高みに上がると、石の祠の鎮座したピークに着いた。四方の切れ落ちた狭い『戸蓋山』山頂だった。山名標識を探したが、何処にも無かった。ここで遅い昼飯とした。風が通り、なかなか気持ちのいい山頂だった。
涼しい時を過ごしてから、下山を始める。鉄塔まで戻り、巡視路を一気に下った。しかし、木の階段は土が被り、靴を置くと、ズズッと滑った。そんな斜面の歩きが沢に降りるまで続いた。沢を何度か渡り返し、101号鉄塔を過ぎてからは、道は良くなった。男性の居たビニールハウスの下に出たが、男性はもう姿が見えず、お礼が言えなかった。道路に出ると、舗装の照り返しもあり、凄い暑さになった。帰路、カーラジオから、〈猛暑!〉〈猛暑!〉と叫ぶ声が、何度も何度も流れてきた。

●薄川沿いの駐車地●

●竹平バス停から左上へ●

●山への取り付き●

●石の祠●

●掘れた道が続く●

●細くなった尾根●

●登り着いた稜線鞍部●

●三角点峰への登り●

●〈点名・飯田〉三角点ピーク●

●タマゴダケ●

●102号鉄塔●

●煤の山方面の山並み●

●巡視路を辿る●

●巡視路分岐点●

●戸蓋山山頂にて●

●戸蓋山●

9