登山口に向かう時、カーラジオを聞きながら走るのも、山に出かける楽しみの一つである。今日も、ラジオに耳を傾けながら、鹿沼方面へと走って行く。用事を済ませてからなので、10時近くになってしまった。それに、夕方、来客の予定があるので、今日も、時計を見ながらの忙しない山歩きになるだろう。
国道293号を走り、鹿沼の街中を過ぎ、宇都宮市新里の信号を左折、少し走り、左のスペースに寄せて、地図を確認、再び、ゆっくり走り出し、落内の集落から、〈林道土平線〉へと入って行く。車一台がやっとの細い林道だが、簡易舗装されているので、走りやすい。しばらくクネクネと走っていくと、舗装は終わり、二股になった。道は倒木や小枝が散乱していて、とても進めず、少し戻り、駐車余地のある場所に止めた。
地形図を確認し、歩き出す。真っ直ぐの林道へと歩いたが、すぐに終点になった。細い踏み跡が続いているが、藪が混んでいるので、二股に戻り、左へと道を進んで行く。すぐに終点広場になったが、尾根へと踏み跡が続いている。踏み跡を登って行くと、読みどおり、尾根に出た。予定通りである。
赤布が木に巻かれていたが、ここだけだった。薄い踏み跡が、上へと向かっている。しかし、それもすぐに無くなり、おまけに笹が出てきた。それ程煩くは無いが、笹払いを嫌って、西側の斜面に逃げた。雪の斜面になった所で、右へと方向を変え、回り込むように左へと登って行くと、半蔵山への縦走路に出た。縦走路と言っても、細い踏み跡である。
雪が被ってはっきりしないが、尾根を進んで行く。少し下り、緩く登り上げた所にカワスミさんの山名板が落ちていた。ここが『土平山』と言うピークだとは知らなかった。落ちた名板を木に括り付け、雪道を下っていく。コルになり、大きな岩が見えてきた。岩の右側から笹を分けながら登って行くと、間もなく、大きな石の祠の立つ、『羽黒山』山頂である。
祠の前で、少しの休憩を取り、尾根を下っていく。細くなった尾根は右へと曲がり、続いている。左側には、《池の鳥屋〈鳥の沢山〉》が見えている。その奥には、日光の盟主、男体山が木々の間に姿を見せていた。コルから登り返していく。一つ、小さなコブを過ぎ、更に登って行くと、石の祠があり、その少し上のピークに三角点が雪に埋まっていた。三度目の『半蔵山』山頂である。
林道に向かって下っていく。はっきりとした登山道が出来ていたのには、驚いた。二度の登頂の時にも、こんな立派な道は無く、薄い踏み跡を拾っての歩きだった。林道に下りると、道路の反対側に小さな標識があり、〈50m先男抱山方面→〉と書かれていた。これも驚きである。変わるものである。
しかし、道を間違い、30分程下り、おかしいと林道まで戻った。腹が減ったので、コーヒーを飲み、握り飯を食べ、林道の先を何の気はなしに見ると、〈男抱山〉への標識があった。一本手前の道に入ったのが、間違いだった。もう少し辺りを観察しなければと反省しきりである。細い山道を歩いていくと、目の前に大きな岩の塊が現れた。これが、大岩だった。しかし、大きい。岩の下に穴があり、潜ってみると、少し先に、〈大岩山休憩所〉の標識が立てられていた。しかし、これはとても上がれない。
大岩を写真に収め、羽黒山まで戻り、ここでしばらくのんびりとした。何処からか子供の声が聞こえて来たように思って、耳を澄ますと、木々が鳴いていたのだった。空を見上げれば、木々の梢が大きく揺れている。風は今日も冷たかった。誰にも会わず、とっても静かな山歩きである。体が冷えてきたので、ザックを背にし、駐車地へと歩き出した。

●駐車地●

●林道終点広場●

●薄い踏み跡を追う●

●雪の斜面●

●土平山山頂●

●羽黒山山頂●

●道標●

●標識●

●池ノ鳥屋●

●石祠●

●半蔵山山頂にて●

●男抱山への道標●

●大岩●

●〈大岩山御休処〉の標識●

●土平山・羽黒山・半蔵山●

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